第3話・最強じゃねぇか!
指輪をはめた時に、ウチの方にも流れ込んでくる情報があった。ライズ化し、約束を交わしたこの娘の名前だ。
「あ……あのう……ティラノさん?」
「おう、なんだ?」
「チョコ……食べます?」
「今なんつった⁉」
――キラリと光る、獲物を狙う鋭い目つきになるティラノ。
「ひぃ、すみません!!」
「食うに決まってんだろうがヨ!」
彼女はその場にドカッと腰を下ろすと、右手を無言で差し出してきた。さっさとよこせ、という意思表示らしい。
恐竜人相手って事もあって、恐る恐る話していたけれど……三箱目を開くころには、笑顔で会話を交わすようになっていた。
ライズ化の力なのか、転生のテンションのせいなのか、それともティラノサウルスの性格なのか。
「——なあ、それも食っていいのか?」
「それって?」
ティラノが指差したのは、ウチの頭の上だった。
〔やめてください。私は食べ物ではありません!〕
「え? その声……女神さん?」
見上げると、そこには絵本から飛び出してきたような小さな妖精が浮かんでいた。
「い、いつの間に……」
身長はウチの手のひらより少し大きい程度、二十センチほど。薄紫の髪の毛と、緑色が透ける透明な羽。ものすごく清楚で可憐な印象だ。
……でもこれ、中身は詐欺女神なんだよな。
〔なにを驚いているのですか、八白亜紀〕
「あ、いや、なんで妖精なの?」
〔姿があった方が話しやすいでしょう?〕
「まあ、そうだけどさ」
〔それに、こうやって実体化できるのは“数名しか持っていない貴重な能力”なのですよ。ラッキーと思ってくれてもいいんだからね!〕
……なんか微妙にツンデレ口調が混じっている?
「で、食っていいか?」
ティラノはよだれを垂らしながら、女神をハンターの目で見定めていた。
〔八白亜紀、なんとかしなさい〕
「もう、丸投げかよ」
フワフワと飛びながらウチの背中に隠れる女神。ってか、こいつがウチをこんな世界にぶん投げた張本人じゃん。
一瞬『むしろ食われてしまえ』と思ったが、目の前で食いちぎられる絵面はさすがに遠慮したい。
「えっと、ティラノさん相当お腹空いてる感じ?」
ティラノの横に転がっているチョコの空き箱。いくつあるかわからないくらい山積みだ。
「おう、一週間ぶりだからな」
「そか~、弱肉強食の世界って大変なのね」
地面の乾いた場所を探し、大きめの岩を背もたれにして座る。青空の下での食事は、キャンプ飯みたいで悪くない。
ポーチを開くと、二人分のどんぶりがヒョコっと飛びだした。中には湯気が立ち上る熱々の豚骨醤油ラーメン。
「お? なんだこれ」
豚骨の濃厚な香りがティラノの鼻孔をくすぐったのだろう。首を傾げながらも、どんぶりに口をつけてスープを飲み始めた。
――ゴクッ
「——ん⁉」
ティラノの目がキラリと鋭く光る!
――ゴクゴクゴクゴクッ
「んんんん……」
どうやら気に入ったらしい。ティラノは足をバタバタさせながら一気にスープを飲み干してしまった。
……麺と具材が虚しく顔をのぞかせているのはご愛敬だ。
「うめー!! なんだこれ、最強じゃねえか!」
笑顔のティラノにつられて、ウチもどんぶりに口をつけた。
ズズズっとスープを一口のむと、まず最初に魚介だしの香りが鼻孔をくすぐった。次に、す~っと鼻に抜ける醤油の風味。最後にこってり濃厚な豚骨の甘みとうま味が、口いっぱいに広がって確かな存在感を残す。
「旨っ!」
透明感のある中太麺がもちもちシコシコしていて……メチャクチャいけるな。まさしく最強!
コクとキレのパーフェクトハーモニー。ウチとティラノは、あっという間に完食していた。
「ふう……豚骨醤油、侮れん! 大変おいしゅうございました」
パンッと手を合わせて食材に感謝。ティラノも真似て両手を合わせる。
「おめースゲーな、こんな食いモン作れるなんて」
キラキラとした尊敬の眼差しで見つめてくるティラノ。
……なんかズルい。ラーメン好きブロンド美少女とか、モテ要素強すぎるだろ。
女神さん→https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/2329941/blogkey/3174175
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表紙及び作中イラストはNovel AIで生成後、加筆修正して仕上げており、著作権は作者に帰属しています。




