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浮遊嬢は落ちぶれない  作者: 七色
第二章 不思議生物は引き止めない
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第4話 不思議生物は引き止めない

 「()()()()()()()()()()()()()

 

 ……? 魔法少女が、魔法杖に、なる?

 ダモの発した言葉の意味が、私にはわからない。

「え、っと……どういうこと?」

「魔法少女の身体は、オリの外殻で包まれてるんだ。オリの外殻は魔法によって形作られているんだけど……」

「そこまではわかったよ! でも、そんな話が、どうして魔法杖になるなんて話になるの?!」

 つい語気が荒くなってしまう。自分でもなぜこんなに興奮してしまうのかがわからない。私が杖になってしまったって別にどうでもいいって思ってるのに。

「落ち着いて、ゆうちゃん。君が、今すぐなるわけじゃないよ」

「じゃあ、()()()()()()()()()?! みんな、杖になっちゃうかもしれないって、わかっててあんなのと戦ってるの?!」

 私自身のことなんてどうでもよかった。でも、あんなバケモノと戦って、その末に杖になってしまうなんてことが許せなかった。

「そうだよ。みんな分かっててやってるんだ。実際に魔法杖になる場面を見た子だっている」

 ありえない。私のような子供が、杖になっちゃうと分かっててバケモノと戦っているなんて。そもそも杖になるってなんなの? どういう感覚なの? この()()()()()()()()()()()って、()()()()って……

「急にこんなこと言われても、困るよね。ごめんね」

「……これからのことを考えるっていうのは?」

 混乱する頭に聞こえてきた謝罪。宥めるようなその声に、私はさっきの言葉の意味を問い返した。

「うん。いつか、魔法少女になりすぎて、魔法杖になることが怖いっていうのなら、ここで()()()()()()()()()()()()()()、いつもの日常に帰ってもらおうと思って」

 ミライちゃん……不壊杖の名前。この子にも人としての人生があったんだ。

「なんで、今まで話さなかったの?」

「ほかにも説明しないといけないことがあったから。それに、一回二回使ったくらいじゃ魔法杖にはならないことは経験的にわかっているし、ここまで来てもらわないと、ほかの子に移動を頼めないから」

 ひどく打算的だ。ダモは、私たちのことをなんだと思っているんだろう。

「ダモにとって……中にいる子たちにとって、新しい魔法少女は……()()()()?」

「……わからない。でも、君が魔法少女を続けてくれるなら、仲間になってくれるなら、ボクは……()()()()()()()()()()()()()

 言葉を選んでいる。そう感じた。私の日常を見て、居場所がないことを感じて、その上での発言だと……そう思った。

 必要。その言葉が意味するところは……わからない。わからないけれど、きっと両親やまわりの人間よりも幾分かマシなんじゃないかな。

「私、魔法少女を続ける」

「……ありがとう。言い損ねちゃったけど、魔法杖になる直前になったら、ボクがわかるから、その時に魔法少女をやめてもらうことにしてるんだよ」

「もう。そういうことは早く言ってよ。無駄に緊張しちゃったじゃない!」

 冗談めかして言ってのけるダモに私は強めに言葉を返した。

 でも、魔法少女がみんな魔法杖になっているわけじゃないということを知って、すこしだけ安心した。

「ダハハ。ごめんごめん。じゃあ、中に入ろっか」

「あと、さっき話を遮っちゃったけど、その続きちょっと気になるかも」

 私は、さっき自分が遮ったダモの話が気になった。たしか、オリの外殻が魔法によって形作られてるとか……

「あ~、魔法でオリの外殻ができてて、魔法を使うほど、()()()使()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、最終的に外殻が杖になるんだ。もうそうなっちゃったら、人間には戻れないし、杖が壊れない限り、杖の中で魂だけが残るんだ」

「ふ~ん。じゃあ、この子にも魂が宿っているんだ」

 そう言って、不壊杖……フワミライを見つめる。温かなやさしさを発する杖は、銀色のハートをキラキラと輝かせている。

「うん。その子はとっても優しい子でね。みんなを守るために魔法を使っていたんだ。でも、強力なメドモと戦ったとき、みんなを守って……」

「……でも、みんなを守って、それで杖になったのなら、本望だったんじゃない?」

 銀色の魔法杖を少し上に掲げてみる。杖になってしまうなんて、普通に考えたらとんでもない悲劇だ。けど。

「……そうかな。みんなを守ろうとした子がだれにも守られなかった。悲劇的に、悲観的にとらえていたのだけれど」

「わかってないな~。ダモは」

 「……?」

 けど、誰かを守りたいなんて思っている優しい子ならば。

「この子がさ。どんな子だったかは、しらないよ? でも、それでもね。みんなを守るために魔法を使ってた子なんだから、()()()()()()()のなら、きっと満足してるよ。きっとね」

 その時、()()()()()()()()()ような気がした。その震えが、肯定か、否定か、どちらを伝えようとしたかはわからないが……少しだけ、ミライちゃんと通じあえたような気がした。

 あ~急にすんごい緊張してきた!

 今の私、変な格好じゃないよね?! 髪はねてたりしないよね?!

 ブレザーにゴミとかついてない? 大丈夫?!

 次回、浮遊嬢は落ちぶれない、第5話!

『少女の不安は当たらない』

 お楽しみに!

 君のおかげなんだよ。

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