迷子のちいさな流れ星
その夜、ココアちゃんが三日月ブランコの上でモコとお喋りをしていると、夜空のすみに「シューッ」とひとつの光が走りました。
「あ、流れ星だ!」
ココアちゃんが思わず手を叩いたときです。
ポツン、と小さな音を立てて、三日月のすぐそばに何かが落ちてきました。
「痛たたた……」
声のする方を見てみると、そこには手のひらにすっぽり収まるくらい小さな、黄色い星の子がうずくまっていました。
でも、普通の星と違って、なんだか元気がありません。
体から放たれる光も、消えかかったローソクのように弱々しくチカチカと揺れています。
「ウララ! 大丈夫かい、星の子ちゃん?」
モコがフワフワの体を寄せて心配そうに覗き込みました。
星の子はうるうると涙を浮かべながら、小さく首を振りました。
「あのね……夜空のお散歩をしていたら、スピードを出しすぎて、お母さん星たちとはぐれちゃったの。どこに帰ればいいのか分からなくなっちゃって、光るパワーもなくなってきちゃった……」
「それは大変! お家が分からなくなっちゃったのかぁ」
ココアちゃんは胸がキュッと痛くなりました。
暗い夜空で一人ぼっちになるなんて、どんなに心細いことでしょう。
「大丈夫だよ、星の子ちゃん。ぼくたちが一緒にお母さんを探してあげる!」
モコが力強く胸を叩くと、星の子はほんの少しだけホッとした顔をしました。
「でも、星の子ちゃんの光が消えちゃいそう……これじゃ遠くまで飛べないよね。モコちゃん、何かいいアイデアはある?」
「任せて! 星の子ちゃんに必要なのは、甘くてあたたかい『お星さまのエネルギー』だよ!」
モコはそう言うと、自分のお腹にあるフワフワのポケットに手を突っ込みました。
そしてゴソゴソと探ると、小さな瓶を取り出しました。中には、キラキラと輝く星くずのジャムが入っています。
「はい、これを一口食べてごらん!」
ココアちゃんが瓶からスプーンでジャムをすくい、星の子のお口へそっと運んであげました。
星の子がハチミツのように甘いジャムをペロリと舐めると——。
ジュワ〜ッ!
星の子の体が内側からぽっと温かくなり、みるみるうちに輝きを取り戻していきました。
チカチカしていた光は、まるで太陽のカケラのように眩しくキラキラと輝き始めます。
「わあぁ! 元気が出てきた! からだがとっても軽いや!」
「良かった! じゃあ、お母さんを探しに出発しよう!」
ふたりと星の子を乗せた三日月ブランコは、夜空の奥深くへと向かってすべり出しました。
「おーい! 星の子ちゃんのお母さーん!」
モコが大きな声で呼びかけると、遠くの天の川の近くで、ひときわ大きく輝く星たちの群れが揺れるのが見えました。
「あ! あれはお母さんたちだよ!」
星の子が嬉しそうに叫びました。三日月が近づくと、大きな星たちが、
「探したのよ!」
「良かった、無事だったのね!」
と、星の子を優しく光で包み込みました。
「ココアちゃん、モコちゃん、助けてくれて本当にありがとう!」
星の子はお母さんたちの元へ戻ると、感謝の気持ちを込めて、夜空いっぱいにくるくると大きなハートの軌跡を描いて泳いで見せました。
「ふふっ、良かったね、モコちゃん」
「うん! 夜空の迷子がいなくなって、ぼくもとっても嬉しいよ!」
星たちの優しい光に見送られながら、ココアちゃんとモコは、夜風に揺られる三日月ブランコでいつまでも嬉しそうに微笑み合っていたのでした。




