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死神騎士様との間に双子を授かりました【8月1日2巻発売決定&コミカライズ準備中】  作者: 氷雨そら


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王城の宝物庫 6


「はい! お母さま」

「え、ええ」


 ―――頭が重い。

 何に使うのか全くわからないが、私の頭上にティアラが輝いている。


「あとこれ」

「これは」

「腕につけてね」

「わかったわ」


 腕にもジャラジャラとたくさんのブレスレットがつけられた。

 ハルトは再び、部品と壊れた魔導具が積み上げられた山を前に四つん這いになった。


『ピピピピ! ピピピピ!』

「ぴーちゃん!?」


 ぴーちゃんも不思議な行動を繰り返している。さびてボロボロの部品を手にしては、アームでトントンと叩いているのだ。


「魔法回路が光っている――」

「え、壊れた部品にしか見えないけど……」

「ぴーちゃんは、神代技術搭載蜘蛛型魔導具第三世代改良型だ……。改良型の特徴は、扱うことができる契約者が現れるまで設定されたプログラム通りに動くこと。でも、神代の技術を吸収することも機能の1つかもしれないと僕は思ってる。多分、ぴーちゃんにとっての契約者はアンナ。実際には、神代の技術に出会えることがないし、契約者を見つけた後の挙動については観測途中だ」

「……ハルト、言っていることの半分もわからなかったわ」

「つまり――ぴーちゃんが、パワーアップするかもしれないってことだよ!!」

『ピ……ピピピピピピピ!!』


 ぴーちゃんは、夢中になって山に突っ込んでいく。

 ハルトは一つ一つ拾い上げて、選び続ける。


「これは、陛下が持っていたほうが良いです」

「――これはいったい?」

 

 ハルトが差し出したのは、宝石がついたスプーンだった。

 飾りこそ可愛らしいが、普通のスプーンに見えるのだが……。


「おそらく、毒に触れると宝石の色が変わります。魔法回路が途切れていないので、実用に耐えるはず」

「……まさに、王族や高位貴族が喉から手が出るほど欲しい品だな」

「……ひいおじいさまが、陛下は大変だって言ってたから」

「サミュエルが……」


 確かに、陛下ほどの地位にいれば、毒殺の危険も多いのだろう。


「しかし、そなたらが使わなくていいのか?」

「家の中で毒が混ざることはないし、もし混ざってもぴーちゃんがわかるもん」

「蜘蛛型魔道具……それほどの力か」

「もしかしたら、新しい機能がインストールされるかもね」

「いんすとーる、とは」

「覚えるってこと」


 腕輪だらけの手が重いが、もしかしてこれら一つ一つにものすごい価値があるのだろうか。


「あ~! ぴーちゃんが触ると魔法回路が消えちゃう!! だめー!!」

『ピピ!』


 珍しいことにぴーちゃんは、ハルトの制止を振り切って次々と部品を叩いていく。


「もう! こうなったら、ぴーちゃんと競争だ!」


 ハルトは、すごい勢いで魔導具と部品を選別し始めるのだった。


 ――ルティアは……。


 振り返ると、ルティアは剣を鞘から抜こうとしていた。

 ピカピカと淡い紫色の光が瞬くが、抜ける気配はないようだ。


「お父さま、抜ける?」

「いや……抜けない」

「え、抜けない剣は使えないけど」


 ピカピカと宝石が光り続ける。


「わかった……泣かないでよ、一緒にいるから!」


 ルティアは諦めたように、細身の剣を抱き寄せる。


「……どういうことなのかしら」

「わからない。神代以前の記録はどこにも残っていないんだもの」

「……どこへ行ってしまったのかしら。ハルト、すごい数ね」


 ハルトは持てる限りの魔導具を抱えていた。


「はい、陛下どうぞ」

「ああ……これは使えるのか?」

「残念だけど、直さずに使えそうなのは陛下にお渡ししたスプーンだけみたい。でも、あとでレントンさまと一緒に調べてみる」

「レントン・ベルセンヌ公爵令息か……」


 そのとき、扉がギギギギ……と音を立て始めた。

 振り返ると、扉が自然と閉まりかけていた。


「閉まったらどうなるのですか?」

「もしかしたら、閉じ込められるかもしれないな」

「……えっ!?」


 この扉は三百年閉まったままだったという。

 閉じ込められたら、二度と外には出られないかもしれない。


「旦那様! ルティアとレイをお願いします! ハルト、行くわよ!」

「……あ~、まだまだ貴重な魔導具がありそうなのにぃ……!」


 旦那様が、ルティアとレイを抱き上げて走り始める。

 私もハルトの手を引き走り始めた。


「閉まっちゃう!」

『ピ……ピピピピピピピピピ!!!!!』


 そのとき、ぴーちゃんがアームを広げて扉を支えた。


「「ぴーちゃん! ありがとう!」」

『ピピ~!』


 ぴーちゃんの活躍により、私たちは無事に扉から外へ出ることができたのだった。

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