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閑話:部下の心

「ルーシェ様、学園に到着いたしました」


 リオ達とのダンジョン攻略を終えて王都へと帰ってまいりました。久しぶりに会ったリオは以前より更に格好良くなっていて、少しドキドキしてしまいました。本当はあのままリオに付いて行って二人で旅するのも楽しそうだなんて思いましたが、流石にこれ以上シアの元を離れているのも不安なので名残惜しかったのですが、この地へ戻ってまいりました。


「ありがとうございます。明日は一日休息を取って明後日から通常業務でお願いします」


「畏まりました。それでは失礼します」


 御者を務めてくれた彼は、私の実家に仕える人で、普段は実家の方で働いているのですが、今回は名目上、子爵家令嬢として動いていたので家に手配してもらいました。


 馬車を下りて学園に併設されている女子寮へと向かいます。普段であればシアはまだ学園に滞在している時間ですが、メルクリオが煩わしいでしょうから、早めに寮へ戻っている可能性が高いのです。


 私が女子寮に到着したタイミングで、ティーポットを持ったメランザナと鉢合わせしました。


「あ! ルーシェさん、お帰りなさい。何時お戻りになったのですか?」


「ただいま戻りました。先程学園に到着したばかりですよ。フランシア様はお部屋にいらっしゃいますか?」


「はい、今丁度お茶をお持ちする所です」


「分かりました。では一緒に行きましょう」


 予想通りシアは部屋に戻っていました。こちらとしても報告をする上で都合がいいのですが、あまり露骨にメルクリオを避けているのも問題になるので考え物です。この問題については今度話し合ってみましょう。


「ルーシェ・ルスクリタただいま戻りました」


 簡潔に短く、自分の帰還を伝えます。


「え!? ルーシェ! 帰って来たのね。入って来てちょうだい」


 入室の許可を得て扉を開けた先には、約一月振りの友人の笑顔が待っていました。こういった時に帰って来たのだと実感しますね。


「お久しぶりで御座いますフランシア様」


「待っていたわルーシェ! あら? メランお茶を持ってきてくれたのね。それはルーシェの報告を聞きながら淹れてもらうから、貴方は下がって良いわよ。極秘情報だから聞かせられないの」


「畏まりました。それでは控室で待機しております」


 メランザナを体よく追い出したシア、こういった所で頭が回るのは昔からですね。


 メランザナの持ってきたティーセットを引き受けて、話は一先ず置いて紅茶を淹れる。話をするのが待ち遠しくても、飲み物を準備したほうが、より一層話が盛り上がる物です。今回は色々と報告する必要もありそうですしね。


 久しぶりに確りした茶器で淹れる紅茶は香り豊かで、満足のいく出来上がりです。矢張り紅茶を淹れるときは潤沢なお湯が使える環境でないといけませんね。


「ふぅー、やっぱり紅茶はルーシェが淹れてくれた物が最高ね」


 ここ最近シアに付いていた二人は、お世辞にも紅茶の淹れ方が上手いとは言えないので、余程美味しい紅茶に飢えていたのでしょう。


「それはよう御座いました。学園は変わりありませんか?」


「ええ、相変わらずね。それよりも久しぶりのリオはどうだったの!?」


 事前に連絡を受けているとはいっても真っ先に聞くのが今回の結果ではなく、リオの事を聞きたがるのは相変わらずですね。シアらしいとも言えますが、今回苦労した私の事も少しは考えてほしいですね。


「そうですね、以前よりも一段と逞しくなっていました」


「そうなのね! でも、そうじゃなくて……」


「それに、とても格好良くなっていましたよ。貫禄もあって頼もしい男性のように感じましたよ」


「そうなのね。他には何かない?」


 私はシアのおねだりに答えながら、ここ数週間の出来事を一から話していく。リオと合流するところまでは端折って、その後の話をします。リオが殿下とトランシスさんをどんな扱いしていたか知った時のシアの顔はとても印象的でした。確かに殿下からの依頼を受けはしましたが、本人達の心持ちまでは知りませんでしたからね。


 それからもダンジョンでの話をしました。やはり私を庇って怪我をしたことはリオも連絡していなかったのか、シアも非常に驚いていました。私の油断が招いた物なので非常に心苦しい話です。


 それからの話もダンジョンの特殊な環境や、それに対する対策をリオが確り持っていた事、そして忘れてはいけない話が一つ。昔リオが調べて送って来た、ダンジョンの情報や詳細な地図の事を、本人は覚えていないみたいだとシアに伝えます。


「あれほどの情報を自分で調べて忘れちゃうなんて、相変わらず何処か抜けているわね」


 内容は呆れを伴うものだが、その声色は少し弾んで聞こえるのは気のせいでは無いでしょう。私も同じ感想を持ちましたしね。


 そして最後に話すか少し迷いましたが、隠す様な事でも無いのでカルドでの食事の事を話しました。今思い出してもあの時間は私にとって宝物です。また二人で美味しい食事を食べに行きたいですね。


「そう、二人で食事をね……」


「はい。その時に、来年の夏季の休暇には必ず会いに来るように伝えましたのでご安心ください。本人も間に合う様に向かうと言っていました」


「そうね、早くその時が来ないしら。休暇の邪魔をされないように、会談にも全力で当たるわよ。一辺の隙もみせるものですか!」


 リオが少し警戒している風に言っていましたが、この調子であれば、私から何か伝える必要も無さそうですね。しかし、リオもシアも警戒しているとなると私も少し情報を集めておいた方が良いかもしれませんね。


 その後シアにはリオとの食事の時の状況を根掘り葉掘り聞かれてしまいましたが、それを話すのもまた嬉しかったので、良しとしましょう。


 勿論、他の人には話したりしませけどね。




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