第九話 目が覚める
上野は、佐伯遼のアパートを訪ねていた。
「事件当日、どうしてあの場所にいたんですか?」
遼は黙っている。
上野がもう一度聞こうとした、そのときだった。
上野の携帯電話が鳴った。
「……はい」
短い会話のあと、上野の表情が変わる。
「分かりました」
電話を切る。
「ちょうどよかった」
遼を見る。
「達夫さんが目を覚ました」
遼の顔がわずかに強張る。
「一緒に来てもらいましょう」
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病院。
圭司と美咲は、すでに病室に来ていた。
美紀と隆もいる。
そこへ上野が遼を連れて入ってくる。
「遼!」
美紀が驚いた声を上げる。
遼は美紀と隆を横目で見る。
何も言わない。
ベッドに横たわっていた達夫が、ゆっくりと顔を動かした。
そして――
遼を見た。
達夫の目が大きく開く。
「……佐伯……?」
病室の空気が止まった。
上野が達夫を見る。
「達夫さん」
達夫は黙っている。
上野は続けた。
「達夫さんを殴ったのは、佐伯遼ですか?」
美紀が驚いた顔をする。
遼は黙っている。
そして隆は、俯いたままだった。
誰も答えない。
上野は三人の様子を見る。
「……国東さんとは、何かありました?」
その言葉に、達夫が顔を上げた。
しばらく黙っていたが、やがて口を開く。
「国東は……」
そこまで言った。
しかし、その先の言葉が出てこない。
その瞬間だった。
俯いていた隆が顔を上げた。
「父さんは……何か隠してるだろ」
達夫が隆を見る。
隆は続けた。
「昔の事件……」
病室にいる全員が隆を見る。
「遼君のお父さんが関係してた」
遼の表情が変わる。
隆の声が少し震える。
「それをやらせたのは……」
達夫を見つめる。
「お父さんじゃないのか!?国東さんはそれを調べていたんだろ」




