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six tree online  作者: えだまめ
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8/13

第一章 天才から器用貧乏へ6

今日の投稿です。

次の投稿予定は1月10日です。


戦闘描写…難しい。

--カオルside--


カウントダウンが始まり両者が構える。エイトは何時ものように胸の位置で穂先を僅かに下げ、石突きまでの傾斜角を鋭角になるように構える。いつみても綺麗なフォーム、まるで隙がない。しかし、これはSTOのなかだ。本当に大丈夫なのか??


「かおちーーーん!いたいた!呼び出されて来てみたら何この騒ぎ?!?!ってゆうか、てんしょんひくくない?だいじょぶかー?」


「お!ディア来てくれたか。今日は俺のリアルフレンドの装備を新調してもらおうと思ってな。だけどこの有様。初期装備で3Nデュエル受けちゃったよ…はぁ」


人混みを掻き分けて来た赤茶の髪を一つにまとめた活発そうな美少女が、今回俺がエイトに紹介しようと思ってた知り合いのディアだ。

「ヘェ〜って初期装備だけど良い構えしてるね。一瞬見とれちゃったよ。ま、今日は時間あるし、付き合うよ!」


「すまんな、ありがとう。 お、始まったか…って「魔法?!?」」

二人の声が重なる。エイトは、あの見事な構えから瞬時に補助魔法スキル2種をエンチャント直後立て続けにサンダーアローを放った。構えの意味がほぼ無い。いや全く無い。


開始早々、完璧なスタートダッシュを決め、走りながら放った雷の矢がギルに当たる。HPの減りは、そこまで大きくはないが意表を付く攻撃に少し慌てる。エイトはそれを見逃さなかった。体制を崩したギルに対して追い込みをかけるようにダブルランスを繰り出すも一撃目は剣で逸らされ、二撃目は左の腕を僅かに掠めることしかできなかった。ここは、対プレイヤー戦闘を重ねているだけはある、見事な動きだ。ギルは、すかさずバックステップで少し間合いをとると目の色を変えて反撃を仕掛ける。

通常攻撃でもそれなりの攻撃速度を持っている片手曲剣でエイトに斬りかかる。リーチは、エイトの使用する槍術には劣るが、それをスピードでカバーする。下段から切り上げ上段から斜め左したへ、バックステップで間合いを取るモーションをフェイクとして取り入れ、すかさず曲剣スキルの水平回転切り。

周り集まる観客と化したプレイヤーが一気にざわめく。しかし、それはギルが見せた怒涛の攻撃ではなく、エイトが見せた人間離れした回避術のせいであった。ギルの通常攻撃は全て躱され、最後のスキルでさえ槍によって防がれた。


「おお〜やるねあの子。カオルより強いんじゃない?」


「いや、確かにリアルではエイトに勝ったことはない。 ゲーム内でもある程度は再現できるんだな…でもアビリティ補正とかあるはずだし、リアルより敵の攻撃速度は速いはずだよな…んー」


何かを考え込むカオルをよそにディアは目の前で繰り広げられる戦闘に食い入るように視線を向ける。


先ほどから驚くべき回避術を見せるエイトだが、今はギルのスキル連発でほとんど防戦一方だ。決定打はないにしろ、槍で攻撃を受け止めると少しずつHPが削られる。開始早々にエンチャントしたディフェンドのお陰で多少は被ダメージを少なく抑えられている。

ちなみに、補助魔法スキルのストレングスの効果は、STR補正D ディフェンドはDEF補正Dだ。

エイトが、ギルのほんの僅かなウェイトタイムに繰り出す攻撃も隙をつくらないために、通常攻撃しか出せていないのでHPの減り具合は五分五分といったところか。


「糞やろーが。ひらひらひらひら避けやがって…ッ」

苛立ち気味のギルから不満の声が漏れる。

しかし、このままの状態で持久戦に持ち込まれれば、エイトの負けが濃厚になる。


回転水平切り、逆手円月切り、円月切り、二連切り上げ。これがギルが先ほどから見せているスキルの流れである。クールタイムの関係か何かでこの順番でしか使用していないので、次の攻撃が読みやすい。しかしスキルとスキルの感覚が異常に早い。

これは、スキル使用後のウェイトタイム中に別のスキルを発動するとウェイトタイムがキャンセルされ発動したスキルのモーションへ強制的に移行するこのゲームの仕組みを利用している。片手曲剣はスキル自体に好きが少ない為、この仕組みを駆使すれば、コンボボーナスこそ無いがMPが切れるまでスキルを連続で使用することができる。


一つ一つのスキルを的確に防ぐエイトのHPも、もうすぐレッドゾーンに突入しそうだ。と、ここでエイトが動く。

『円月ぎr…なッ!!!に!!!」

エイトが狙っていたのはギルのMP切れであった。モブ戦なら未だしも、対人戦闘でここまでの連続スキル使用は、なかなか無い。なぜなら、スキルを使えば使うほどウェイトタイムの回数が増える為、同レベルもしくはそれ以上の相手なら、スキルとスキルの僅かな隙に、逆に高火力スキルを打ち込まれる危険が増えるからである。この荒技はスキル数、アビリティに大きな差があってこそのものである。

ギルとしても、ここまで防がれるとは想定していなかった為、連続使用をやめるにやめられない状況に陥っていた。さらに、スキル連続使用中はMP自動回復が行われない。

エイトはいつ来るかわからないこのタイミングを待っていたのだ。

エイトは渾身の力を込め踏み込む。

『ダブルランス!』

エイトの二連撃は一撃目は当たったものの二撃目が僅かにそれる。このままでは、ウェイトタイムに畳み込まれ、エイトの負けが見えると観戦中のプレイヤーは固唾を飲む。

しかし、これで終わりではなかった。

『ツヴァイランス!』

上段からの振り下ろし即座に突きの三連撃はコンボボーナスと相まってクリティカルエフェクトを撒き散らしながらギルのHPゲージを最後まで削り切る。コンボ認証された連撃はAS同様ウェイトタイムキャンセルが適用されるのだ。意識のなくなったギルは、街の復活地点へと転送された。

広場は驚きと賞賛の歓声に包まれた。

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