出会い ‐蓮‐
「ほんと邪魔なんだよ使えない!」
「これだから孤児は」
「しつけてくれる親がいないからただのバカの出来上がりだ」
はははははははは
「....くっそ」
俺だって1人になりたくてなってんじゃねえ
俺は父も母も覚えてない
生まれて気づいたら施設にいた
施設の人たちは優しくしてくれたけどそれは「親」だからじゃなて「仕事」だから
ダメだと怒るのは「優しさ」ではなく世間に対しての「見栄え」のため
俺は何のために生きて....いや生かされてるのだろう
今日も学校で嫌がらせを受け帰り道に思う
中学を卒業すると高校に進学するか就職するか選ばされる。生きてる価値もないのに考える必要が分からない。この席には安楽死制度がある。生きている価値がないと思える人間はこの制度で死ねるのだろうか
「あーだるい」
こんな嫌なことを考えながらまた施設にもどる
「あ、蓮くんおかえり!」
ただいまなんて言いたくない
「帰ってきたなら挨拶しなさいよもー、あそういえば施設長が蓮に話あるから帰ってきたら部屋に呼んでって言ってたよ、あれじゃない?高校の話じゃないかしら」
帰り道考えてた通り呼ばれた、だるい。
いっそ安楽死したいと伝えてやろうか
そう思い扉を開けた
「あぁ蓮やっときたか!はよ座りなー」
施設長は優しいが優しいだけだ
「どうや、最近いいことあったか?」
「いいえ、ありません」
「そうかぁ、でもな俺から蓮にいい話しようおもてな!」
「勿体ぶらずに早く言ってくださいよ」
「そやな!蓮、お前を養子に入れたいっていう方が現れたんや!」
「え....?」
俺を....養子?
「何を言ってるんですかもう15歳ですよ子供とも大人とも言えないやつを養子だなんて」
「この間視察に来てた社長がいただろう?その人が君のことをかなり気にかけていてせっかくだから君と暮らしていきたいと。夜ご飯の後いらっしゃるみたいだから挨拶しなさい。蓮がいいと思えばお前のタイミングで迎え入れてもらいなさい」
まさか俺を養子に迎えたいって思ってくれる人がいるなんて、正直安楽死してやろうなんて考えてたから変な感じだ
「もし、本当にその人たちが俺のことを快く迎えてくれるのでしたらその人達の元へ行きたいです」
「そうか!じゃあ後で挨拶しに行こうな!」
俺は礼をしてから部屋を後にした。
夢みたいな話だよなほんと
俺はその後の記憶がないが気づいたら夜ご飯を食べ終わっていて挨拶をする時間になった
どうしよう、何を話すか考えていなかった
扉が開きスーツを着たいかにも紳士なおじさまと藍色の素敵なワンピースが似合うおばさまがいた。2人とも40代後半くらいだろうか?笑顔が素敵なふたりだ
「やぁ、君が蓮くんだよね」
「急に言ったのにこうやって時間を作ってくれてありがとう」
2人とも優しい物腰で俺に話しかける
第一印象は「いい人」
「いえ、こちらこそ縁組の機会を下さりありがとうございます」
深々と頭を下げたがすごく笑われた
「これから息子になるんだからラフに行こう。あ、いや、そんな急には難しいか?」
「そうですよそんな急かしちゃダメです、こんな急にうちの子になるっていうのが無理なら何日かお試しでうちに来ない?そうするとお互い感覚がわかると思うから」
「それは嬉しい提案です。俺も上手く話せる自信がなかったのでそのような機会があると助かります」
「じゃあ早速今夜からでも!」
「だからあなた急がないの」
「はははすまないすまない」
俺は大切にされそうだなと思えた
「えぇ今夜からでも大丈夫ですよ」
「いいの?急に居なくなったら施設のお友達とか心配しない?」
「大丈夫です、友達なんて居ないので」
2人は急に黙ってしまった。まずいいつものように突っぱねてしまった
「....じゃあおうちで話の続き聞いてもいいかしら?」
「!」
否定されない、
「今無理に話す必要はないからほら準備して、一緒に帰りましょう」
ほんとの優しさというものはこういうものなんじゃないかと思った
「ありがとうございますすぐ準備します」
俺の初めての家族が出来た瞬間だった




