第六章 4 グラウンド直撃のデモンストレーション
グラウンドの隅に現れた調理研究クラブの面々たち。ダグラス(in湊)はブルーシートを広げみんなを座らせた。
それからおもむろににタッパーの蓋を開けると、あのラードとニンニクの香りが、風によってグラウンドの方へと吹き抜けた。
「……おい、なんだこの匂い⁈」
練習終わりのサッカー部の部員たちが、ゾンビのように匂いに引き寄せられていく。
そして……その目の前では、大ぐらいの阿久津を先頭に、ダグラス(in湊)白河隊長、サキが美味しそうにすた丼を食べている。
「うんめぇぇぇっつ!何だこれ、肉が柔らかくて飯がとまんねぇ……っ!」
阿久津たちが嬉しそうに飯を食らう圧倒的な光景。そして鼻を突き抜ける濃厚なにおい。
部活終わりの飢えた部員たちの胃袋は一瞬にして限界を迎えた。
「阿久津……っ、藤代、俺たちにも食わせてくれないかっ!」
部員たちがわらわらとブルーシートに集まってきた。しかしダグラス(in湊)は冷たく首を振った。
「断る。我が部は、金銭の授受は一切受けられないのだ……だが、この旨い飯を食う権利が欲しければ、我が部の物資調達に参加してはくれないだろうか?」
「クラファン……⁈どうすればいいんだ?」
「簡単だ。お前たちの家から、コメや野菜・肉などの『食材物資』を我が部へ投資してくれたらその投資ポイントに応じて、出来立ての料理をお前たちに現物支給する!」
お金を徴収すると商売になってそれではクラブとして活動できない。お金を使わずに、部員たちの家から食材を持ちより、余剰物資の先出しをさせるシステム。
「やる!……やってみようじゃないか。それぐらいなら俺たちだって……」
「とりあえず、契約成立だな。……ただし、教頭先生や顧問が文句つけてきたときの為に、この『栄養研究協力同意書』にも名前を書いておいてくれ」
こうしてお金を一切使わない「物資型クラウドファンディング」によって、大量の食材が家庭科室に集まる最強の兵站システムを作ろうとしているダグラス(in湊)であった。




