↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
闇夜のおしごと  作者: ベサメ
第2章 ゴミ不法投棄常習者への静かな報復編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
8/18

2-3 闇に沈む配信者

深夜の公園裏。

街灯が一本だけ壊れており、その周囲は闇が濃く沈んでいた。


昼間は子供たちの声が響く場所だが、夜になると、そこはまるで別世界だった。

光が途切れた場所では闇が濃く沈み、地面が黒い液体のように揺れて見える。


そこがアズラの示した“復讐ポイント”だった。


久遠はその中心に立った。

存在感ゼロの体質は、光のない場所ではさらに強まり、

彼の闇は地面に貼りつくのではなく、“沈む”ように見えた。


闇が濃くなるほど、世界は久遠を認識できなくなる。

彼はそこに立っているのに、まるで“存在しないもの”として扱われる。


その時――

遠くから、足音が近づいてきた。


大河原克己が、大きなゴミ袋を抱えて現れた。

スマホのライトが彼の顔を照らし、その表情は苛立ちと疲労で歪んでいた。


「まったく、住民どもが騒ぐから面倒だ。

今日も配信で“犯人は若者”って言っとくか」


彼はゴミ袋を地面に置き、スマホを取り出して配信アプリを起動した。

画面には、彼の“地域清掃チャンネル”のロゴが映る。


「よし……今日も清掃活動の様子を配信して……

 住民のモラル低下を訴えて……

 真理とかいう女を悪者にして……」


その瞬間――

久遠の闇がゆっくりと動いた。


闇は地面から“浮き上がり”、大河原の足元へ向かって伸びた。

まるで生き物が匍匐前進するように、アスファルトの上を滑っていく。


大河原は気づかない。

闇は彼の足元に触れ、彼の闇と重なり、形を歪ませた。


「……ん?」


次の瞬間、大河原は足を取られたように転倒した。


ゴミ袋が破れ、中身が散乱する。

腐敗臭が一気に広がり、大河原は咳き込みながら立ち上がろうとした。


「なんだよ……誰だ!? ふざけんなよ……!」


しかし、誰もいない。

久遠は闇の中に溶けていた。


闇は大河原のスマホを闇の中へ引き込み、アズラが遠隔で操作した。


『久遠、スマホの制御取ったわ。 配信アプリ、起動する』


スマホの画面が勝手に動き、ライブ配信が開始された。


視聴者数が一気に増える。


「え?配信始まった?」

「リーダーさん、清掃活動?」

「今日も犯人探し?」

「真理って女、まだゴミ捨ててるの?」


大河原は慌ててスマホを拾おうとしたが、闇が彼の手を“滑らせた”。

スマホは地面に落ち、カメラは大河原自身を映し続けた。


そして――

“ゴミを捨てている本人の姿”が全国に生配信された。


視聴者コメントが一気に流れる。

「え?リーダーが捨ててる?」

「嘘だろ……」

「今までの説教は何だったんだ」

「住民を犯人扱いしてたのかよ」

「最低だな」


大河原は叫んだ。


「違う!これは何かの誤解だ!

 俺じゃない!俺は清掃してるだけで――」


しかし闇は容赦しない。


闇は大河原のスマホから

“過去のゴミ捨て動画”

“住民への悪口”

“真理への中傷”

“自治会の裏での愚痴”

などのデータを抽出し、

配信画面に重ねていった。


視聴者の怒りは爆発した。


「通報した」

「自治会の闇じゃん」

「真理さんに謝れよ」

「こいつ終わったな」

「清掃チャンネルって嘘だったのかよ」


大河原は震えた。


「やめろ……やめてくれ……俺は悪くない……悪くないんだ……!」


久遠は闇の中から囁いた。


「誤解じゃないよ、大河原。 自分のゴミは、自分で処分しろ」


その声は、大河原の耳元で囁かれたように響いた。


大河原は恐怖で叫び声を上げた。


「誰だ!どこにいる! やめろ……やめてくれ……!」


しかし、誰もいない。

久遠は闇の中に溶けていた。


闇は大河原の足元で揺れ、

まるで“裁きを終えた”かのように静かだった。


アズラが通信で告げる。


『久遠、視聴者の通報が一気に増えてる。

 自治会にも苦情が殺到してるわ。

 大河原の嘘はもう隠せない』


久遠は静かに答えた。


「……闇が全部暴いたんだよ」


闇は久遠の足元へ戻り、闇へ溶けていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。