第六章 3 運動部への電撃戦
【放課後:家庭科室(最初の試作)】
織田先生の鶴の一声によって決まった活動日初日。記念すべき最初の施策が、家庭科室で行われていた。
「よし、今回のメニューは『スタミナ丼(すた丼)』だ。だが、普通に作っては面白くもない。今回は意図的に大量に仕込むとするか」
ダグラス(in湊)の指示のもと、用心棒の阿久津が「任せて下さい、藤代さん」と嬉々として大量のニンニクを刻み始める。もはや、立場がすっかり逆転し、面白い構図となっている。白河隊長とサキがコメを研いでご飯の準備を始める。
ひとまず、自分たち四人分と織田先生の分、合わせて五人分を奇麗に盛り付け実食。だが、阿久津と湊の分は常人の量ではない。これだけでも十人分ぐらいは用意しなければならない。
実食。ニンニク醤油とラードの暴力的な美味しさに、味見の織田先生たちが「んんんーっ!」と悶絶している。
『ようし、これを持って運動部に売り込もう』
脳内の湊がダグラスに囁きかけた。
「……何だって?」
『ねえ、ダグラス、今のままじゃあ、満足に腕を振るえる材料費も限られているんだ。もう少し、仲間を集めたいんだ……だから……』
今まさにすた丼を食べようとしている部員たちを前に、ダグラス(in湊)は不敵に笑い、家庭科室の机を叩いた。
「そうだ、これより我が調理クラブ、最初の資金調達―—いや物資調達を敢行する!」
「くらふぁん……?」
「今日のすた丼の材料……白河隊長とサキの家からコメを一升、阿久津の知り合いの肉屋から格安の豚バラ2kg、織田先生の調理実習の余りのニンニクとネギ。これだけでは、次に繋がらん。これを持ってデモ(大試食会)を始めるぞ」
「え、えーっ!!!食べられないのー?」
「違う。グラウンドで試食会だ」
各々がドンブリを持ち、残りをタッパーに詰めてグラウンドへ繰り出す調理研究クラブ。
「まずはサッカー部攻略だ。部活終わりの部員たちの目の前でこれを食す」
「……うまくいくかな」
「やってみなくちゃ分かんないよね?」
ブルーシートを抱えダグラス(in湊)はサッカーグラウンドの隅へと悠々とした足取りで、歩んでいく。
部員たちは、黙って彼についていくのであった。




