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浮遊嬢は落ちぶれない  作者: 七色
第四章 活動嬢は負けられない
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第13話 独りの少女を見捨てない

「それでは、これより魔法少女会議を行います」

「はい質問」

 私が会議の開始を宣言すると御剣さんがいきなり質問をしてきた。

 場所はホーム。えかちゃん以外の魔法少女でテーブルを囲んでいる。ダモが言うにはえかちゃんはえかちゃんで忙しいらしい。

「なんですか御剣さん?」

「そもそも魔法少女会議ってなに?」

 御剣さんは至って真面目な表情で私に聞いてきた。その疑問はもっともなので、私はついさっき考えた名前の由来を自信満々に言い放った。

「魔法少女会議とは! 魔法少女のみんなで会議することです! 名称はさっき考えました!」

 私の力強い言葉に御剣さんは若干引き気味に控えめな反応を返す。

「そ、そっか」

「ゆうちゃんゆうちゃん! 今日はどんなことをお話しするの?」

 元気で乗り気なちひろちゃんのおかげで私としても話しを進めやすい。私は大きな声で今日の議題を提供した。

「よくぞ聞いてくれましたちひろちゃん! ……ということで、さっそくなんだけど……ひとはちゃん、変身解ける?」

 ひとはちゃんは俯いたまま、コクリとうなづいた。橙色のフリルロリータに身を包んだ、大人なちひろちゃんは俯いていた顔をパッと上げる。

 次の瞬間、ひとはちゃんを柔らかな光が包み込み、小さな女の子である元城ひとはへと姿を変えた。

 その様子にみんなびっくりした様子で……前言撤回。ダモとちひろちゃんはぜんぜん驚いていなかった。

「ということで、今日は『実は小学生だったひとはちゃん』について会議を行いたいと思います」

「浮世さん、私大丈夫だから、そんな会議なんて……」

 ひとはちゃんはまた少し俯いて、私の袖を握る。私は、袖を握るひとはちゃんの手をとって、決意を込めてひとはちゃんを見つめ返した。

「ごめんね、このままだと()()()()()()()()()()

 そもそも、みんなで話し合おうと言い出したのはダモだ。初めは私が家出してここに住み、ひとはちゃんのお世話をしようと考えていたが、ダモに猛反対され、みんなで協力してお世話する、そのために話し合おうということになったのだ。

「ということで、実はひとはちゃんは小学生でした! 小学生が一人暮らししてるなんて、いろいろ心配なので、みんなで協力してひとはちゃんを見守っていきたいです!」

「はい。今までみんなのこと、だましててごめんなさい。でも、私は大丈夫だから、みんな無理しなくても大丈夫だからね……」

 ひとはちゃんはそう言うが、みんな心配な気持ちは変わらないようで、こころちゃんは俯いていたり、御剣さんは考え込む素振りをみせていたり、ダモは心配そうにみんなを見つめていた。ちひろちゃんだけはいつものようににこにこと楽しそうに笑っている。

 その時、険しい表情をしていた御剣さんが口を開いた。

「さっきから、みんながみんな手伝ってくれるみたいないい口だけどさ。そもそも、元城ちゃんの面倒みるって全員が賛同したわけじゃないでしょ?」

 その言葉に、空間が凍結する。ホームにいる全員が御剣さんを見つめて、静寂が訪れた。

「浮世さんの『元城ちゃんの面倒をみたい』っていうわがままに、全員付き合わなきゃいけないの?」

「それは……」

 心を裂くような鋭い言葉になにも言えなくなってしまう。確かに、ひとはちゃんのことは私が心配なだけだ。私のわがままに、勝手にみんなを巻き込もうとしていたのかもしれない。

「……で? アタシ以外には誰がいるの? 元城ちゃんの面倒みられるよって人は」

「御剣さん……?」

 御剣さんは当然のようにひとはちゃんのお世話に立候補してくれた。そして、先ほどの鋭い言葉の理由を伝えてくれる。

「ここには中学生以下もいるでしょ? 不知火ちゃんとか、芦谷ちゃんとか、あとダモモンとか。どう考えても面倒みれないじゃん」

「御剣さん……私も! 私もひとはちゃんのこと見守っていきたいです!」

 言い出しっぺだから、というわけではないが私ももちろんひとはちゃんのお世話に立候補した。

 そのとき、静かだったこころちゃんが伏し目がちに言葉を発した。

「申し訳ないけど……私はひとはちゃんのこと、お世話できないかもしれない……」

「いや、気にしなくていいよ。じゃあ、アタシと浮世さんの二人で元城ちゃんを見守っていくってことで」

「ねえねえ!」

 こころちゃんの申告を御剣さんがフォローし、会議に一旦の決着がついたところでちひろちゃんが口を開いた。

「ひとはちゃんがちひろのおうちに来たらいいんじゃないかな?」

 まさに青天の霹靂。確かに大人の手を借りるのが一番だ。ちひろちゃんは天才かもしれない。

「ちひろちゃんのお家に行くかどうかは置いておいて、ボクも誰かの家に引き取ってもらう、とか大人の手を借りる、っていうのは賛成だなぁ」

 ダモはそんな風にお気楽に言って見せるが……みんなの反応は微妙だった。

 ホーム内にはダモを含めず五人の少女がいる。そのうち、三人が魔法少女に変身している。

 私とひとはちゃんは衣装に身を包んでいなかったが……その表情は芳しくなかった。

 あんな家に、ひとはちゃんを巻き込みたくなかった。

「あの……私、知らない大人と一緒に暮らすのは……その、怖い、です。」

 ひとはちゃんは申し訳なさそうに、少しずつ、言葉を放った。

「大丈夫だよ! ママね、ママね、すっごくかっこよくてね、キレイだから!」

 ちひろちゃんの言葉はなんの説得にもなっていないが、肝心のひとはちゃんはというと。

「ちひろちゃんちは……お邪魔になっちゃうし、その、ごめんね」

「えー! でもでも」

「まあまあ、ちひろちゃん落ち着いて。ひとはちゃんがこう言ってることだしさ」

 それでも食い下がろうとするちひろちゃんをダモが説得する。

 そこで、御剣さんが今日の議題をまとめてくれた。

「それじゃあ、アタシと浮世さんの二人で元城ちゃんを見守っていくってことで。元城ちゃんも、それで問題ないかな?」

「はい! ……その、二人ともよろしくお願いします!」

 今まで聞いたことのない、元気なひとはちゃんに思わず笑みが零れる。御剣さんも、なんだかうれしそうだ。

「じゃあ、今日の魔法少女会議解散! ……の前に、今日のパトロールどうする?」

 いつの間にか会議の議長を務めていた御剣さんが、追加の議題を提供する。すると、ひとはちゃんが遠慮がちに立候補した。

「あ、私、浮世さんと、一緒に行きたい……です」

 そんなひとはちゃんに意外そうな反応をして、御剣さんが私に向き直る。

「おっ、元城ちゃんから要望が出るなんて……珍しいね! じゃあ浮世さん、頼める?」

「はい! もちろん!」

 ひとはちゃんの表情はパッと明るくなり、笑顔で私と手をつないだ。

 浮世さんにいろいろしてもらっちゃった……!

 なんとかありがとうございますって伝えたいな!

 魔法少女としてかっこいいところもみせたい!

 次回、浮遊嬢は落ちぶれない、第14話!

『活動嬢は負けられない』

 お楽しみに!

 ありがとうって伝えきれないほどなんだよ。

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