53. 祖母との再会
53. 祖母との再会
時間は17時頃
あれだけ降っていた雪もやんで辺りは少しずつ暗くなってきた。
もし雪が降っていなかったら真っ暗であるが雪が積もっているおかげで少し明るい。
都会では長靴をはく機会がない。
雪が降る事はあっても積もる事はないから。
みずきは高校時代に履いていた長靴を取り出し祖母の家に向かった。
歩いて10分ぐらいした所に祖母のアパートがある。
アパート白雪の102号室
おそらく1階のアパートだろう。
もし2階以上でエレベーターがなく階段だけならば転倒するかもしれない。
せめて1階で良かったと思うみずきであった。
祖母のアパートに着いた。
ピンポーンとみずきがチャイムを押す。
もし誰も出なかったらそうしようとの不安があったもののその心配はいらなかった。
「はい、どちら。」
そう言って祖母がドアを開ける。
「こんにちわ。久しぶり。」
よそよそしくみずきが答える。
「あら みずき。久しぶり。入って、入って。」
祖母がそういうとみずきは祖母の家の中に入る。
前にも言ったが祖母は年齢でいえば80歳代中頃。
昔から甘い物が好きで糖尿病を患っている。
ただしっかり自分で歩いている。
自分の母と比べると自分の母の方がADL(日常生活動作)は下のように感じる。
部屋はゴミ屋敷程ではないが少し散らかっている。
「ごめんね。みずきが来るって分かっていたら部屋を片付けたんだけど。
でも私も腰が痛くて。」
何とも高齢者にありそうな会話だ。
「でも、週1回ヘルパーさんが来てくれて掃除等やってくれる。とても助かっている。」
そんな会話が続き週1回、ヘルパーとデイサービスを利用している事を知る。
「今、一人で暮らしているの?」
かなえが言った。
「そうだよ。みずきの父と母に追い出されたんだ。」
祖母が言った。
相変わらず祖母と母は仲が悪い。
以前と比べてますます仲が悪くなった。
「あいつ(=母)は自分は腰が痛いとかなんとか言って働きもせず、ずっと寝ている。
それなのに私が寝ていると凄い嫌な顔でこっちを見てくるんだ。
嫌ったらナイヨ。
おまけにあいつ(=母)のつくる料理は薄味で美味しくない。
だから私は私で別の物を食べたら凄く嫌な顔をする。
イライラするんだよ。」
祖母は母に対する悪口が終わらない。
みずきからしたら母も祖母も凄い善人でもなければ悪人という訳でもない。
何故こうも仲が合わないのか・・・・・・・
所詮母も祖母も他人同士だから仲が悪いのは自然の摂理なのか・・・・
何故こうなってしまったのかと考えるみずきであるが
考えた所で答えなんて見つからないと思うみずきでもあった。
「今日のご飯は冷奴だけど食うか?」
何を言っているのか不思議なみずきであったがよくよく聞いて見ると
本当に夕食はご飯と豆腐だけとの事。
いつもそんな食生活との事。
そんな食生活を続けていたら栄養が偏ってしまう。
栄養士である私がそう思った。
時間は17時30分
「仕方がない。今からスーパーに行って色々魚など買ってくるから。」
ここからスーパーまでは歩いて片道30分ぐらいかかる。
「大丈夫かい?危なくないかい?」
祖母が心配をする。
「大丈夫。行ってくるからご飯炊いといて。」
そう言ってみずきはスーパーに買物に出かけた。
19時頃マンションにつくとそこでみずきが調理を始めた。
「こんな物でいいかな?」
ご飯、魚のソテー 冷奴 付け合わせの野菜 みそ汁
祖母と一緒にみずきが食べる。
「どう? 美味しい?」
みずきが祖母に尋ねた。
「ああ。美味しいよ。」
祖母が言った。また続けて
「あいつ(=母)もこれぐらいの物がつくれたらあれやこれや言わなくても済むんだが。
美味しくない物を美味しくないと言えばすぐに嫌な顔をする。
美味しい料理をつくろうなんてこれっぽちも思っていない。」
どんな事を尋ねても最後には母の事を言う。
確かに母の料理に対して美味しいと思った事はない。
ただここで同調するのはヤメとしている。
無理に否定するのは良くないが変に賛同するのも何か違う気がした。
「これ食べて片づけをしたら母の家に戻るね。」
私はそう言って食べた食器を片づけた。
「みずき、また来てな。」
祖母はそう言った。
時間は午後8時50分ごろ。
私は母のところにいった。




