↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/45

第41話 デリートデザート

「デリートデザートって、どんな砂漠なんだ?」


 俺は、サンにそう尋ねる。

 実を言うと、この質問をするために、俺はけっこうな労力を使った。


 ――三十分前――


 俺は、ルリたちとサンの会話に割り込むタイミングを逃さないように、ルリたちの方をチラチラ見ていた。

 幸い、不審者扱い(正確に言うなら変態扱い)されることはなかったのだが、俺の不満は溜まる一方だった。


 理由は簡単。ルリたちのお喋りがなかなか止まらなかったからである。

 俺がルリたちの会話に注意を傾けてから三十分間、ルリたちは片時たりとも話すのをやめなかったのだ。


 これは別に、ルリたちが悪いわけではない。

 だが、それがわかっているからこそ、俺は手荒い手段を取れなかった。

 そのまま時間は過ぎていき、現在に至る。


 そして、ついにルリたちの会話が途切れた。

 後からわかったことだが、この時、ルリたちは喉が渇いたので、水分補給をしようとしていたらしい。


 まあ、俺にとっては会話が終わった理由なんてどうでもいい。

 この隙を逃すまいと、俺はサンに質問をぶつけたのだった。「デリートデザートって、どんな砂漠なんだ?」と。


 この質問を聞いた、ルリ、リンカ、ミナは「何聞いてるんだ、こいつ」的な目を向けてきた。(実際には、俺のことをバカにするような目で見てきたのはリンカとミナで、ルリは純粋に質問の理由が気になっただけのようだったが)


 しかし、質問をされた本人であるサンは少しの間固まっていたが、すぐに何かに気づいた様子で、


()()()()デザートについての質問ですか?」


 と聞いてきた。

 確定だ。デリートデザートには何かがある。今のサンの返答の、「デリート」の部分にアクセントがあったのがその証拠である。


「ああ、()()()()デザートについて()()()教えてくれ」


 なので、俺はサンと同じく「デリート」にアクセントを置きつつ、「詳しく」教えてくれ、と返した。


「わかりました。では、仲間の所に行くのでついてきてください。そこでなら、質問にお答えできますから」


 そう言うと、サンは象に乗り(俺たちとの会話が始まった時、象から降りていたのだ)、来た道を引き返し始めた。

 俺がサンの問いかけに答えた時、サンがビクッと震えた気がしたが、気のせいだと思うことにした。


 ◇


 サンについていくこと、約二十分。その道中、俺たちとサンは、会話を一切しなかった。

 ルリたちは何度か話しかけようとしていたのだが、サンの周りに漂う雰囲気に勝てず、結局何も喋れなかったのだ。


 ちなみに、先ほど俺たちがサンと話していた三十分強の間、グレイルは寝ていた。

 俺は途中からグレイルのことが頭からすっぽり抜け落ちていて、そのことに気づいた時にかなり慌てた。


 だが、グレイルは寝ながら気配を完璧に消していた。

 さすがは伝説の聖龍。出会い方が出会い方だったので、最初の印象は悪かった(?)が、今では評価が百八十度逆転している。


 グレイルは、少し距離を空けてついてきている。

 俺たちの歩くペースは、象に乗っているサンに合わせているので、グレイルはかなり飛ぶ速度を落としている様に見える。


 そのせいか、グレイルの顔は不機嫌そうだ。

 後で謝って、何か美味しい物でも食べさせてあげないとな、と俺は心の中で思った。……料理するのはルリだけど。


 何はともあれ、テントらしきものが見えてきているということは、サンの仲間たちがいる場所に着いたということだろう。

 これ以上、グレイルにストレスが溜まらなさそうで何よりである。


「着きました」


 およそ二十分ぶりに口を開いたサンは、愛想のない声でそう言った。

 サンがこうなってしまった原因に心当たりはなくも無いが……、俺が間違った行動をしたとも思わない。

 つまるところ、時間が解決してくれるのを待つか、サンの仲間たちとの()()()()で何とかするしかなさそうだ。


「ヒカルさん、こちらです。ついてきてください」


 ここに来るまでもついてきていたのだが、改めて言い直した。これは、「ここではまだ話せることはない。勘違いするな」という挑発か、それともただ単にの善意で言っているのか……。いずれにしろ、俺には関係ないけどな。


「わかった」


 今のサンの言葉にどういった意図があろうと、俺はサンについていくだけだ。余計なことで神経を使う必要はない。


 それよりも、俺にとってはデリートデザートの情報を聞くことの方が大切だ。サンの反応を見ても、絶対に聞いた方が良い気がする。


 そう思い、そのままサンについていくと、当然ながら遊牧民の人たちの視線が俺たちに集まる。


「……見られてるわね」


「そうだな」


「見られてますね……」


「気にすんな。俺たちは別に、悪さをしに来たわけじゃねーんだからよ」


 そう。俺たちはサンに招かれて(?)ここに来ているのだ。変なことを気にする必要は全くない。

 そう思い、そのままサンについていくと、何やら辺りの建物と比べても、一回り大きい建物が見えてきた。


「ここは、私たち遊牧民の長のテントです。この中で話ましょう」


 薄々勘付いてはいたが、やはり遊牧民トップとの話し合いになるらしい。

 上等だ。やってやろうじゃねーか!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。