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〔改訂版〕ジュラシック・テイル ~猫耳転生と恐竜少女~【異世界だと喜んでたのに実は白亜紀の地球でした!?】  作者: 黒猫ぽん!
world:01 猫耳転生とJ世代

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第6話・シャーって!

「その……恐竜人(ライズ)ちゃんってば、ウチを食べたり……しないよね?」


 プテラノドンを食べようとしたのを止めて以来、ティラノに妙に睨まれている気がして、ウチは女神さんに不安をぶつけた。


 素直ないい娘なのはわかる。でも、所詮は元恐竜だ。急に本能が戻って食われたら終わりじゃないか。


〔ライズ化は、“貴方を主(あるじ)とする強力な制約”なのです。それを支えているのが約束珠の指輪です〕

「なるほど、最低限の強制力はあるのか。とりあえず『今、私は恐竜の胃袋にいます!』なんて現地中継することはなさそうだ……」


 ティラノとはちゃんと話し合わないと駄目だろうけど、はたして、ウチに肉食恐竜の本能を抑えられるかどうか…… 


 女神の話だと、指輪の力で強引に押さえつけることは可能らしい。でもそれって、ウチがやらなきゃないことなのか? なんの思い入れも義務もないのに。


 そんなことを考えていると、風に乗って子猫のような鳴き声が聞こえてきた。猫耳のせいか、妙にクリアに感じる。


 恐怖と怯えが混じった、助けを求める声のように思えた。ウチは無意識に、その声の方へ走り出していた。


♢


「マ、マスターさん、見てきました~!」


 少し走ると、先に見に行ってもらっていたプチが戻ってきた。翼竜の機動力はさすがだ。


「えっとですね……川の中州に小さいのがいました」

「小さいのってなに?」

「さあ……?」

「え~……」


 視力はあんまりよくないらしい。半分呆れながら二、三分走ると、川が見えてきた。


 川幅は十五メートルほど。水は濁り、流れも速い。入るのはかなり危険だ。……だけど、中州に目を凝らした瞬間、そんなことなどどうでもよくなった。


「おい、女神! あれはどういうことだよ?」


 ほぼ真っ白な子猫が一匹、取り残されていた。あれは、あの姿は……


〔わかりません。あの子猫の担当は私ではないので……〕


 信じられない話だけど、あり得ない話ではない。大体ウチだってこんなところに転生させられているのだから。


「わかりませんじゃねえだろ! お前の仲間がやったんだろ? なんでウ(・)チ(・)の(・)飼(・)い(・)猫(・)が(・)あ(・)そ(・)こ(・)に(・)い(・)る(・)ん(・)だ(・)よ(・)!」


 正確には“飼っていた子猫”だ。


 幼稚園のころ、ウチの目の前でトラックに轢き逃げされたベルノ。天国で安らかに眠っているかと思ったら、こんな場所に放りだされていたなんて。


「ああ、もう!!」


 わけもわからず、胸の奥から熱い怒りが込み上げる。


「助けなきゃ。とにかく、一秒でも早く」

〔見間違いの可能性は?〕

「尻尾の先が茶色くなってるだろ? あれは火傷の跡だ。誰かにイタズラされて燃やされたんだよ」


 ――あれはベルノだ。見間違うはずがない。


「こんなこと、どこのバカ神がやったんだよ!」


 “見境がない”と言われるだろうけど、気がつけば、ウチは川に足を踏み入れていた。


〔八白亜紀、ちょっとお待ちなさい〕

「なんだよ」

〔こういうときは飛べる娘の出番では?〕


 ……ああ、すっかり忘れてた。そんなことも考えられなくなっているなんて。


「プチちゃん、あの子を捕まえてきて!」

「や、やってみますね」

「頼む、急いで……」


 ――怯えている、震えている。それがわかるだけに、ウチの心は焦るばかりだった。


 プチが中州に降り立つ。しかしベルノは警戒して威嚇し、近づいた瞬間に猫パンチを浴びせてプチを退散させた。


「うう……無理でした~。シャーって! シャーって!」

「猫パンチくらいで泣くなよ!」


 女神といい恐竜人(ライズ)といい役に立たねぇ。こいつらなんのためにいるんだよ。


 ……まあ、どうせ、本気で助けようなんて気がないのだろう。


 そんな時、ずっと黙っていたティラノが口を開いた。


「なっさけねぇな。ここは俺様が……」

「――手を出すな!」


 咄嗟に言葉が飛び出していた。ティラノから差し伸べられたその手を、ウチは否定した。


「どうせまた『食っていいか』とか言いだすんだろ? あの子はウチの大事な家族なんだ。触るんじゃねぇ!」


 ……相当酷いことを言ってしまった。それはわかっている。


 でも、仕方がないんだ。生き物をエサとしてしか見ない肉食恐竜に、ウチの家族をまかせる気にはなれなかったのだから。


 だけど、悲し気な、曇った表情を見せるティラノをみたら……ズキリと、心が痛んだ。

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表紙及び作中イラストはNovel AIで生成後、加筆修正して仕上げており、著作権は作者に帰属しています。


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