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花さんと僕の日常   作者: 灰猫と雲
第二部 後編
800/803

花の章 「お妙ちゃん」

午後10:00、瀬戸家裏門裏。

初めて聞く裏通夜という葬儀。

暴力団関係者との関わりを厳しく罰する暴対法は葬儀にも適用される。

ヤクザの葬儀に参列する国会議員などいたらそりゃあ叩かれてもおかしくはない。

ましてや今はSNS時代、どこでどう明るみになるかなんてわかったものではない。

そのために瀬戸組が考案したのが一般市民の参列者のための表通夜、参列したこと自体を隠したい立場の人が参列する裏通夜の2つの通夜方式だった。

そのため裏通夜には瀬戸組系の組員総出の元、近隣に報道関係者や一般市民も瀬戸家100m圏内を立ち入り禁止とする対応が取られていた。

驚くべきは非公式でありながら県警までもがそれを黙認、協力にあたっているということだ。

まぁ大親分の葬儀に県警上部が来ないわけにもいかないが、下手に黒い癒着を疑われるのもマズイということなのだろう。

それはつまり『あった』ということだ。

別に驚くことじゃない。

それこそ表が警察、裏は瀬戸組でこの地の平和を守っているのが事実。

ただ対外的にそれを公にしない方が色々秩序を保つことができるのが社会の面倒臭いところだ。

善と悪、本来は混じり合っているものでも普通に生きている人としてはハッキリ分かれててくれた方が安心なのだ。

だから表通夜は健全な一般市民のみ参列し、裏通夜には後ろめたい人間が参列する。

その中にはもちろん暴力団関係者もいれば警察のお偉いさんや大企業の重役など地位のある人も含まれる。

私から言わせれば表通夜は絵物語で裏通夜こそがこの社会の現実だ。

表通夜に引き続き裏通夜の受付も私が請け負った。

永澄と七生は時間も遅い上に弔問客もあまり褒められたような人じゃないからという理由で姐さんがNGを出した。

賢明な判断だ。

代わりに私と共に受付業務を行うのは、、、

「あ?おうコラなに見てんだこの腐れヤクザが。左手の指全部ぶった斬って線香代わりに燃すぞコラ!」

まさに上記の内容を姐さんにされそうになった三太と

「この度はわざわざ祖父の葬儀にご足労いただきまして誠にありがとうございます。こちらにお名前とご住所を記入いただけますようよろしくお願いいたします」

ダメだって言われたのにゴリ押しして受付に立つ永澄の3人だ。

永澄は表通夜で着ていたスカートの喪服から瀬戸の家紋の入った黒い和装に着替えている。

その佇まいは出会った頃の姐さんに少し似ていた。

三太と永澄、まるで陰と陽というか善と悪というか…まさに裏通夜を象徴するかのような組み合わせだ。

「吉田さん今の人知り合いですか?」

「勘弁してよ笑。あんな奴知ってるわけないでしょ」

「知り合いでもないのにあんな暴言吐いちゃうんですか?」

「知り合いにはあんな暴言吐かないでしょ普通」

吐くでしょ、あんたは。

その時裏門から怒声が響いた。

永澄は2歩後退り、三太は満面の笑みで3歩進んだ。

「永澄ちゃん、後ろに隠れてな」

「永澄、私の後ろにおいで」

裏門で怒声罵声が響く中マサの組の若い組員が屋敷へと駆けていく。

裏通夜の受付を始めて30分、まぁそろそろ来る頃だよねぇ闇社会の大物とか。

数分と経たずにさっき屋敷に入っていった男と共にマサが現れる。

「一緒に行ってやろうかモジャ笑」

と三太が軽口を叩くと

「いらねぇよ練生川」

と三太を上回る悪口をモジャが返す。

この2人はどれだけ時間が経っても相変わらずだなぁ。

マサが駆けつけたところで収まると思っていたが、さらに輪をかけて揉め出したのが裏にいる私達からもわかった。

「組もったばかりの三下で釣り合うと思ってんのかクソガキがぁ!」

「迎えに来るなら組長かあのエロい嫁だろ馬鹿野郎!」

お世辞にも上品とは言えない弔問客のようだ。

ま、ヤクザでお上品なのって瀬戸組でしか見たことないけど。

しばらく怒声が続いていたが、裏門からマサがやれやれといった感じで首を横に振りながら入ってくる。

「随分とお高くとまってるハエがいるじゃねぇか。どこのどいつだ?」

「九州の鏑木組の組長だ」

「鏑木?知らねぇな」

「最近某国マフィアのコンサル入れて力をつけてきたとこさ」

「ヤクザもコンサル入れる時代かよ。世も末だな。それよりお前の永澄ちゃんが怖がってるから早く終わらせろ」

「あぁわかってるよ。永澄さん、もう少し辛抱してくだせぇ」

「は…はい///」

マサ、大丈夫そう。

恋する乙女の顔になってる。

マサが屋敷に引っ込むとすぐに豪ちゃんと姐さんが2人揃って裏門に現れる。

豪ちゃんは無言で私達の前を通り過ぎ、姐さんは永澄に二言三言声をかけ豪ちゃんの後に続いた。

「チャカ持ち込み禁止たぁどういう事だ!」

「ですからそれはみなさんにご協力頂いてることなので、、、」

「お前さんら…この機を利用して俺のタマ取ろうって気じゃねぇだろうなぁ」

「先代の葬式で揉め事なんて起こすわけないでしょう」

「わからねぇなぁ。俺たちは今……なんてったっけこんな時」

「ブイブイです」

「ブイブイ言わせてるからなぁ!」

頭が悪くてもヤクザの組長ってなれるんだな、と思った。

「よ〜しわかった!チャカは置いていこう。その代わり、、、」

「なにするんだいっ!」

姐さんの声!?

「葬儀が終わるまでの間お前のエロい嫁はべらかせてもらおうか。なんかあった時ぁ弾除けにもなるしなぁ」

「鏑木さん…あんたぁ、、、」

「いいよお前さんっ!わかった、終わるまでアンタのお守りしてやるよ」

「だったらおっぱいも飲ませてもらいまちょうかねぇママぁ笑」

三太が軽くジャンプしながら首を回し始めた。

あたしゃ止めないよ。

止めないどころか

「おいヤス!」

屋敷の扉から状況を見守っていたヤスを呼びつける。

「俺ぁあんたの子分でもなんでもないんですがねぇ!」

その割にすっ飛んで来ちゃうのは下働きの悲しい性かい?

「チャカよこせ」

「はい?」

「いいから黙ってチャカよこせ」

顔はまだ見てないけど不細工ヅラの眉間に1発ぶち込まないと気がすまない。

「持ってるわけねぇでしょうよ」

「ならポン刀持ってこい」

「貸せるわけないでしょう!」

「じゃあドスでいい!」

「何する気ですかいっ!」

「何って、刺すに決まってんだろ」

「刺すって…あんたバカですかい?」

「姐さんが舐められてんのに黙ってられるほど大和撫子じゃないんだよ!」

「ほれ花っ」

振り向くと同時に白鞘が目に入る。

なんとか落とさず受け取ると夢にまで見た短ドスだった。

「ちょっと!危ないでしょマサ!」

「危ねぇのは今のお前だろ。さすがにチャカは貸せねぇからそれで我慢しろ(ガチャッ)」

ずっる〜い!自分だけSIG持ってるぅ〜!

私も脳漿ぶち撒けさせたい〜っ!

「ちょっちょっちょマサの親分、素人に道具はマズイですって」

「ヤスさんは永澄さん連れて屋敷の中にいてくだせぇ。永澄さん…すみません、けど姐さんがあんなふうにされたとあっちゃあ俺も花も黙っちゃおれんのですよ」

そこに俺も入れろ!と三太が叫んだと思ったら裏門から黒い集団が入ってきた。

真ん中に姐さんと頭がヌルテカしたハゲ親父。

周りには屈強な5人の男たちが睨みを聴かせている。

咄嗟に私もマサも持っていた道具を隠した。


(いけよ三太!ぶちのめせ!)

(こんだけいたら3人倒したあたりで姐さんが危ないだろ!)

(じゃあマサが残り2人やっつけてよ)

(この距離じゃ間に合わねぇよ)


付き合いが長いと目で会話できるのは便利だけど、一向に解決しそうにはない。

どうする…クソっせめて姐さんが人質に取られてなきゃ…。

あ、姐さんが人質じゃなきゃこのハゲぶちのめす理由もないんだった。

八方塞がりなこの状況で事態が変わるとするならば、それは日頃からどれだけ徳を積んできたかって話になるのだろうか?

少なくとも瀬戸組は地域の平和や発展のためにお金は惜しみなく出してきたし、何より白崎事変では大親分、豪ちゃん、姐さん、渡辺さん他たくさんの組員の人が尽力して収束を迎えた。

徳なら16年も前から積みまくってる。

その貯徳を引き下ろすのが今なんじゃないの!

さぁ誰でもいい!

誰かこの状況を打破してよ!

そしてその役割は意外な人物に託されるのだった。

「おっ妙ちゃあ〜ん♡」

裏門の外側からなんか聞き馴染みのある声がした。

「お妙ちゃ〜ん!線香あげにきたよぉ〜!誰もいないの〜!入っちゃうよぉ〜」

小学五年生女子、遠山省吾様ご出座ぁ〜。

「なんだ、みんないるじゃん。だったら迎えに来てくれてもいいじゃないのもぉ笑。あれ?七尾くん来てたんだ。ねり…吉田くんもいたんだねぇ。あいつは…あいつは…ホッ…いないようね。良かったぁ〜。それだけが心配だったんだよねぇ。で?お前は俺のお妙ちゃんに何してんの?(三白眼)」

普段は小5女子のおじいちゃんだが、キレると中2男子になるのはあまり知られていない。

「誰だこいつ」

ハゲ親父がジョイマンの高木じゃない方みたいなことを言う。

というか、この人のこと知らないヤクザっているの?

「オヤジ…もしかして元警視総監の遠山じゃねぇですか?」

「あぁ?元?元ってことは今のじゃねぇんだろ?だったら問題ねぇじゃねぇか。別に法に触れることしてるわけじゃねぇしな」

わかっちゃないねぇハゲ親父。

殺人の現行犯よりヤバいことしちゃってるわけよアンタ。

「いいからお前、お妙ちゃんから手ぇ離せ」

手に持っていた杖でハゲの右手をバァンと叩く。

「ってぇな!あれ?これ傷害だよな?元警視総監が一般市民を暴行するなんて俺が許しても世間様が許しちゃくれねぇぞ」

半分回転した勢いでハゲの膝裏を杖で叩くと痛みでストンと膝をついた。

さすがに元でも警視総監だったおじいちゃんにはボディーガード達も迂闊に手を出せずにいる。

「片足半分棺桶に突っ込んでるのに世間なんて怖いわけないでしょ」

地面に手をついたその甲にドムっと杖を突きつけた。

ゴム足が付いていたのが惜しまれる。

これが冬道用のギザギザのやつだったらもっと良かったのに。

「この手…なに気安くお妙ちゃんに触ってんの?」

前はまだ溢れ出ちゃう程度だったのに、引退してからは小学5年生女子化がめっぽう進んでいる気がする。

「嫁ぐ相手が豪四郎だっていうから泣く泣く飲み込んだっていうのに、なんで名も知らないあんたがお妙ちゃんに触ってんの?」

「元警視総監のくせに知らないとはな。俺ぁ福岡の鏑木ぃオェエエエ」

今度は杖の先を口の中に突っ込む。

ばっちぃ…。

「一人前に名乗らないでよね。ちょっとぉ?ちょっと入ってきてぇ〜」

裏門に向かって呼びかけるとすでにそこには3人の男が入り口に立っていた。

「あっ…」

「え?なに?三太知り合い?」

「あの右側の人、警察庁の組織犯罪対策部長。で左側にいるのが刑事局長。真ん中が警察庁長官。警察の超お偉いさん」

へぇ!さすが大親分!顔が広い。

それもそうか、今の警察のトップ連中って確かみんな白崎事変の被害者だったもんね。

「僕この人知らないんだけど豪永さんの弔問客として相応しいの?」

「相応しいかどうかといえばあまりにも格が違うので相応しくないかと。むしろ恥ずかしげもなくよくここに来れたもんだなと」

右側の男が答えた。

「だよねぇ?せめて稲田会の会長なら多少の無礼も目を瞑るけど、こうまで小物じゃねぇ…」

「ですが鏑木組系は最近九州各地で某国マフィアの不法入国を手助けしてる動きがあります」

今度は左側の男が答える。

「へぇ売国奴かぁ。で、その外国人達は日本でなにしてんの?」

「現在捜査中で証拠は不十分ですが、薬の販路を新規開拓中のようで」

「薬って…あれ?」

「4割8分そうではないかと」

「そんだけあれば十分だよねぇ」

口に突っ込んでいた杖をググッと奥に押し込めると鏑木会系鏑木組組長、鏑木小四郎はオェっとえづいた。

「キミ、豪永さんと面識あんの?」

「あふわふぇ」

「あ、ごめんごめん」

杖を外してやるとハゲの親父は何度か咳き込みヨダレが垂れた。

瀬戸の敷地内をそんなもので汚さないで欲しい。

「あるわけないだろ。俺が組継いだ時ぁもう引退してたんだからな!」

「だよねぇ。豪永さんがキミみたいな小物相手にするわけないもんねぇ。ま、ここにきた理由は大体想像つくよ。バックについてるマフィアに瀬戸組と揉め事起こしてこいとか言われたんでしょ?おクスリ御法度の瀬戸組は商売の邪魔だもんね?ところでちょっとアレ見てよ」

空に向かって杖を掲げる。

鏑木はもちろんのこと私も三太も姐さんも豪ちゃんもマサも、そこにいるみんなが瀬戸の夜空に輝く満点の星空を見上げた。

「お星様キレイでじゃない?」

「それがどうした!」

「あ〜あ、見上げちゃったねぇ」

「お前が見ろって言ったんだろ!なんだこのジジィは!」

「あのお星様はキミに天罰を下すと思うよ。気が利くお星様だから後ろ盾してるマフィアも一緒にね」

「ジジィが随分とメルヘンなこと言うんだな」

「メルヘンだったらいいよね?けど現実はそんなに甘くないよ」

ペッと唾を一つ吐き鏑木は立ち上がる。

「気分が悪ぃ、帰るぞ。それから瀬戸の親分、九州じゃあウチの方が勢いがあるってのに随分な態度取ってくれましたねぇ。この落とし前はキッチリつけさしてもらうからな」

豪ちゃんは肩をすくめて

「お気を付けてお帰りください」

と言って苦笑いしていた。

私はもう一度空を見上げる。

ねぇ、ちゃんと見てた?

見逃したりしてないわよね?

そんなはずないか、だって本当はここに来たかったんだもんね。

姐さんに会いたかったんだもんね。

見てるわよね、冬馬。

なんか腹立つからちゃんと天罰下しといてよね。






追記

「省吾く〜んっ!」

「お妙ちゃ〜ん。大丈夫?怖くなかった?」

「私は大丈夫。ごめんね省吾くん、ありがとう」

「お妙ちゃんのためならこれくらいなんてことないってば。それより豪四郎…」

「あんだよ」

「約束破ったらパクるって僕言ったよねぇ?」

「泣いてねぇだろ。それに親父の通夜で揉めたくなかったから大人しくしてただけだ。葬儀が終わったらその足でケジメとってやんよ」

「終わったら?それまであったらいいねぇ鏑木組。ところで豪四郎、助けてやったんだ…お妙ちゃん借りてもいいよね?」

「別に助けてもらわなくても良かったんだが…お前ら久しぶりだろ?通夜が始まるまでゆっくり話でもしてな」

「さすが日本一の親分は懐が深いねぇ」

「ねぇ省吾くん、杖ないと歩けないの?」

「そんなこともないんだけど最近足腰弱ってフラついたりするのよね」

「じゃあ私に捕まっていいわよ。行こっ、省吾くん」

「それじゃあ僕先に行ってるね」

「「「はっ」」」







追記2

「お…お父ちゃん…」

「すまねぇな永澄、怖かったか?」

「いや、怖くはなかったんだけど、いやお父ちゃんの返事次第では怖くなるんだけど」

「どうした?」

「あの小学生みたいなおじいちゃん誰?」

「あれ?あれは元警視総監。警察の偉い人」

「なんでお母ちゃん、あの人の前では女になってんの?まさか私…お父ちゃんの子やなくてあのおじいちゃんの…」

「アホ。あの人ぁお母ちゃんが女優やってる時からの熱狂的なファンや」

「ファン?」

「親衛隊総隊長にしてファンクラブ会員No.0000や」

「0って、そんなことある?」

「あの人が創設した私設ファンクラブやからな」

「熱狂的やな!」

「熱狂的やで。結婚するのバレた時ぁ組み潰されそうになったしなぁ」

「公私混同!」

「お母ちゃんのことは泣かせないって約束させられてそれでようやく渋々泣く泣く不承不承諦めたんや」

「随分とゴネたみたいやね」

「そりゃもう大変やったで。でもまぁ世話になったんよ。元々は親父の後輩やったんやて」

「へぇ〜、そうなんや」

「あそこにいる3人もそうやで」

「あそこってあの警察ヒエラルキー上位の人達?どうやったら後輩になるん?」

「あれ?知らなかったか?親父は慶応出身やで」

「スーパーの?」

「それKOマートやろ。ちゃうくて慶應義塾大学の法学部や」

「驚愕の事実っ!」

「知らんかったか?ワシも早稲田出とるで?」

「吃驚の真実っ!」

「お前が千石受かったんもワシらの血引いてるからやで?トンビが鷹なんか生まんからな。お前は元からやりゃあ出来る子じゃけぇ」

「ちなみにお母ちゃんは?流石にお母ちゃんは普通の人やろ?若い頃芸能界入ってたし大学行く暇なかったよな?」

「お茶の水やで?」

「お嬢様っっっ!」

「もうアホがヤクザやる時代じゃないんよ」

「渡辺さんは!渡辺さんは流石にアホよね?」

「KSD、京都産業大学や」

「なんか裏切られたあああああ!!!」







追記3

「もしもし?」

「どうしたんですか?」

「見てた?」

「そりゃあ見てましたよ」

「そうか、やっぱりそうよね…」

「おや?のぞき魔とか気持ち悪いとか罵らなくて良いんですか?」

「あんたの心情察すると今日は罵れないわ」

「今夜は珍しくお優しいんじゃないですか」

「ところで詳細いる?」

「鏑木組組長鏑木小四郎48歳。九州では破竹の勢いで勢力を拡大してるイケイケの暴力団だね。その背景には某大陸のマフィアがコンサルで入ってる…というのは隠れ蓑で鏑木組は先代の大五郎が亡くなった後その某国マフィアに身売りしてて資金も武器もマフィアから流れてる。某国としてはまずは九州にクスリの販売拠点を作って日本全体に流通させたいんだろうけど、ここで邪魔になるのが瀬戸組だ。というわけで火種を作りに来たんだろ?」

「あんたキモいわ…。この短時間でよく調べたわね」

「元々マークしてた組なのさ。その背後にいるマフィアもね」

「ねぇそのマフィアが扱ってるクスリってあの時のじゃないわよね?」

「花がクスリの話を自分からするのって珍しいね。けど残念、確証はないけど8割5分あの時のと類似したクスリだ」

「潰してよ、今すぐに」

「無茶言うなよ。その国にはいま誰も潜って……」

「どうしたの?」

「偶然って怖いな」

「結果さえ出れば全て必然に変わるわよ」

「丁度2人ほどその某国の上空を飛んでる」

「穴ぐらにはアンパンマンでもいるの?」

「帰国途中の飛行機の中ってこと」

「飛んでるなら無理じゃない。それともマフィアのアジトは飛行艇かなにかなの?」

「飛んでるなら降りてもらえばいい」

「あぁそういうこと。祝人かあんたならやりかねないわね」

「マフィアの壊滅は無理でも工場くらいは吹っ飛ばせるな。結果が出たら連絡するよ」

「待って!ねぇ、あんたも来ない?」

「行かないよ。今朝もそう言っただろ」

「だって大親分にはお世話になったじゃない。姐さんにも会いたいでしょ?」

「………」

「会いたい時に会っておかないと三太のお母さんの時みたいに後悔するんだよ?」

「………」

「冬馬っ!」

「結果が出たら連絡するよ」






追記4

「あと1時間で日本か」

「いいわよねぇそのままのんびりできるんでしょ?私なんてトンボ帰りよ」

「まさか同じ飛行機だとは思わなかったぞ笑。お前フランスに行ってたんじゃないのか?」

「偽装のパスポートしか持ってなかったから取りに戻ったのよ。万が一捕まったりでもしたら大親分の葬儀に間に合わないでしょ?」

「お前は世話になったもんな」

「私だけじゃないですぅ〜。花とか三太とか祝人とかマサとかもたっくさん世話になってましたぁ」

「まぁあん時1番世話になったといやぁ…」

「アリスよね」

「来るかねぇ、あの嬢ちゃん」

「来るでしょ、さすがに。可愛がってもらったもの、アリス」

「本当に懐が深くて器がデカくてあったけぇ人だったなぁ」


ポーン

『こちらは機長の山田です。ジェットエンジンに不具合が発生したため、15分後某国某都市空港に着陸する予定です。慌てず落ち着いて心配乗務員の指示に従ってください。繰り返しますーーー」


「お前と一緒っていうから心配はしてたんだが…」

「ただのエンジントラブルでしょ?こないだなんてハイジャックよ?マシな方でじゃない」

「お前ってノートラブルで到着したことあんのか?」

「ないわよ。風物詩みたいなもんよ」

「今後離陸する前に全乗客、機長、添乗員に謝ってから飛行機乗れよ」

ピロ〜ン♪

ピローン♪

「ん?長官からだ」

「本当だ。なんだろ?」

「………」

「………」

「クソッタレ!これならハイジャックされた方がまだマシだったぜ!」

「このエンジントラブル絶対あいつかアイツの仕業よね!絶対そうよね!」

「くそっ…やっと一仕事終えて家に帰れると思ったのに」

「けどあの薬の精製工場なんでしょ?じゃあ早めにぶっ飛ばさなきゃ…じゃない?それに某国だから爆弾でも神経ガスでもなんでも好きにやっていいんだって。やりすぎても責任は問わないって書いてある。つまり、、、」

「やりたい放題…か」

「やりたい放題…よ」

「………」

「………」

「久々にバズーカ撃ちてぇなぁ」

「私ビル爆破したい」

「………」

「………」

「しゃあねぇ、今回だけは頼まれてやるか」

「仕方ないわよね、仕事だもんね」

「「楽しみ〜」」

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