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英雄、家事野郎に転身しました ~中身は主婦系男子の派遣労働~ 2  作者: AKIRA


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第六章 9 休戦なき前線と次なる獲物 2

 ダグラス(in湊)は冷酷な、しかしどこか獲物を見つけた猛禽類のような目でラグビー部主将を見据えた。


「―――断る」

「あぁん⁉何でだよ!金なら―――」

「金の話などしていない。我が調理研究クラブの生産能力キャパシティは、先ほどの戦闘で底をついておる。これ以上の連続稼働は我が兵の生命線を脅かすのだ。それに―――」


ダグラス(in湊)はフッと不敵に笑い敢えてラグビー部を挑発するように言った。


「お前たちのような大食漢の巨漢五十人に、サッカー部と同じ『すた丼』を出してみろ。豚肉とニンニクの消費量が倍以上に跳ね上がり、学園内の補給線が競合して共倒れになるというもの。我が軍師としてのプライドが、そんな無策な戦線拡大を許さん」

「じゃあ、俺たちは指をくわえて見てろっていうのかよ!あの匂いを嗅がされて、メシ抜きで帰れるわけねえだろがっ!!」


ラグビー部主将が悔しさに顔をゆがめ、胃袋を鳴らす。ダグラス(in湊)の(プレゼン)は此処からが本番だった。


「……だが、『別のアプローチ』なら話は別だ」

「別のアプローチ……?」

「そうだ。我が部には、すた丼に勝るとも劣らない、コメを最も旨く食うための鉄板の兵糧がまだ二つもある。『豚の塩麹焼き』と『特製豚汁』だ」


塩麹、豚汁、という響きに、ラグビー部員たちの耳がピクリと動いた。


「これが欲しければ、サッカー部とは被らない『別の弾薬(食材)」を五十人分を我が部に先行投資してくれ」

「……分かった、俺んちは味噌を自家製しているから持ってきてやる!」

「うちは親戚が、サツマイモと大根をつくっているから送らせるよ」

「後は。豚肉、豆腐、キャベツ……」


こうやって、ラグビー部との交渉も成立しようとしていた。


「ようし、やろうじゃないか!……ただし、今日の調理研究部の我が兵士は限界だ。配給は明後日の放課後だ。……ラグビー部、明後日の三時半、練習前に『根菜の泥落とし』と『コメ研ぎの下準備』に全軍突撃してこい。遅れた者の分の豚汁は、全て他の部に回す」

「うっす!!明後日、三時半に一番乗りします!」


こうして、ヘトヘトだったはずの家庭科室で、ダグラス(in湊)は一歩も動かずに「根菜・味噌・塩」という新たな大量の物資ラインと、第二の私兵、ラグビー部を完全に手中に収めたのだった。

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