39話
一週間ぶりです。
お待たせしました。
『闘技場』なるイベントまであと二日...
その日はいつも通りだった...ウェンディと闘技場を一緒に見学する。その約束を思い出すだけで体からチカラが湯水のように湧き出てくる。学園生活最高。退学にならないように気を付けないとな。
「はふぅ........」
窓際で黄昏る俺。
時々、「なんだコイツ、キッモッ!」とか聞こえるけど、きっと気のせいだね。まぁ、フード被ってる奴が窓際で黄昏てるんだよ。そらキモいわな。
ウェンディのことを思うと心が熱くなって...これって...『恋』なのだろうか。ルルやサラと同じくらい...いや、違うな。ルル達は可愛くっても、俺に対してあんな態度だしな。優しい子の方が好きです。俺は至ってノーマルだからな!ソッチの趣味はナイヨ!
その時だった。ハゲが爆弾発言を投下したのは...
~~ウェンディside~~
「はぁぁぁぁぁ........」
仕事とは言え、あんなのとデートとか...ちぇっ、『闘技場』とか激アツなイベントをアレに費やすとかやってられないわよ!
しかし、どうしたものかね...あの化け物をどうにかしないと。まぁ、そこはお父様が考えていらっしゃるでしょうから私は考えなくてもいいことだけが救いですね。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ........」
さっきよりも長めな溜め息。
はぁ、エリック様と行きたかったなぁ.....なんで私があんな得体の知れない男と...
うーん、“アオト”君か。なんでフード被ってるんだろ?半年も声かけ続けてる私でも、素顔見たことないもんね。むむむ...気になる。次の定期会議のとき、アイーシャに聞いてみることにするわ。
「........よし、仕事モード。笑顔笑顔。内心は悟られない。...おっけ」
アオト君との会話...何故か疲れるのよね。世間話くらいしかしてない筈なのに。
「あ!アオ、トく...」
........なんか黄昏てるんですけど。時々、変な溜め息聞こえてくるんてすけど。えっ?ナニアレ。めっちゃキモいんですけど。
すると、私とアオト君の前に入ってくる影が一つ。
「あ、あの...アオトさん。少々お話いいですか?」
「........ドルトン先生、何故敬語なんですか?」
ドルトン先生かい。
しまった、ついツッコんでしまった。
「あっ!ウェンディ!!」
私の声を聞いた瞬間にアオト君が笑顔になる。...フードの下で。随分器用ですね、おい。フードの下の表情分かっちゃったじゃないですかっ!!まあいいです。
「あの...お話を...」
「えっ!?あ......いいですよ」
コイツ、先生のこと忘れてたな。
「あの~大変言いにくいのですが
アオト君、退学になるそうですよ」
~~アオトside~~
「アオト君、退学になるそうですよ」
........うん?タイガクニナルソウデス?
「あっ、退学になるそうです。か」
「なんでリピートしたのよ...」
退学かぁ...退学、退学...退学?それって、もう学校に来れない?ウェンディとも会えない?
そんなの、そんなの........
「俺が許す訳ないだろ」
刹那、高濃度の魔力がハゲを襲う。オレ流、威圧だ。しかも、怒りに任せて全力で。
「ヒィィィィィィィ!!たす、助けて!!」
「ひゃぅわっ!」
あっ、ちょっと強すぎたかな?まぁいいや。今更引けないしな。
「さて事情を聞かせてもらおうか?」
△▼△▼△▼
ハゲを連行しました。校長室です。
「校長先生...どういうことですか?」
「ふむ、その状況じゃと退学の話を聞かされたのじゃな?」
いつもなら、のじゃロリふぉぉぉぉ!!とかなるが、今日に限っては、のじゃロリ...いいっ!くらいで止まっている。俺は怒ってるんだぞ(プンプン)!........ふざけすぎた。念のため、魔法を待機状態にしておこう。ここら一帯を吹き飛ばすヤツ。
「なに、そんなに身構えるでない。...まて、その魔法はいかん。死ぬ!わし死んじゃうから!」
「ちっ」
「舌打ち!?殺戮魔法待機させておいて舌打ち!?」
のじゃロリに免じて許してやるか。
「ふぅぅ、調子狂うわい...あぁ、闘技場の話じゃったか。ルールについてはドルトン先生から聞いているね?」
「さっきから気になってたんですけど、“ドルトン先生”って誰なんですか?」
「................えっ?」
「え?」
ロリが「なに言ってんのコイツ?」見たいな顔してる。俺も負けじと真似する。...フードの下で。
「えっとな、お前のクラスの担任の名前なのじゃが...お主、自己紹介はしてないのか?」
「無論、しました」
「........名前、あったんだ...」
驚きの新事実!ハゲ...名前あったんだね。
「まて、お前は何に戦慄してるんだ!?そしてその生暖かい視線ヤメロ!」
さっきまで扱いが空気だったからね。叫びたいんだね。分かるぞ、同志よ。
「お主ら仲良いのぉ...」
ロリの視線も混ざり、校長室は混沌へ...導かれなかった。導かせん!
「で?どゆこと?」
「あぁ、話が大部脱線したな。...そう、闘技場の話だったのぉ」
「は?退学じゃないの?」
「まぁまぁ、そう焦るな。わしは逃げんかなのぉ」
あぁぁもう!ペースが乱される!厄介な相手だぜまったく。
「お主には...闘技場で優勝してほしいのじゃ」
「嫌だ」
「そくとぅっ!?速すぎないか!?考えてないじゃろ!!」
そりゃぁ、まぁ、ね?
「俺は、当日見学する予定があるんだよ。先約だ」
「........女かの?」
「は、はぁっ!?女じゃねぇし!!男だし!友達だし!!」
「ほっほっほっ、若いっていいのぉ」
くっそぉ.....DTの心で遊びやがって...察しろよ!今までそんなの縁がなかったんだよ!
「彼女に、格好いい姿。見せたくないかえ?」
「........ッ!!」
「もし、優勝したら大層喜ぶのではないかえ?もしかしたら、そのまま付き合えるかも...」
「ッッッッッッッ!!!!........何が目的だ?」
「...生徒の質の低下。クラス分けによる、向上心の減少。それを、Eクラスであるお主が優勝したら...どうなるかの?」
「『努力したら、俺/私でも...』って感じか?」
「その通りじゃ。もっとも、うまく行くかは判らんけれどな」
........そんなに上手く行くもんかね。
むむむむむ...どうしたものか。
「幸い、実力はあるようじゃしの」
バンバン! とロリは自分の机の上に乗っている資料を叩く。
「うん?...これは...」
そこには、過去に俺が受けた上級の依頼書が...
改めて見ると、コレハヒドイ。...よし、封印しよう。忘れよう。そうしよう。
「お主、本当に人間かの?」
「失敬な。人間だよ。...分類上は」
「自信ないのか........」
若干、人間か疑わしいがこの際気にしない方向で行こう。
「受けてくれなかったら退学かのぉ~...」
このロリ、聞こえるように呟きやがったぞ。今なら、殺すことは容易だろう。だが、その後のことを考えると...殺さないでおこう。
優勝か、退学か...うーむむむ。
はぁ、こんなの選択肢ないじゃないか。
「はぁ、分かったよ。受けるよ、優勝すればいいんでしょう?」
「うむ、分かっておるではないか!国王様からの命令でもあるからな!最初から拒否権なんて無かったのじゃが!」
ロリは、その日一番の顔で笑った。
その顔は、どこまでも、どこまでも澄んでおり...そして、深淵よりも漆黒であった。
△▼△▼△▼
「あっ、アオト君!ドルトン先生連れて何処行ったの?」
「あぁ、ちょっと校長室まで」
「...なんで校長室の扱いがそんなに軽いのか知らないけど、で?どうだった?」
「........退学は免れた」
「良かったじゃ...」
「でも!」
「はい」
「...ウェンディと闘技場の見学出来なくなっちゃった」
「ふ、ふぅん...残念ね。それより、ちょっとこのあと予定があったから急いで帰るね!バイバイ!」
「バイバ~イ」
言うが早いか、ウェンディは教室から飛び出した。
随分そわそわしていたけど、どうしたのだろうか?なんだか、笑っていた気がしたのだが...気のせいか。
このとき、ウェンディの心の中は一つの物事で頭が一杯であった。それ即ち...
(やった!やった!これでエリック様と闘技場を見学出来るわっ!!!ありがとう校長先生!)
嗚呼、アオトの味方は何処に......
△▼△▼△▼
「...国王様、下準備は完成したのじゃ」
「うむ、ご苦労。ところでさ、プライベートなんだ。国王様は止めないか?」
校長は一瞬考える仕草をし、
「わかりましたのじゃ、“創造神:アダム”様」
「おいおい、これまた随分古い呼び名を持ってきたねぇ...そういえば、イヴは元気にしてるかねぇ。近頃呼び戻そうかと思ってるんだけど」
「その方がよろしいかと。間に合わなくなりますからね」
二人は嗤った。まるで地に響くような声で。
「さて、アオト君。君はどんな声で泣くのかな?
―――――――パーティーの始まりさっ!」
アイルギアの夜は更けてゆく。空は真っ黒。其はまるでアオトの未来を暗示しているようで...
ふぅ、テストが(色々な意味で)終わりました。
学生の皆さん...頑張ってください!作者は学生の味方ですよ!
テストも終わったので連載再開です。
お読み頂きありがとうございました。




