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閑話:主の心、

 今日は順調に行っていればリオ達がダンジョンに潜った最初の晩になるはず。私も微力ながらリオが夜の見張りの最中に寝てしまわないように、夜番の間は念話でお話をするわ。


 今は何時も一緒に居てくれるルーシェが居ないから、私の世話をするのも必然的にオルテンシアとメランザナになるのだけど、この二人だと話せない事も多いし、紅茶の淹れ方が今一良くないのよね。それに二人に対して愚痴をこぼすわけにもいかないし……、唯一ここが女子寮であることが救いだわ。そうでなければメルクリオも付きまとってきて、とっても煩わしいのよ。


 ルーシェ一人居なくなっただけでこれ程疲れるのだから、普段どれだけ負担を掛けているのかが窺えるわね……。少し仕事を減らさないと駄目かしら。


 取り敢えず、そろそろリオ達も休む時間になったし、普段より少し早いけど今日の業務はここまで、どの道ルーシェ無しでは重要案件が決められないですしね。


「少し早いですが今日は休みましょう。慣れない事もあったでしょうし、貴方たちも今晩はゆっくり休んで良いわよ」


「「畏まりました。お休みなさいませ、フランシア様」」


 二人の退室を見送ってから、私はリオから借りている虫君を呼び出す。丸い体をしていて、リオはダンゴムシとか言っていたけど、私はなんだか他の物に見えるわ。この子との付き合いも長くなったもので、最近ではちょっとした感情の変化なんかは分かるようになってきたのよね。因みに最近のこの子のマイブームは干した魚を食べる事。それも小魚を丸々乾燥させたものが好みね。非常に燃費がいい子だから一日に一匹でいいから助かるわ。


『リオ、今日の報告をお願い』


『ん? ああ、お嬢か。そっちの仕事はもういいのか?』


『ええ、ルーシェが居なくて仕事が進まないから早めに切り上げたわ』


『成る程、次期フェロ公爵様は、人材の才能が偏ってるな。文官の育成にもう少し力を入れないと、中から切り崩されるぞ』


 リオは本当に痛い所を突いてくる。実際、一人抜けただけで色々不備がでているのだから否定できない。特に文官は武官に比べて、その動きはどうしても不透明になりがちだわ。本当に信頼のおける文官を育てておくことは、将来揺ぎ無い領地を作り上げるうえで必要不可欠なことだわ。


『今回の事で痛感したわ。ルーシェが戻ったら対策を考えるつもり。それよりも、そちらの様子はどう?』


『そうだね、とりあえずは順調かな。アルとセシルが想像以上に優秀だったよ。何処で見つけてきたの?』


 アルとセシル……、確か去年の学園の課題で、夏季休暇の時に領内のダンジョンに行くときに募集を掛けていた所に応募してきた駆け出しの見習い探索者だったはず。若いわりに経験豊富で色々と頼りになったのを覚えていたので、今回のメンバーとして選んだのよね。


『去年ダンジョンに一緒に潜ったのが知り合った切掛けよ』


『へぇ、どこのダンジョンに行ったんだい?』


『領内のダンジョンよ。一番簡単なところの』


『そっかー……。とりあえず予想よりも全体的に実力が高くて良かったよ』


 私が選んだメンバーなのだから優秀なのは当然よね。少なくとも厳しい条件の中では最良のメンバーを揃える事が出来たと自負しているわ。


 どうやら攻略の出だしは順調なようね。でも、私が聞きたいのはそんな事ではないわ。


『それよりも、久しぶりにルーシェと会って何かないの?』


 二年振りに会った女の子に何も感情が動かないなんてことは無い筈。あの子もこの二年でグッと綺麗になって、男性からの婚約依頼も後を絶たないのよ。そんな綺麗な子を前に何も感想が無いなんて可笑しいじゃない。


『とっても綺麗になってたな。世の男も放っておかないだろ』


 自分で聞いておいてなんだけど、他の女の子を素直に褒めているのを聞くと少しモヤモヤするわ。ルーシェは良い子だし、私も認める所ではあるけれど、私だって婚約依頼が絶えないのですけどねっ。


『きっとお嬢も以前より綺麗になってるんだろうな。婚約依頼が殺到してるんじゃないか?』


『あら? よく解ったわね。連日依頼が舞い込んで大変よ』


 リオも解ってるじゃない。今の私をお見せ出来ないのが残念で仕方ないわ。


 でも、二人とも上手くやっているようで良かったわ。リオとルーシェが二人きりでお喋りする事なんて滅多に無かったし、ルーシェは偶に空気が読めないことすから少し心配していたのよね。


 でも、一晩の半分を起きてないといけないって大変よね。私もダンジョンに潜る時は夜番に立つけど、やっぱり従者の子達が負担の少ない所を譲ってくれるし、寝具も野営で使うには良い物を使わせてもらってるから他の人より負担はすくないのよね。


 そう考えると、今くらいは私が頑張ってリオが寝ないように頑張らないとね! 幸い色々話したいことが有るから話題には困らないわ。それにここで話しておかないと、ルーシェが居ない今愚痴を聞いてくれるのはリオしか居ないのよね。


 学園での話や、二人のメイドの仕事ぶり、護衛のジンコが最近空気で存在を忘れてる事や、メルクリオの眼鏡を持ち上げた決め顔が気持ち悪いこと。それに最近新しい美容品の開発に成功して、売り上げが伸びに延びてるのよね。あら? リオから戸惑った感情を感じるわ。私の話を聞いているのかしら?


『ちょっと!リオ聞いているの?』


『はいはい、聞いてます、聞いてます。メルクリオの眼鏡がダサいって話ですよね。』


 もう! 全然私の話聞いてないじゃない。それは一つ前の話よ。罰として今日は私が満足するまで話に付き合って頂きますからね。


 ルーシェばかり相手するのは(ずる)いわ。私の事もちゃんと構ってくれないとね♪




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