第17話 運が良ければ王様に謁見できる
「す、凄い迫力だな……」
「これは……ヤバイですね……」
東国で二番目に大きい街であるタヤルトで、厄災級の魔物、デスタイガーを倒した俺たち。
その後、王国の騎士団が俺のところにやって来た。
どうやら、たまたまこの街にいた、東国の王女様が俺たちにお礼をしたいらしく、王女様の元へと来たわけなのだが……、
「王国の財力ってエグいんだな」
「外の世界の王国は、こんなにも凄いものを持っているのか……」
そこには、めちゃくちゃ綺麗に装飾された馬車が存在していた。
俺たちは、馬車の豪華さに驚きを隠せない。
すると、馬車に見とれていた俺たちに、何者かが声をかけてきた。
「あなた方が、デスタイガーを討伐してくださった方たちですか?」
声がした方向を見ると、そこには言葉では言い表せない程の美少女が立っていた。
彼女が、東国の王女様だろうか。
「は、はい。俺たちがデスタイガーを倒しました」
「そうですか。あなた方のおかげで、タヤルトの街に被害が出ませんでした。東国の王女として、お礼を申し上げます」
か、可愛い!
少し天然なルリや、美人という言葉の方が似合うリンカとは、また違う可愛らしさがある!
「い、いえ、冒険者として当然のことをしただけです」
思わずカッコつけたことを言ってしまった。
まあ、言ってることに間違いはないけども。
「でも、厄災級の魔物と戦われたのなら、少なからず被害があったはずです。お怪我をされた方はどちらに? こちらで治療をさせていただきます」
「あ、大丈夫ですよ。誰も怪我してないんで」
場の空気が一瞬凍りつく。
あれ、と首を傾げていると、王女様が口を開いた。
「た、たった三人でデスタイガーを倒しただけでも驚くべき快挙ですよ!? その上、誰も怪我をされていないとは……」
「え? でも、前にブラッディベアを倒した時も、怪我はしませんでしたけど……」
「は?」
なぜだ? 急に王女様が静かになったぞ。
騎士団の人も何やら慌てているし。
「し、失礼ですが、あなたのお名前は?」
「ヒカルといいます」
「ヒカルさん、あなたは、ブラッディベアも無傷で討伐されたんですか?」
「はい」
「それを証明できるものは何かありますか?」
「少しならありますよ」
俺は、異空間袋からブラッディベアの素材を取り出すと、王女様に渡した。
それを見た王女様が、再び静かになる。
そして、騎士団の人に何やら話している。
「ヒカルさん。お仲間の方のお名前を伺っても宜しいですか?」
「大丈夫ですよ。杖を持っているのがルリで、弓を持っているのがリンカといいます」
「ありがとうございます。ヒカルさん、並びにルリさん、リンカさん。厄災級の魔物、ブラッディベア及びデスタイガー討伐の功績をたたえて、あなた方を王宮に招待いたします」
「え?」
そ、それってつまり……、俺らが東国の王様に会えるってこと!?
え、ええええぇぇぇぇっっ!!!!
◇
なぜか王宮に招かれた俺たちは、王女様が用意してくれた馬車に乗り込んだ。
このまま東国の王都、サヒルドへと向かうらしい。
「凄いことになりましたね……」
「私が、外の世界の王に謁見できるとは……」
「まあ、ラッキーっちゃラッキーだったな」
ちなみに、俺とルリがサミ村を出発した後、タヤルトを目指したのにはちゃんとした理由がある。
実は、タヤルトからは、王都サヒルドへ向かう商人のために馬車が出ているのだ。
元々、色々なことを調べるために、サヒルドに行こうと考えていた俺たちは、その馬車を利用するためにタヤルトに来たのだ。
つまり、王国の馬車でサヒルドに向かっている今の状況は、俺たちにとってはかなり運が良いといえる。
さすがは俺(の運)だな。
◇
そのまま馬車に揺られること数時間。
本来なら丸一日かかる距離を、王国の馬車はすごい速度で駆け抜けた。
「着きましたよ。ここが、東国イストラルの王都、サヒルドです」
馬車から降りると、目の前からは王都の街並みが一望できた。
ここからの景色、かなりヤバイっす。
夜にもう一度来たいな、これは。
「少し歩けば、父がいる王宮はすぐそこです。どうぞこちらに」
王女様の案内で、俺たちは王宮へと向かう。
王女様の言う通り、王宮にはすぐに着いた。
今から王様に謁見か……。ヤバイ、緊張してきた。
「まず、私が入って、父に事情を説明してきます。少しの間、こちらでお待ちになって下さい」
そう言うと、王女様は王宮に入っていった。
どうしよう。心臓のバクバクが止まりません。
このままで大丈夫か、俺は。
「ヒカルさん、どうぞ中へ!」
ギアイィィ。
王女様の言葉で、王宮の扉が開いた。
つ、ついに王様が目の前に……、
「おお、君がヒカルか! 今回は良くやってくれた。たっぷりお礼をするぞ! ワーッハッハッハ!」
えーっと……、俺のしてた想像とは全然違うんですけど……。
王様って、こんなに軽々しい口調で喋るもんだったっけ?
「うん? 黙ってないで話そうではないか。例えば、背中の神速の剣をどうやって入手したのか、とかな」
この王様の言葉を聞いた時、俺は、口から心臓が飛び出るほど驚いた。
なんで、剣を鞘から抜いてもいない今の状態で、俺が神速の剣を持っていると気づいたんだ!?
「なあに、そんなに驚くほどのことでもないぞ。わしは、お前さんのことを知っていたからな。ワーッハッハッハ!」
「お、俺のことを!? なんでですか!?」
「お前さんのことを知っている理由は、サミ村の村長に手紙を貰ったからじゃ。あいつは、わしの古い友人じゃからの」
原因はあの爺ちゃんかよ! 驚かせやがって!
俺らが、何か変なことをやらかしたのかと思ったじゃねーか!
ところで……、その手紙には、一体何と書かれているので?




