31話
これからは基本、“白”視点でいきます。
はーい、アイルギアに入ったのでエリック家の目の前に来ております。町並みは全くと言っていいほど変わってなかったね。なので早速エリック家の前に来ているということだよ。
...なんだろう、我が家(自称)なのにメッチャ緊張する。とっ、とりあえず冒険者ギルドに行って一仕事してこようかな?べつに逃げてる訳じゃ無いんだからねっ!勘違いしないでよねっ!?
「おーい、いつまで悶々としてるんだ?入るぞ?」
「おいっ!待て!俺は先に一仕事してくる!だからお前も付いてこい!」
「......逃げてるのか?」
「否...断じて否だっ!」
「はぁ、仕方ないな...わーったよ。付いてってやるよ」
「サンキュッ!」
二人でとことこ冒険者ギルドまで歩く。すると、正面から三人組の男達が声をかけてくる。
「なぁ、そこの可愛いお嬢ちゃん。一緒にイイコトしないか?隣の怪しいやつなんかより、俺のほうが上手いぜぇ?」
「おうおう...中々の上玉じゃねーかよ!なぁ...いいだろ?一緒に大人の階段登ろうや」
「......お前らロリコンかよ。一応止めたからな?」
なんか三人目だけまともなこと言ってる気がするが、この際気にしないことにしよう。
因みに俺の服装は、真っ黒なフード付きのマントを着ている。勿論、フードを被った状態だ。...怪しいやつ呼ばわりされたのも納得いく。“黒”は、フードはなんか嫌だとか言って被ってない。
えっ?なんでフード被ってるかって?...俺(白)と、“黒”の顔面偏差値の比率がヤバすぎたため、俺の顔は封印中だ。...顔、戻そうかなぁ。
「悪いけど、あんたらにゃかまってられないんでな。他をあたってくれ」
まぁ断るよね。確かに顔は可愛いけど、体と中身は男だもんね。むしろ付いてかれたら、今後の対応に困るよ。男と大人の階段登った自分の片割れにどんな顔して会えばいいんだよ...
「じゅるっ...声まで好みだぁ...いいよな?このままお持ち帰りしちゃっても」
「あぁ。けっけっけっ...今からこいつを服従させるところを想像すると...たまんねぇなぁ」
「......なぁ、俺帰っていいか?そういうのはお前らだけでやって欲しいのだが...」
はぁ、面倒くさいことになったなぁ...
「おい、“黒”。どうするよ、コレ」
「う~ん...取り敢えずお前の魔法で眠らしとけばいいんじゃね?」
そうかぁ~。その手があったか~。
「ほ~れ、お嬢ちゃん。痛い目見る前にさっさとこっちn...」
「『魔法創造:悪夢』...寝とけ」
三人組の男達を寝かせる。...え?三人目の人は何もやる気なかったって?そんなの知らないよ。アイツらと一緒にいたのが運のツキだね。
バタン
町中で突然三人の男達が倒れる。野次馬が集まってきているが、注目を受けたくないので自分達に認識阻害の魔法を掛けておく。これで面倒なことは避けられるだろう。...最初から掛けとけばよかったね。
△▼△▼△▼
冒険者ギルドは、この町で二番目に大きい建物だ。とても目立つ。
因みに一番大きい建物は、この町の領主の屋敷だ。家は無駄に豪華な癖に、様々なところで金を出すのを渋るという、普通に屑だ。旅立つ前、一度だけ領主の家族を見たことがあるが、全員ブクブク太っていてまるでオークのようだった。...顔は俺といい勝負かもしれない。
冒険者ギルドは、正面に大きな剣が二つクロスしているのが目印だ。デカイし、目印もある。迷う要素などない。道に疎い俺でも分かった。
ギィッ......
木製の両開きのドアを片方開けると、目の前には...
「っざっけんなゴルァ!」
バキッ
何かを殴った時の音と共にガタイが厳つい男が飛んでくる。えっ、普通に怖いんですど...
巻き込まれたくないので、“黒”と一緒にヒョイッと避ける。すると飛ばされた男は空中で回転し、体勢を整えると扉を蹴って殴った相手に突進していく。...ずいぶんアクロバティックな動きをする大男だこと。
「ふざけてんのはテメェだコラァ!」
そして始まる殴り合い。この一連の動きはよくあることなのか、ささっと机を端に寄せるギルドの従業員らしき人物。周りは野次馬が囲み、一瞬にして決闘場が出来た。一連の動作の早さに感動しつつ、一体何が起きているのか近くにいたお兄さんに尋ねてみる。
「すみません。コレ、何が起きているのですか?」
「ん?おお、お前最近ここに来たのか?うちじゃ結構よくある光景だぞ」
「あぁ、なにぶん今日来たもので...」
「アレはな...女の奪い合いさ」
...? よく意味が分からない。首を傾げていると。
「あぁ、言葉が足りなかったな。すまんすまん」
「いえ」
「アイツらはな、ここらじゃ有名なBランクのパーティーなんだがな、男二人と女一人の組み合わせなんだよ。その女が男二人と体の関係を持っていたらしくてな...子供を孕んじまってもう冒険者として行動できそうにないから二人のうち一人と結婚しよう。とか言い出してな...」
...なんだか複雑な関係を持っているようだ。
「それでどっちが結婚するか決める話になってな。その成り行きで喧嘩になってな...おっと、子供に話す内容じゃなかったな。忘れてくれ」
「いや、助かる。ありがとう。...それよりアレはどうしたらいいだろうか?」
「ハッ?アレってなん...」
俺の視線の先にはBランクパーティーの男二人を足蹴にし、どや顔している“黒”の姿があった。
あぁ...あの馬鹿...俺にまた仕事増やしやがって...
「おいおい...アレは一体ど言うことなんだ...?」
「......すまん。うちの連れだ」
「...色々苦労してんだな。頑張れよ...」
「あぁ。言われなくても...」
すると、ギルドの奥から筋骨隆々の大男が出てきた。“黒”の足下にいる男よりも一回りデカイ。
「おいっ!テメェら!!またやってんのかっ!
!」
ギルドに響き渡る大声で叫ぶ男。この流れ...多分コイツは...
「やっべぇ!ギルマスだっ!!皆!散れっ!」
蜘蛛の子を散らすように逃げていく。...やはりギルマスか。
「おい!そこの男!...女?こっちに来いっ!」
さて、どうやってこの状況を切り抜けようか...
「は~。疲れた...“白”!帰ろうぜ!俺はもう満足なんだけど!」
「馬鹿野郎!!コレどうするんだよ!!」
下に轢かれている男達を指差して叫ぶ“白”
「えっ?ギルドの床が吸収してくれないの?」
「アホかーー!!ここはダンジョンじゃねーし、それはまだ生きてるだろっ!?」
「...よし、お前も共犯か。君もこっちに来ようか」
何故俺まで巻き添えにっ!?おい、ギルマス!しっかり判断しやがれ!お前の頭はお飾りか!?
「......ほう。中々言うではないか。そんなに死にたいのか?」
やっべ、声にでてたわ。
「とにかくっ!俺達は用事があるので帰ります!!」
こんなところで悪目立ちしたくないっ!!
「此処では俺が絶対だ。それでも従えないのなら...俺を倒してから行くんだなっ!!」
デカイ割には俊敏な動きを見せてくれるギルマス。そして、俺達に中々なスピードで突っ込んでくる。伊達にギルマスをやってないな。だけど...
「「俺達には届かないな」」
結界魔法を貼る“白”。ギルマスを結界で閉じ込める。これでもう身動きは出来ない。うおっ、コイツ...俺の結界を破ろうとしてきやがる...いいじゃねぇか。その挑戦、受けてやろう!
「おりゃぁぁぁ!!」
俺は結界魔法は苦手だが有り余る魔力を存分に使い、力(魔力)でごり押しする。
「ぐあっ...み、身動きが出来ん...」
ドヤ、全開の結界魔法や。多分魔王くらいなら縛れると思うで!...なんか俺の体が、バキリ バキリとか言ってるけど...あっ、ヤバイヤバイ超痛いんだけどっ!?
俺が苦しんでいる間に“黒”は、のんびりギルマス(拘束ver)に近づく。そして喉に刀を向ける。
「...で?これでいいかい?ギルマス?」
「チッ...わーったよ!お前の自由にしろ!その代わり速く結界を解いてくれっ!!体が痛い...」
“黒”は刀を収めると、“白”に向かって結界を解いてやるように叫ぶ。だが、一更に結界を解くような動きをしない。寧ろ、全く動かない。
何かあったのか、不安に思った“黒”が“白”に近づくと...
「あっ、気絶してんじゃん」
「嘘だろお前ぇぇぇぇっ!!」
結局“白”が復活するまで、小一時間ギルマスは拘束されていたというが...その後、二人のアオトは音速を突破する速度で逃げたのは言うまでもないだろう。
お読み頂きありがとうございました。




