第六章 10 休戦なき前線と次なる獲物 3
「ちょっと藤代くん!ラグビー部のメニューは、完全に計算が破錠しているわよ!」
ラグビー部との話し合いの翌日、顧問の織田先生が電卓を片手に家庭科室へ飛び込んできた。
サキと白河隊長は、前回のサッカー部50人前ですでに腕がパンパン。そんな中、織田先生が突き付けた「木曜日の兵站計算」は絶望的なものだった。
「ラグビー部の『豚の塩麴焼き』と『特製豚汁』50人分よ。50人分の豚汁を用意するには家庭科室のコンロで最低でも2~3口、巨大な鍋で占有しなきゃいけないわ。そうなるとコンロが足らなくて、白米を15キロ炊く」スペースが空かないのよ」
おかず(塩麴焼きと豚汁)に火力を全振りすれば、ご飯が炊けない。厨房のキャパシティ上限による、完全な作戦頓挫だ。
「フン、火力が足りぬならば、主食は『現地調達』するまでだ。――おい、ラグビー部主将をここに呼べ」
数十分後、呼び出されたラグビー部主将は、ダグラス(in湊)から「家庭科室の火力はラグビー部の白米を炊く余力はない」ことを告げられ、ガーンと衝撃を受けていた。
「ええっ?……じゃあ俺たち、おかずだけで白米なしかよ?そんな……」
「ガタガタ騒ぐな。兵站の基本は役割分担だ」
ダグラス(in湊)は冷徹に、しかし明快な解決策を提示した。
「ラグビー部全員に告ぐ。木曜日の朝、各自の実家で、『放課後用の白米(二合弱)』を炊き、タッパーに詰めて学校へ持参しろ。当選昼の弁当とは別枠だぞ。放課後、その白米の入った容器をもって家庭科室へ一列に並べ。我が部はそこに、最高のおかずと汁を配給するぞ」
「なるほど……おかずは特化型!おれたちが白米さえ運べば、あの塩麴焼きと豚汁が喰えるんだな!」
「そうだ。お前たちは最高に旨い白米を持参してこい。これぞ完璧な共同戦線だ。……さらに、我々の人手不足を補うために隣で活動する【家庭科部】からも兵(女子部員)を助っ人としよう。これで布陣は完璧だ」
面白い戦いになるといいなぁ(笑)




