27話
冒険者に登録して早半年。“その時”は突然やって来た。何の前触れもなく、ただ、当然のように。“その時”が来た瞬間、アオトはどのように対処すればよかったのか。そして、どのように“それ”に向かい合って生きていくのか。全てはアオト次第である.........
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俺は、【裏迷宮】に通っている。これは、もう習慣になり始めているのだが、一向に迷宮の終わりが見えてこない。文献によると100階層まであるらしいのだが......あっ、今110階層越えた。
「...おい、どういうことだ?100階層までではないのか?」
『現在110階層越えました~。この調子で頑張ろう!』
...半年に渡る迷宮攻略のせいで“黒”が壊れかけているが無視して進む。
~二週間後~
『は~い!126階層に到着で~すっ!えー、トイレの方はここから見まして左手にあるので、なるべく済ませておいてくださいね~!』
「お前は迷宮に観光をしに来たのか?」
遂に壊れた“黒”。南無三。
「「「ギシャァーー!」」」
洞窟の影から蝙蝠さんご一行登場。だが残念、出落ちしてもらおう!
「まぁ~たお前達か...そろそろ学習してくれないかなぁ...
『魔法創造:超極小太陽』!」
部屋をめっちゃ明るくします。か~ら~の~...
「影魔法:影縫い!」
「「「ギギギッ!?」」」
俺が造り出した擬似太陽に影を作らせ、その影を利用して蝙蝠達の首を影の力で落とします。いやー、痛快&爽快です。蝙蝠の血がピューーって噴き出すのを見るとすっきりした気持ちになります。......俺の性格、大分歪んだな。まっ、強くなるために仕方なかった気もするからな...ここは割りきるしなないだろう。
蝙蝠が赤い花火を咲かせてくれているなか、のんびり考え事をするアオト。その赤い花火が地面に大きな血溜まりを作り、自分の顔を覗きこんだ瞬間にそんな緩い考えは一気に吹き飛んだ。
「......ハッ!?誰だこりゃ!?俺...なのか?いや、それにしては可愛すぎる!」
『おいおい、“白”。いくら顔にコンプレックス抱いてるからって整形はよくないぜ...正直、見損なったよ』
急に素に戻る“黒”、今までの壊れっぷりはいったいなんだったのか...
「おぃぃぃぃ!何勝手に解釈してんだよっ!?そしてお前も俺の一部だ!自分の性格を見損なってどうすんだっ!!」
『いやっ、流石に整形はちょっと...』
「だからしてねぇって言ってんだろぉぉぉぉ!!」
そう、血溜まりには、“知るはずもない顔”が映っていたのだ。...マジ誰?
アオト、一人で喧嘩をすると言う高等テクニックを見せつてくる。やはり、称号に“最強のぼっち”と入っている奴は違うな......流石はアオトである。そこには、痺れも憧れも存在しない。
とにかく、やっと自分の顔の驚異的なまでの変化を理解したアオト。むしろ何故今まで気がつかなかったのか、甚だ疑問である。
魔法で鏡を作り出して確認してみる。そこには...肩まで伸ばした白髪。形のいい眉毛。程よく大きい瞳。小ぶりな鼻。澄んだ桃色の唇。まるで完成された美術品のようである。この顔はかつてのロリ魔王を彷彿とさせる。ぶっちゃけ...メッチャクチャ可愛い。思わず見惚れてしまう。
「はぁ...本当になんなの?や、まぁ可愛いんだけどさ...なんと言うか...男の尊厳的なものがヤバそうと言うかなんと言うか...」
『ほら、今なら衛兵さんの所まで一緒に行ってあげるから。さ、今すぐ迷宮なんて出て、今度は牢屋に籠りましょうね?』
「だ・ま・れ」
『(´;ω;`)』
「どうやって“それ”を俺に伝えてるんだよ...その謎技術のほうも気になるよ...」
“黒”は暴走に拍車が掛かって来てるので、今度お仕置き確定、と心のメモ帳に書いておく。コレ、絶対に忘れません。
「うーん、“アレ”やって見るかね...
『時空魔法:身体改造』!」
顔を変えるのは少し惜しい気もするが、そこは無理やり理性で押さえ込む。押さえ込む...けど迷う。うーん、変えようかな...迷うな... 結局変える。元の顔、体格に戻る。
「あれ?何だろう?凄い違和感が......あぁ、体格を弄ったのが悪かったのか。やっぱりこの魔法、あまり使い道ないかな...?」
もっとも、戦闘面ではの話だが。
『衛兵さんの所に...行きますか!?行きませんか!? 行きま...............す!』
「行くかボケ。よし、こんなもんでいいだろう。後はひたすらこの体に慣れるしかないのか...めんどくせぇ...」
そう。アオトはこの魔法を悪用せず、封印することにした。こんな魔法、残したってろくなことにならないのは目に見えているからだ。この選択をしたことにより、アオトの未来が変わる程の大事な問題だったのだが...まぁ、本人次第である。その結果、この魔法を公開して有名になるのではなく、自分に使って意中の女を落とすでもなく、封印した。アオトの人のよさが滲み出ている気がする。もっとも、今後どのようにこの魔法と向き合うかによって俺の生き方が変わってくるかも知れないな......たかが魔法一つの為に人生の話をすることになるとはな...
だが、アオトは少し勘違いをしている。考えてみてほしい。人の体は、いくら魔法が絡んだとしてもそう簡単には変形できないことぐらい考えれば分かるはずだ。だが、事実としてできてしまった。これは、アオトの『称号:人外』が関係していた。
以前説明したとおり、『称号:人外』には特殊な追加効果を得ることが出来る。それは、“肉体という概念の突破”である。これは要するに、アオトは片足を神の領域へと突っ込んでいる状態なのだ。
“肉体の概念”が無いということは体が半分精神生命体ということてあり、すでに現世へのしがらみを断ち切ることで完全な精神生命体へと『存在進化』することが出来る。仙人なんかがいい例だ。あれ、ほとんど神様だから。
~1週間後~
『グギャァァァアァァ!』
「あぁ五月蝿いな...」
ベキッ!
バキッ!
「はぁ、やっと静かになったよ。」
話は6話に戻る。
この日、遂に俺は[獄炎の牢獄]をクリアした。うっかり邪神狩ろうかなとか言っちゃったけど、流石にそんな気はもう起きそうにない。元々、俺が裏迷宮に挑んでいるもの唯の気紛れなのだから...
なので、今日はお待ちかねの“あの日”です!
えっ?“あの日”って何の日かって?
......久々にエリックの家に顔出します。心臓がバックバクです。まだ裏迷宮すら出てないのに...
精一杯のお洒落(アオト流)をしてエリックの家へ向かう。因みにアオト流のお洒落とは、動きやすい服装をして、腰に刀をぶら下げる。アクセントとして、刀をかけてない方に“無限収納”の附与をしたポーチを下げておく。ドヤ?お洒落やろ?
顔出す理由は、一重に学園のためです。町の人の話を聞くと、“入学試験”なるものを受けて、その優秀さでクラス分けを行うそうたから行かない訳には行かないらしい。受けなかった場合は最低クラス入りだ。
頑張って自分を鼓舞する。
“いよいよラストプロセスだ”と。
お読み頂きありがとうございました。




