第23話 運が良ければルリに抱きつかれる
俺たちは、マッスルパワーのリーダーに、パーティーのことや冒険者ギルドのことを聞いた。(この男の人がリーダーだという、俺の推測は当たっていた)
どうやら、冒険者ギルドでパーティー登録をすると、様々なサービスが受けられたり、依頼を受注したりできるらしい。
マジでRPGゲームみたいだな。
「そんな便利なものがあったのかよ……」
「私も知りませんでした」
「まさかヒカルたちが、パーティー登録をしていないとは思わなかったわ」
ミナはこう言っているが、ルリが知らなかったなら仕方がない。
とりあえず今は、冒険者ギルドの存在を知れたので良しとしよう。
「それにしても、冒険者ギルドすら知らないパーティーが、厄災級を倒せるとは……。お前ら、一体何者だ?」
「普通の冒険者です」
リーダーの質問に、俺はこう答えた。
しかし、仲間たち全員が伝説の神器を持っているのは、どう考えてもおかしい。
悪いけど、これは秘密だな。
「まあ、色々聞きたいことはあるが、今優先すべきは国王様へのご報告だ。行くぞ、若いの」
そうだ。エブルド様に報告しないとな。
あれ、視界がおかしいぞ?
なんか、頭が、クラクラする……、
ドタッ。
戦闘の疲労から、俺はその場に崩れ落ちた。
◇
目を覚ますと、昨夜俺が寝ていたベットの上だった。
どうやら、倒れた俺を誰かが運んでくれたらしい。
(ハハハ……、結構無茶したからな。倒れてもおかしくはないっ!?)
「ヒカルさんのバカ! 一人で無理して……。何かあったらどうするんですか!」
語尾がおかしくなったのは、突然ルリが抱きついてきたからだ。
ル、ルリさん? いきなりどうされたんです?
「えっと……。確かに無茶したけど、そんなに心配しなくても……」
「心配しますよ! あの時のヒカルさん、明らかに今までと違ったんですよ!?」
「一旦落ち着け、ルリ。このアホに文句を言いたい気持ちはわかるが、今は体力回復が最優先だ」
「そうよ。まあ、ヒカルには後でたっぷりお説教が必要だけど」
あれー? 俺、そんなにヤバイことしたかな?
けど、なぜか少しだけ思い当たる節が……。
いや、今はそれよりも……、
「悪かった。今後二度と無茶なことはしない。約束するから」
「……本当ですか?」
「ああ、本当だ」
「それなら許します。ゆっくり休んで、早く元気になってくださいね」
「おう!」
俺とルリのやり取りが終わると、みんな部屋から出ていった。
正直、ルリに抱きついてもらってた方が、体力は回復する気がするんだけどな……。
それでも、俺の運がヤバイことに変わりはない、と。
俺の疲労は、そんなに大したことはなく、一日寝ていればすっかり元気になった。
次の日、エブルド様から再び賞金を貰った俺たち。
その後、王都の大図書館に向かう前に、マッスルパワーの人たちと別れた。
「じゃあな、ヒカル! またどこかで会おうぜ!」
「その時はよろしくお願いします、キムキさん」
短い間だったが、マッスルパワーの人たちとは、色々話せて楽しかったな。
この人たちは、メンバーが十五人いるとはいえ、伝説の神器無しで厄災級を倒せる実力がある。
そんなパーティーと知り合えたことも、ラッキーだった。
ちなみに、キムキというのは、マッスルパワーリーダーの名前だ。
しばらくは会えないだろうが、忘れることはないな。
マッスルパワーの人たちと別れた後、ミナの案内で王都大図書館へと向かう。
うっかり忘れそうになるが、大図書館が本来の目的地だ。
「デ、デケェ……」
「大きいとは聞いてましたけど、まさかここまで大きいとは……」
「外の世界の人は凄いな……」
初めて大図書館を見た三人が、それぞれ驚く。
王都サヒルドの大図書館は、日本でいうショッピングモールぐらい大きかった。
「確かに大きいけど、本の管理がきちんとされてる。だから、お目当の本を探すのは簡単よ」
ミナは、図書館に入る前にそう言った。
そして、その言葉通り、勇者様に関する本はあっさり見つかった。
「これか。勇者様のことが書かれた本は」
「たぶん、この図書館にある本の中では、一番詳しいことが書いてあると思うわ」
「ありがとう。じゃあ、読むとするか」
俺は、本を開いて、丁寧に読み進める。
始めの方は、既にルリやリンカから聞いたことがある内容や、知らなくても問題なさそうなことしか書いていなかった。
そのまま読んでいても、特に重要な情報は得られなかった。
だが、あるページを見た途端、俺の目が一点に釘付けになる。
「勇者様だけが使用できる、伝説の剣技だと?」
そこには、かつて勇者様が使っていたとされる、伝説の剣技のことが書かれていた。
おい、ちょっと待て。これって……。
「ヒカルさんが使っていた剣技!? なんでこの本に載っているんですか!?」
「本当だ。これは、間違いなくヒカルが使っていたものだぞ」
「う、嘘……」
俺以外の三人も気づいたらしい。
そう、この本に書かれている伝説の剣技の一つ目、それは、俺が昨日使った剣技(といっても、俺はほとんど覚えていないのだが)と酷似していた。
いや、完全に一致していた。
「これ、だよな……。俺には、その時の記憶が全然ないけど断言できる」
「ええ、これですよ。昨日、私たちが見たのは。そして、ヒカルさんに何が起こったか聞かれて答えたのは」
なんでだ? なんで、勇者様が使ってた剣技を、俺が使えたんだよ!?




