第六章 6 五十人前の熱狂と戦略配給 1
「うおおおおおお……っ!ほんとうに山積みになってやがる……!」
約束の放課後。家庭科室の調理台に積まれた食材……。サッカー部主将はその圧倒的な光景に言葉を失っていた。
そこにあったのは、サッカー部員のそれぞれのつてからかき集め、先行投資として持ち込んできた膨大な弾薬……すなわち食材たちの山だった。
コメ農家の部員が持ち込んだ十五キロの古米。畑をする知り合いからの泥付きのネギ。肉屋の親せきを持つ部員が融通させた段ボール一杯の豚バラ肉。
「よくぞこれだけの物資を揃えたぞ、サッカー部。兵站の約束は守ろうぞ。これより、全軍の配給を開始する!」
藤代 湊(中身は軍神ダグラス)の号令と共に、調理研究クラブという名の「炊き出し部隊」が電撃的に稼働を始める。
指示を出すダグラス(in湊)の目は、さながら戦場の厨房を統べる料理早朝そのもの。部員の阿久津が「任せて下さい!」
「ようし、これより全軍、フォーメーションについてくれ!」
ダグラス(in湊)の指揮により、広大な家庭科室がより機能的な工場へと変貌していった。
まず、最大の難関は一斗(十五キロ)の米をご飯にしなければならない。家庭科室の格調理台にある一生炊きの炊飯器四台だけでは半分も捌ききれない。
「織田先生。学校の倉庫に眠っていた文化祭用のあの『業務用ガス炊飯器』を使わせてください。あれを中央のガス栓に直結させるんです」
「ほら、サッカー部共よ、突っ立って見てないで米を研げ!箸とお椀を並べるラインを作れ!」
「う、うっす!ほらお前ら、藤代さんの指示通り動け!」
ダグラスに睨まれたサッカー部員たちが、必死の形相で米を研ぎ、お椀を並べていく。中央の業務威容ガス炊飯器がゴオッと青い炎を上げ、周囲の一生炊きジャー四台も一斉に駆動を始めた。炊きあがっていく白米の蒸気が家庭科室に立ち昇る。合計で三十キロを超える圧倒的な大質量へと膨れ上がっていく。
米を研ぎ、準備を終えたサッカー部員たちは、本来の練習へと勢いよくグラウンドに繰り出しって行った。練習が終わるころには、すた丼が既に完成している算段である。
ダグラス(in湊)は次の作戦を開始した。




