3-3 闇が作る不可の地獄
田沼のスマホが突然震えた。
――注文が確定しました
――注文が確定しました
――注文が確定しました
通知が止まらない。
画面には、見覚えのある工房の商品が大量に並んでいた。
「は? なんだこれ……俺、注文してねぇぞ」
田沼は慌ててキャンセルボタンを押す。
だが、画面には赤い文字。
――キャンセル不可
「は? 不可? なんでだよ!」
スマホが熱を帯び始める。
内部で闇が蠢き、アカウントを強制操作していた。
久遠の声が、闇の中で低く響く。
「キャンセルという“自由”を乱用した者には、
キャンセルできない“責任”を返すだけだ」
田沼は決済画面を見て青ざめた。
合計金額は、彼の月収を遥かに超えていた。
「無理だ! 払えねぇよ! なんでだよ!!」
スマホがさらに熱を増し、警告音が鳴る。
田沼は床に落とすが、通知は止まらない。
――支払い期限が迫っています
――延滞はペナルティ対象です
「ふざけんな! 俺は悪くねぇ!」
数日後。
田沼のマンションに、黒いスーツの男たちが訪れる。
「田沼翔さんですね。支払いの件でお話があります」
田沼は震えた。
「俺は悪くねぇ……そもそも払える額じゃねぇ!キャンセルだ!」
「…返済を拒否なさると?……んなもん通じる訳ねえだろ!
払えないならいい方法がある! ついてこい!!」
豹変する男におびえる田沼。
「ひっ…いやだ…俺は悪くない、悪くないんですぅ!」
田沼は連れて行かれた。
そこは、表に出ない“闇の労働施設”だった。
過酷な労働。
休息のない日々。
そして――
支払いができない者は“臓器提供”という名の闇へ送られる。
田沼の叫びは、誰にも届かなかった。




