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二人の水着、多数の設備

所謂水着回です。

「もう、リックは情けないわね」


「そうですね。外で飲んだ時、誰かにお持ち帰りされないか心配です」


 昨夜は、お土産と称した酒のあてで酒盛りをした。お嬢もルーシェも結構な量の酒を飲んでいたと思うのだが、まるでそれを引きずっている様子はない。


 それに引き換え、俺は完全に二日酔いだ。ルーシェ秘蔵のお酒と言うものを頂いたのだが、非常に飲みやすく、また貝類との相性もよかったので、自分の限界よりも飲んでいたらしい。


「あぁ……、少し静かにしてくれ……」


 今日は宮殿にあるプールで遊ぶ予定だ。


 高価な魔術具がふんだんに使われていて、色々な種類のプールが用意されている。


「これでは遊ぶのは無理そうね」


「流石にこの状態でプール遊びは危険ですからね」


 目の前に楽しそうなプールがあるが、今の俺には何もかもが煩わしく感じる。二日酔いとはこんなにも辛いものなのか。


「リック様。こちらのドリンクをどうぞ、二日酔いに効きますよ」


 不甲斐ない俺を見てメイドさんが何かドリンクを用意してくれたようだ。見た目はミックスフルーツジュースで、匂いもそれだ。正直二日酔いに効くとは思えないが、水分の補給にはなるだろうと思い一気に飲み干す。


 少し酸味の利いたそのドリンクは、非常に喉の通りがよく飲みやすかった。魔術具で冷やされたドリンクは二日酔いの身体をひんやり冷やして、気分をスッキリさせてくれる。


「……おお、かなり楽になった!」


 ドリンクを飲み干すと、自分でもビックリするくらいに二日酔いが楽になった。頭が重かったのだが、今では寧ろスッキリしている。更に身体の内側から活力がみなぎってくるようだ。


「えぇ……、そのドリンク大丈夫なの?」


「変な薬でも入っていませんか?」


 突然元気になった俺を見て、流石に怪しく感じたのか、お嬢とルーシェは怪訝な顔をする。


 俺はと言えば、二日酔いの辛さから脱したことが嬉しくて、小さなことは気にしない状態だ。


「大丈夫です。これは島でとれる柑橘系を数種類混ぜただけのミックスジュースです。私の祖父が二日酔いの時に昔から飲んでいるのです」


 メイドさんが説明してくれたのは、この島の栄養満点の柑橘類は、二日酔い緩和に効く成分が含まれていて、それをブレンドすることで更に効果を高めたらしい。島では割と昔から知られている事のようだ。


「ほぉ、後でレシピを教えてもらってもいいかな?」


「はい、それでは文字に起こして後でお渡ししますね」


 ここまで劇的に二日酔いに効く効能は非常に興味がある。これは薬師として是非とも知りたい処だ。


「まあいいわ。元気になったのなら遊びましょう」


「そうですね。昨日の罰ゲームも有りますし、どうしましょう」


 俺が元気になったので、二人からの誘いに同意する。


 並んでいる二人を改めて見ると、非常に魅力的な女性が二人居た。


 お嬢のメリハリの利いたボディーとスラリと長い四肢。そして局部を絶妙に隠す白いビキニ。それは輝くブロンドの髪と相まって神秘的なまでの美しさだ。


 そしてルーシェの方は、バランスの取れた体と白い肌。そしてそれらを際立たせる黒いビキニ。黒い髪に合わせたビキニは彼女の魅力を引き出すことに成功している。


二人共パレオからちらりと見える太腿が非常に眩しい。この前風呂で俺の視線がバレバレな事が発覚したが、これは視線が吸い寄せられてしまうのは自然の摂理だ。


「二人とも綺麗だ」


 あまりの魅力に思わず素直な感想が口をつく。


 実際、二人が魅力的な女性であることなど重々承知しているのだ。どれだけ旅をしても、彼女達以上の女性に出会ったことは無い。


 俺の言葉に、嬉しそうにハニカム二人の笑顔が、俺の脳髄奥深くに刻まれた。









「それ~」


「隙ありです」


「おわっぷ!」


 見事復活を遂げた俺は、二人に誘われて浅いプールへと遣って来た。


 そこは水が膝下程までしかなく、非常に浅い。奥に進むにつれて少しずつ深くなっているようだ。


 何をするか教えてもらえず、素直に付いてきた結果が此れである。二人から盛大に水を掛けられた。


「ぬう、鼻に水が入った。痛ぇ」


 盛大に掛けられた水が変なところに入ったようで、鼻の奥がジンジン痛い。


「それぐらいどうって事無いでしょ。今から波乗りをするわよ」


「波乗り?」


 お嬢が聞いたことも無い事を言い出した。人がどうやったら波に乗れると言うのだろうか? そんな疑問を解消してくれたのが、ルーシェが持って来た身長と同じサイズの木の板だった。


「この板に乗って、波の上を滑るように進む遊びだそうです。上手く乗りこなせば、自由自在に操れるらしいですよ」


 どうやらこのプール、波を引き起こす魔術具が仕込まれているらしい。魔術具の無駄遣いである。


 そこで発生する波に乗って、水面を滑るように遊ぶのが、このプールの趣旨のようだ。


「成程、理屈は分かった。楽勝だな」


 こう見えても結構な場数を熟して来た人間だ。波の一つや二つ、乗りこなしてみせる——。


「リックー。気持ちいいわよー」


「リックもご一緒にどうですか~?」


 お嬢とルーシェは楽しそうに波に乗っている。その華奢な身体からは感じられない程、巧みなバランス感覚で見事に波を掴み、自由自在に動き回っているのだ。


 俺? 板にも立てませんでしたが何か?


 一応補足しておくと、何度も挑戦したのだ。一生懸命波を掴んで板の上に立とうとするのだが、不思議と板がひっくり返る。それでも頑張ってはいたのだが、お嬢とルーシェが一回目で成功させたのを見て心が折れた。俺が苦労している事をいともたやすくやってのけたのだ。俺は海人にはなれないと悟った。山人になろうと思う。


「リックの意外な弱点発見ね」


「結構万能身体能力だと思ったのですが、本当意外ですね」


二人は一通り波乗りを楽しんだ後、こちらへ戻って来た。髪から滴る雫が、彼女達の魅力をさらに引き立てる。


「不安定な場所での戦闘は極力避けるべきだ。そう考えれば、板の上に立てなくても問題はない」


 いい訳こそしてみるも、なんとも情けない気持ちになる。


「仕方ないわね。他のもので遊びましょうか。……あれなんてどうかしら?」


 そう言ってお嬢が指さしたのは、筒状の滑り台だ。


 この遊具にもふんだんに魔術具が使われており、常に滑り台の中を水が流れているらしい。それ故に、通常の滑り台よりも非常に滑りが良く、スリルがあるのだと言われた。


「それと、こちらは二人ペアでお滑り頂く事ができます」


 説明してくれていたメイドさんの一言に、場には不思議な緊張が走る。更に説明を詳しく聞くと、その緊張は強まったと言って過言ではない。


 なんと、ペアで滑る時は互いに密着する必要があるらしい。この水着と言う極限に露出している状態での密着だ。これは一つのミスも許されない。


「あー、俺達三人だし、どうやってペアを決めようか?」


 大丈夫。俺の声に動揺は無い。


「そうね。私がリックと一緒に滑ってあげてもいいわよ?」


「いえ、フランシア様の大切な肌に、男性が触れるのは良くありません。ここは私がリックと一緒に滑ります」


 俺の予想は大きく外れ、二人とも俺と一緒に滑る事を問題にはしていないらしい。こうなると少し欲が出ると言うのが人の人情と言うものだ。


「あーそれなら、三人ローテで滑ってみるか?」


 即ち、俺はどちらとも一緒に滑れるのだ。その代わり、女性陣二人のパターンも作り皆が平等に楽しむ。正に完璧だ。


「確かにそれなら同じ回数滑れるわね」


「私もそれで依存はありません」


 二人からの同意を得て、俺達は順番にペアを組んで滑り台を滑ることになった。


 滑り台の入り口は、プールの横に併設された高台の天辺になる。この滑り台、非常に長い。それに合わせてこの高台も結構な高さを誇っているのだ。この場所からゴールが見えないので若干不安になるが、長く遊べると思うと期待も膨らむ。


 俺達は公平に順番を決める為、じゃんけんで順番を決めた。


最初はお嬢とルーシェの二人組である。


「……このポジション、なんだか不思議な感情が沸き上がってくるわね」


「いたずらはダメですよ。シア」


 一番小さいルーシェが前に座り、その後ろから抱えるようにお嬢が抱きしめる。お嬢の放漫な胸が、ルーシェの背中に潰された姿に、興奮を覚えたが、全力で冷静を装った。


「滑り台の中では、お互い離れないようにご注意下さい」


 メイドさんに注意事項を聞きく。設備一つ一つに専門のメイドが付き、危険行為をしないように監視しているようだ。


「それじゃあ行ってくるわね」


「お先に失礼しますね。リック」


 二人はそう言い残すと、颯爽と出発する。ただ、最初はそれ程急な傾斜が無いので緩やかな出発だったのだが、二人の後ろ姿を見送っていると、突然その姿が消えた。


「「きゃああああ」」


 それと同時に聞こえてくる二人の叫び声。


 どうやら少し進んだ先から傾斜がきつくなるようで、突然の状況変化に二人は叫び声を上げてしまったようだ。


 その証拠に、心配して後を続こうかとしたところで、二人の楽しそうな燥ぐ声が聞こえてきたのだ。


「あははは、楽しいー」


「キャー、シアそんな所触っちゃ駄目ですー」


 二人の声には多少違った感情が込められているようだが、非常に楽しそうである。聞こえてくる声から、結構な速度で滑り台を下っていることが分かる。滑り台は筒状なので途中で飛び出す心配もないので安全を確保しつつスリルを楽しめるようだ。


 二人の姦しい叫び声が次第に遠ざかり、突然大きな水しぶきの音と共にその声が聞こえなくなった。


「下のプールに到着したようですね」


 メイドさんが言うには、最後は勢いを殺す為に下に設置されているプールに放り出されるらしい。最初から最後まで楽しめるなど、非常に期待が膨らむ。


 しかし、暫くすると下の方から騒がしい声が聞こえてきた。


「シ、シア! 胸を隠してください」


 ルーシェの慌てた声が聞こえてくる。


「あら? ルーシェも零れているわよ。それに下も捲れているわ」


「きゃっ、見ないでください! 隠してください!」


 とても聞き捨てならない言葉が聞こえてくる。


 どうやら最後のプールに投げ出された衝撃で水着がズレて、大変な事になっているようだ。二人の声から特に怪我をしているようではないので、ちょっとしたアクシデントがあったくらいだろう。俺は薬草シリトリで煩悩を押しとどめる。血流が加速する。


 しかし、下の騒ぎが収まっても、二人はなかなか高台に上ってこなかった。


 最初こそ鼓動が早くなり、色々と妄想が膨らんだが、何も連絡が無く、待ちぼうけを受けると次第に冷静になる。暇を持て余した俺は、待機しているメイドさんと世間話をして時間を潰す。


 このメイドさん、以前は探索者としてアルテミシア王国内のダンジョンに潜っていたらしく、色々共通の話題があって話していて楽しかった。


 話に花を咲かせて、すっかり時間が過ぎるのを忘れていると、他のメイドさんがやって来て二人は下で待っていると教えてくれた。なんとなく中止になるだろうと思ってはいたが、一抹の希望を持って待っていたが駄目だったようだ。


 メイドさんには一人でも滑れると説明されたが、流石に一人で滑るのは虚しいので大人しく来た道を戻ることにする。


 下に降りると、既に二人は身を整えて待っていた。


「ごめんなさいね。ルーシェがどうしてもリックと滑るのは禁止だと言い張るの」


 お嬢は少し残念そうに、そして悪戯心を抱いているかのような顔をしてそう告げる。


「だ、駄目です。筆頭メイドとして許可できません!」


 顔を赤くしたルーシェが力強い声色で追随する。確かに淑女のあられもない姿を見られたなど噂が立てば、色々と問題があるので仕方が無いのだが、俺の心に残る喪失感は拭えない。上げて落とされるとはこの事だ。


 幸い、滑り台のゴールに待機していたのはメイドだけだったので、男性にあられもない姿を見られたという噂が立つことは無さそうだ。


 身体を密着させる事には同意したルーシェだが、流石に局部を見られるのはアウトだったようだ。


 俺は肩を竦めるのみで答える。仕方ないとはいえ、今俺の心はささくれ立っている。小さな男と言うなかれ。


「埋め合わせはまた今度してあげるから、そんな残念そうな顔をしないの」


 お嬢が妖艶な笑みを浮べながらそんな事を言う。正直、どんな埋め合わせなのか気になる処だ。


「あまり過激なのはまだ駄目ですよ。取り敢えず滑り台以外で遊びましょう」


 ルーシェに念押しされ、俺達は他の事で遊んだ。


 その後は二人が乗っている浮き輪に掴まり流れるプールをのんびり回ったり、水鉄砲という玩具で水を掛け合って遊んだりと、プール遊びを堪能した。


小さなハプニングはあったが非常に楽しい時間を過ごせたと思う。


 俺はこの日の二人の姿を忘れる事は無いだろう。





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