22話
「『さぁ、俺を愉しませてくれっ!! 』」
戦いの火蓋は切って落とされた。
最初に動いたのはアオト(黒)。二振りの刀を抜き身にして、魔王の方へ突っ込んで行った。
彼は戦闘狂のため、じっくり駆け引き...なんてことは出来ない。出来たとしても絶対にしない。何故なら戦うことに快楽を感じているのだ。救いようのない変態である(by“白”)
......どうやら魔王様は接近戦が苦手のようなので、もしかしたら弱い者から叩く。という考えの上での行動かも知れない。あるいは...本能か。恐らく...多分...いや、絶対本能で動いている。
「やらせるかぁっ!」
咄嗟に邪神が前に出る。だが、その選択は...
『邪神、それは悪手だよ』
直後、邪神の体ごと魔王を切り捨てたアオトが、彼女らを見下ろしていた。
腰辺りから一刀両断された邪神。上半身と下半身がお別れ(物理)している。その後ろの魔王様は両肩の付け根から腕をバッサリ斬られ、パニックで魔法が使えないらしい。
「............」
「くはっ...ま、魔王さま...だいっ、丈夫ですか?」
「いたい、いたいよぉ~...うぅ~...」
「貴様...どうやってワタシを斬った?」
「...............」
ごめん邪神。それ、理性飛んでるから何喋りかけても無駄だよ。俺の言葉さえもたまに反応しなくなるからね。
説明しよう!さっきの攻撃で“黒”は、ある技を使った。それは...『極.剣術:剛撃須佐之男』の、応用技である。この技は本来4連撃なのだが、途中を無理やりはしょり、4連撃の中で致死率の高い斬り方を選んだのだろう。それを彼女らにぶつけた、2連撃になって退化してるんじゃない?馬鹿なこと言うもんじゃないよ。4連撃から2連撃なったことでより素早く、正確にターゲットを殺すことができるようになったのだ。
頭はアレだが、戦闘のセンスは飛び抜けてるのだ。...頭はアレだけど。
まぁ、はしょった理由は分かる。『剛撃須佐之男』は、硬い敵に当てる技なのだが、以外にも邪神が柔かったため、手加減したのだろう。...優しいのか?イマイチ分からんが...瞬殺でもつまんないから、きっと(俺に)気を使ってくれたのだろう。トドメは俺が刺したいからね。
「ぐっ...魔王様、下がっていて下さい。......本気を出します」
「がん、ばって...下さい」
おぉ、流石邪神だ。もう上半身と下半身がくっついてる。さて、本気を出すらしいがどこまでやるのかな?
「...............(ニヤッ)」
はい、“黒”も本気で来ると言われて嬉しそうです。
『“黒”、やばかったらアレ使うぞ』
『わかった。でも...まだひとりでよゆうだ』
...あ、一人で余裕だ、ね。“黒”は、戦闘の時になると著しく知性が下がるので、多目に見てやって下さい。
「これを使ったら、もう後には引けぬ...小僧、覚悟しておけよ!!」
『ハッ!今さら覚悟決めるんじゃおせぇんだよ!覚悟なんざ、6年前に決まってるわ!』
邪神には聞こえないだろうけどね。
「はぁぁぁぁぁぁあああぁぁぁ...」
なんか力貯めてる。でもさ...
『“黒”、ちょっと代わって』
「...(コクン)」
チェンジ
「待つとでも思ったか、雑魚がっ!
魔法創造:極.滅びの爆炎!!!」
ドッッッッカァァァァンッッッッ!!
爆発の余波で世界自体が揺れたかのような、いや、本当に揺れたのであろう爆発が邪神を中心に発生する。変身?そんなの待つわけないでしょ。
また再生されちゃ困るから消し炭にしようと思ったけど......
「グワァァァァァァァァ!」
「じゃっ、邪神様っ!守って下さったのね!」
はい、間に合いませんでした。ある意味お約束な展開のような気がして、少し負けたような気持ちになりました。
「とりま魔王死ね」
無慈悲に放たれた無数の光の矢が魔王の体を貫く。邪神に妨害されないように、わざわざ『時空魔法:ゲート』なるものを使って直接魔王に当たるようにしたため、魔王は即死したっぽい。ざまぁ。
「ギュワァァァァァァァァァ!」
「おーおー、怒っちゃって。そんなに怒ると血圧上がっちゃうぞー?」
こんなに余裕ぶっこいてる“白”も実はそんなに余裕は無かったりする。負ける気はさらさらないようだが、魔力が心もとない。何故なら、さっきの『極.滅びの爆炎』によって魔力の8割がたもっていかれたのだ。それに加えて、さっきの魔王を殺すために結構な大技を使ったため、魔力の残量は1割を切っている状態なのだ。
「あー、もう体中だるいな...遊んでないでさっさと殺すか」
“白”は、非常に辛い倦怠感を味わっているため、だるそう...だるいらしい。
『おい“白”、アレをやるのか?』
「あぁ、疲れたから一気にやるわ」
「グリャャャャャャ!」
「おいおい、空気読めよ。いまいいところだろ?」
邪神が石化の魔眼を使ってくる。疲れて動きが鈍っているアオトは避けられない...否、避けなかった。
石化の魔眼の直撃を食らったアオトは徐々に足から石化して......いない。はて?どうして?と、邪神は不思議そうにアオトを眺めている。
「おいおい邪神よぉ、まさか魔力の総量が多い相手には状態異常は掛からないってことを知らないなんてないよなぁ?」
邪神は困惑している。人間の形態の時はともかく、今の自分は能力を全て解放しているのだ。そして理解した。自分の前にたっているのは弱小種族の皮を被った化け物だ、と。
たが、それを理解したのは少し遅すぎた。
「魔法創造:合体!!」
アオトの体を不思議な障気が纏う。“黒色”と“白色”の障気が。
次第に障気が薄くなっていく。すると、そこに立っていたのは...
「よう邪神、さっきぶりだな」
髪が黒髪と白髪を不規則に並べ、瞳を黒と薄い金色でオットアイになった少年...本来の姿となったアオトが立っていた。
「さぁ、第二ラウンドといこうか。簡単に潰れてくれるなよ?」




