↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/45

第24話 勇者の剣技

 お、おかしい。おかしすぎる。

 ()()()()()()()()()()()()()、勇者様の剣技を使えるのはおかしい。


「ど、どうなってるんだ? 俺、勇者様の、剣技? あれ、何かフラフラする?」


「お、落ち着いてください、ヒカルさん!」


「お、おう」


 ルリにそう言われて、ようやく一息つく。

 いや、いまだに落ち着けてはいないのだが。

 それにしても……、


「一体どういうことだ?」


 色々考えるが、全然答えが出ない。

 そもそも、ライフライオンを倒した剣技を発動した時、俺ほとんど無意識だったからな。


「考えられる可能性は二つ。伝説の神器があれば、誰でも勇者様の剣技が使える可能性。もう一つは、お前が何かしら勇者様と関係がある可能性だ」


 リンカはそう分析したが、実際のところ、二つ目の可能性はあり得ない。

 なぜなら、俺がこの世界で生まれた人間ではないからだ。俺はラオラルドで生まれていないので、勇者様と関わりがあるわけがない。


「二つ目の可能性はないと思う。一つ目の可能性だと考えるのが普通だろう」


「でも、ヒカルが持っているのは、神速の(つるぎ)よね? 勇者様の剣じゃないはずよ」


「言われてみれば……」


 神速の(つるぎ)も伝説の神器には変わりないが、あくまでもハヤテ様の武器だ。

 そういえば……、


「勇者様の武器って何なの?」


「ヒカルさん。それなら、この部分に書いてあります」


「ナイス、ルリ。どれどれ……」


 勇者様は、勇者の(つるぎ)を片手に、魔王と果てしない戦いを繰り広げた。

 ということは、勇者様の武器はそのまんま、勇者の(つるぎ)ということか。


「俺が今持ってるのがこれなら、とりあえず納得がいくんだけどな」


「さすがに、ハヤテ様の神速の(つるぎ)では、勇者の剣技は使えないわよね」


 うーん、八方塞がりだ。

 せめて、何かヒントがあればいいんだけどな。


 今わかってるのは、俺が勇者様の剣技を使ったということだけだ。

 それ以外は何も、いや、何かが引っかかるぞ。

 でも、それが何かわからない……、あ!


「あああぁぁぁっっっ!!!」


 俺たちが今いる所は大図書館。

 今の大声は、間違いなく迷惑行為だったが、他に人がいなかったおかげで助かったようだ。


 俺が図書館で大声を出した理由。

 それは、無意識下で剣技を使う前に、何者かの声を聞いたのを思い出したからである。


「あいつか、俺に剣技を使わせたのは!」


「あいつって、誰ですか?」


「あいつはだな……」


 ルリからの質問に答えようとした俺は、途中で言葉に詰まった。

 考えてみれば当然のことだ。声の主が誰かは、俺にもわからないのだから。


「すまん、わからん」


「わからない?」


「何言ってんだ、お前?」


「みんなの言いたいことはわかる。でも、わからないものはわからない!」


「そんなに自信満々に言い切られてもね……」


 ミナの意見はごもっともだが、わからないものは仕方がない。

 だが、声の主の正体はわからないが、その声の主が俺に剣技を使わせたことは断言できる。


「けど、どうやって俺に話しかけたんだ?」


「当事者のヒカルがわからないのに、私たちがわかると思う?」


「それはそうなんだけどさ。そもそも、精神に干渉する魔法ってあるのか、ルリ?」


「詳しいことは私も知りませんが、精神感応魔法という魔法はあります」


(精神感応魔法……。要するにテレパシーか)


 確かに、その魔法を使えばいける気はする。

 けど、仮にその魔法が俺に使われたとして、()()魔法を発動したかまではわからない。


「ここに来て、余計に謎が深まったぞ」


「ねぇ、ヒカル」


「どうした?」


「ラオラルドが、東西南北四つの国に分かれてるのは知ってるわよね?」


「ああ、ルリから聞いた」


「その四つの国の中心に位置する山があるの。霊峰キリサネ、それがその山の名前よ」


「その霊峰がどうしたんだ?」


「霊峰キリサネは、勇者様が修行を積んだ場所だと言われているわ」


 なるほど、そういうことか。

 その霊峰に行けば、今回の謎について、何かがわかるかもしれない。ミナはそう言いたいのだ。


「その山、一般人が入れるのか?」


「一般人は無理よ。()()()()、ね」


「ハハハ。頼むよ、ミナ」


 そうだったそうだった。

 ミナは、俺たちと違って一般人じゃなかったな。


「霊峰の件は、ミナさんにお願いしましょう。他に役に立つ情報がないか、私たちはそれを探しますよ!」


 ルリの号令で、俺たちは行動を開始した。

 なんか、冒険らしくなってきたな!


 ◇


 ミナのおかげで、(過保護すぎる)エブルド様から霊峰に入る許可を取った(今回は、エブルド様の権力を持ってしても、かなり厳しかったらしいが)俺たち。

 食料等の準備は、ナユアリに向かう前にできている。


「キリサネに登るためには、まずは麓の小さな村に行かないといけませんよね?」


「任せて。その村までの道は、頭の中に入ってるから」


「色々頼んで悪いが、頼んだぜ、ミナ」


「私にできることがあったら、遠慮なく言ってくれ」


 いいなあ、この感じ。

 仲が良いパーティー感が出てる気がする。


 ちなみに、サヒルドを出る前に、冒険者ギルドでパーティー登録は済ませてある。

 パーティー名は、「運魔弓槍(うんまきゅうそう)」。俺たちの特徴を、それぞれ一字で表し組み合わせたものだ。


「よし、行くぞ!」


「おー!」


 俺たちの、いや、運魔弓槍の冒険開始だ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。