35話
エンシェントドラゴン...それは、世界で最も神に近い存在と言われている。
実力はさることながら知能も発達しており、英才教育を受けているそこらの貴族よりも頭が良いと言われているほどである。
エンシェントドラゴンと龍の違いは主に生きている年数で決められている。つまり年齢だ。エンシェントドラゴンになるためには、龍が1000年以上生きることが最低条件である。その龍が強さを求めて初めて『古代の龍』に“存在進化”することが出来るのだ。
...長々と語っているが、つまるところとってもヤヴァイ存在なのだ。
そして、そんな存在を討伐しようとしている馬鹿が一人と一刀。そんな人がいたら、貴方はどうするだろうか?引き留める?それとも送り出す?
そんな選択を強いられている人物がここに一人。
「ちょっと何いってるかよくわからない」
おっと、思考回路をシャットアウトしたらしい。
「初代。俺、これからエンシェントドラゴン討伐に行くから。国王様に、“アオトがエンシェントドラゴン倒しに行った”って伝えておいて」
「誰が同じこと2回言えと言ったのよ!」
えぇ~。だって初代がよくわからないとか言ってたからもう一度言ってあげたのに...女心はよくわからないなぁ(遠い目)
「だいたいっ!何で国王様に伝えなきゃいけないのよっ!?」
むっ?コイツ知らないのか...?
「前に国王様に会ったんだけどさ...」
「待ちなさい。何でそんなに軽く国王様に会えるのよ!?なにその、「久しぶりに同級生に会ったんだけどさ」みたいな感じは!?」
う~ん...だって国王様が『俺のことは友達と思ってくれていい』とか言うから此方としても遠慮なく友達として扱っているのだが...不味いか?
「まぁ、会ったんだけどさ。そのときに、『何かデカイ依頼を受けるときは俺に連絡しろ。しや、してくださいお願いします』って言われたんだよねー」
「何で国王様が敬語使ってるのっ!?国王様と何があったの!?」
...ちょっとこの世界の魔王を一匹狩ってきただけ。とは言えない...くぅ~世知辛い世の中だぜ。
「まぁ、そんなわけだからヨロシクね!」
「まっ、待ちなさい!...私も行くわ!」
どうしてそうなった。君の頭の中でどのような葛藤があったんだよ。さっさと帰ってエリックとイチャイチャしてろよ。...なんか考えてみたらイラッてきたな。
「初代...正直言って足手まといは要りません」
「なぁっ......!?」
アホみたいな顔してるけど、断られるのがそんなに以外だったのか?ハッ!思い上がりが過ぎるぞ?
「これでも先代の魔王を討伐をした勇者パーティーの一員よ。活躍することはあれど足を引っ張ることはないハズよ」
「...そういうのが思い上がり過ぎと言うんですよ。先代の勇者パーティーに入った?だから?魔王を討伐した?で?俺が討伐しに行くのは魔王でも勇者でもなく『古代の龍』ですよ?貴女に出来ますか?最悪、死にますよ?」
死...という言葉を聞いた瞬間に初代の体は一瞬ビクリと震えた。なんだ、やっぱりお前もそうなんじゃないか。
「...やっぱり貴女も死ぬ覚悟なんて決まってないじゃないですか。いいですか?俺は貴女が死んでもぶっちゃけどうでもいいです。確かに、貴女には剣を学びました。ですが、それだけです。...だけど、貴女が死ぬと悲しむ人がいる。エリック達を残して一人で逝くことが出来ますか?俺はそこら辺はとっくに整理がついてるので問題ないです」
初代はずっと無言だ。俺の言葉を一つ一つ噛み砕くように、ゆっくりだがしっかりと理解しようとしていることが読み取れる。
「いいですか?俺がこれから行くところは『戦場』ではなく、『死地』です。あそこは理不尽が空を駆け、己に牙を向く場所です。...そんなところに行くんですよ?」
まぁ、ぶっちゃけ俺はストレス解消の為に行くのだが。あぁ、後“黒”との同一化だな。
...それにしても、今日の初代はいつになく頑固だな。何か引けないモノがあるのだろうか。それなら...俺と同じだな。
初代が何かを決めたかのようにこちらを向く。その視線は真っ直ぐ俺を見つめていて、瞳には“闘志”が宿っていた。
...不覚にも口角が上がることを抑えられそうにない。同じだ。コイツも俺と同じだ。その目は............戦闘狂の目だ。
「それでも引けないというなら...着いてこい。死にもの狂いで。それが出来なければ死ぬだけだ。死にたくないなら精々頑張れ」
「えっ?それって......」
「急いで準備しろよ。本来なら今すぐ出たいところだが、特別に待ってやる。10分で用意しろ。」
「わっ、分かったわ!待ってなさいよ!」
パタパタと初代が遠ざかっていく音が聞こえる。
...さて、実はあまり時間がなかったりするからな。明日から学園も本格的に始まるし。だいたい後4時間くらいで日が沈むからな。三時間以内には帰ってきたいところ。
うーむ。どうしたものか...
「アオトー!!行くわよっ!」
「...あぁ。出発するか」
『...なぁ、俺の出番は?』
あっ、すっかり忘れてた。
△▼△▼△▼
エンシェントドラゴンは、基本的には討伐依頼を出されることはない。頭がいいから、人間に狙われるような行動を起こすことはしないからだ。
だが、今回の討伐対象は少し違う。このエンシェントドラゴンは町を五つ潰している。因みに、五つ目の町は隣町だ。
どうやら、ある人間がエンシェントドラゴンの逆鱗に触れたらしく...そんな訳で、今回は少し規模が大きい事件になったから人間側としても無視できないのだろう。
...エンシェントドラゴンは、報酬が高いのでストレス解消のついでに金稼ぎも出来るかな~と思って受けただけだ。1000年の歳月も俺の前には皆等しいのだよ...
そして現在、俺は“飛んでいる”いや、“跳んでいる”と言ったほうがいいか。
そうです。懐かしの魔力を足裏に固めて、それを踏んで空を走ってます。初代は出来ないと言うのでお姫様抱っこです。たまに腕に柔らかいモノが当たるので集中できません。...役得だなんて思ってないんだからねっ!
さっきまで「ひゃぁぁぁーーー!」と、女の子あるまじき声で叫んでいたけど今は気絶してます。
「おっ、この馬鹿デカイ魔力は...あっ、やべっ。見つかった」
刹那、俺の目の前で理不尽な暴風が巻き起こる。
「ひゃぁぁぁぁーー!!何よっ!?何があったのよ!?」
「ん?起きたか。大丈夫だ。エンシェントドラゴンに見つかっただけだ」
「どこが!?見つかっただけでも万死に値するらしいわよ!?」
エンシェントドラゴン器ちっちゃ!1000年以上生きてるくせに...
「取り敢えず、話し合いから入るか」
「何を話すのよっ!?」
「えっ?『ちょっと永遠の眠りにつきませんか?』って」
「馬鹿なの!?馬鹿なんでしょ!?絶対そうだ!馬鹿なんだよアンタ!!」
まったく、人のことを馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿うるさいな。余計なお世話だって言うんだよ。
暴風がうざいが、エンシェントドラゴンに突っ込む。挨拶がわりに此方も攻撃していいんだよね?
「やぁやぁエンシェントドラゴンさん」
『...貴様、何しに---』
「穿て!『滅びの爆炎』!!!」
瞬間、世界から音が消えた。遅れてくる轟音。まるで世界が鳴いてるのか、と錯覚させられるほどだ。
爆煙が晴れると、そこには...
頭を残して、下半身と上半身を消滅させたエンシェントドラゴンの残骸がそこにはあった。
どうやら超固いと言われている頭部を残して消え去ったもよう...
「「『..................』」」
重い沈黙が場を支配する。そこで最初に口を開いたのはアオトだ。
「...け、計画通りだ。完璧な仕事だったな。うん。さっ、回収して帰ろうぜ!」
『...俺の出番...............』
そそくさとエンシェントドラゴンの頭部を回収するアオト。そこに、ようやく復活したアイーシャのツッコミが入る。
「いや、なんでやねん」
無視して作業を続けるアオト。回収し終わると、
「初代、これからするとこは秘密にしてて下さいね。もし、誰かに話したら...さっきの爆発が襲うかもしれないので」
「......しっかり説明してくれるのなら約束してもいいわ」
「えっと、俺が完全に復活します。...要するに、アオト:完全形体って感じのやつです。以上!」
一瞬考えるような動作を見せた後。
「ちょっと何いってるかよくわからない」
まさかの二回目である。まぁ、考えが正常な人なら、当然の反応と言えるので無視しておく。
「“黒”、一つに戻るぞ!」
『やっと?俺の出番やっとなの?』
ついに、“黒”と“白”の歪な関係にピリオドが打たれる瞬間がやって来た。
うぅ...学年末が迫ってきてます...
テストやだぁ...
この作品を読んで下さっている方には申し訳ありませんが、テスト期間にそろそろ入るため毎日投稿が出来なくなるかもしれません。
申し訳ないです。
お読み頂きありがとうございました。




