第六章 17 完璧なる週三日体制 2
ダグラス(in湊)は、懐から購買部のオーナーと交わした「次なる特約書」を取り出し調理台の上に置いた。
「来週の金曜日の昼休み、この『フォンダンショコラ』を一部開放枠として限定三十個購買部にて委託販売する。これは部活の縛りなき完全なフリー枠だ」
部外者の一人が叫ぶ。
「どうせ購買部に近い教室の奴らがダッシュで買い占めるんだろ!ひいきだ!」
ダグラス(in湊)はフンと鼻で笑った。
「そんな失敗を某がすると思うか?販売はスピード勝負ではない。金曜日の朝、登校時に購買部横の箱へ応募券を投函させ、昼休みに購買部のボードで当選者を発表する。教室の配置も脚力の強さも一切関係なしだ。欲しくば、来週の朝、おのれのクラスと名前を書いて運を天に任せるがよい!」
「抽選か……それなら俺たちにも本当にチャンスがあるかもしれない……」
「不正もひいきもなしのガチの運勝負だ」
「そうだ。戦う覚悟がある者のみ、来週の朝、購買部横に集まれ。……いいか、今日のところは引き上げろ」
ダグラス(in湊)の言葉に、乱入してきた生徒たちは「よ、ようし。来週の朝、絶対に名前を書いてやる」と興奮しながらも、大人しく家庭科室から退散していった。
静まり返った室内で、白河隊長が大きなため息を吐きながらへなへなと座り込んだ。
「もう……心臓が止まるかと思ったよぉ……。受けて立つなんて言うから、てっきり殴り込みに行くのかと……」
「人聞きが悪いな、白河隊長。私はただ、彼らの『飢餓感』を『軍資金』にするだけだ。抽選にすれば全校生徒にも平等に、さらに我ら調理研究クラブのブランド価値も高まるであろう?どうだ」
ダグラス(in湊)は再びスプーンを手に取り、ポーカーフェイスのままフォンダンショコラを口へ運んだ。
こうして、ダグラス(in湊)快進撃は速度を増していったのだった。




