第一章 天才から器用貧乏へ4
今回の投稿終了です。
できるだけ短いスパンで投稿しようと思ってはいますが学校やバイトなどでペースはばらつくかもしれないです。
頑張ります。
街に戻ると数多くのプレイヤーで賑わっていた。
所々ではすでにプレイヤーによる露店が開かれている。
今持っているアイテムくらいならどこで売っても同じだとは思うが一応高く買い取ってくれる露店を探す。
…結果、今持っているアイテムは高く売れるどころか買い取ってももらえなかった。
諦めて、NPCのアイテムショップに売りに行く小獣皮20尖ったハリ10ブルーゼリー6を全て売りさばく。全部で1112rだった。何とか元は取れたからよしとしよう。売ったお金で再び薬草を買う。
よし、準備完了。
「っと…もうこんな時間か」
今日は久しぶりに家族揃って夕食を食べるという俺にとっては一大行事があるのでここまでにしてログアウト。
現実世界に戻ると、エイトは急いで部屋着から着替えリビングに向かう。扉を開けると既に父母弟がソファーに座りテレビをみていた。
「あれ、和にぃはまだ帰って来てないのー?」
と、誰となく問いながら冷蔵庫を開け水を飲む。
「今日仕事が入っちゃって帰って来れなくなったんだってーー」
弟の雅斗が残念そうに答える。
「元気かしらねぇ…無理してなければいいけど…」
「だーいじょうぶさ。俺の息子は無理などできんわ!わはっははっは」
母の心配をよそに大笑いする陽気な父も実は心配しているのを俺は知っている。たまに兄 和斗と連絡のやり取りをするが、父からくるどうでもいい近況報告が多すぎると笑いながら文句を垂れていた。
「そっかー。ならご飯食べようぜー」
「そうね。」
そして、暗い雰囲気のなか夕食を食べ始めた。
途中、雅斗がSTOの話をしだしたので、そこから少しずつ何時ものように賑やかな食卓に戻った。
雅斗もSTOをやっているらしいがあえて、一緒にプレイする約束はしなかった。なぜなら…まだ俺が強くないから。
次の日何時ものように朝の修行を終え学校へ行くと生徒指導室に呼び出された。先日の喧嘩が学校に発覚したのだ。しかし、自己防衛の為と目撃者の証言があった為この日から五日間だけ指導になった。学校へ行き教室とは別室で山のような量のプリントをこなし、放課後は清掃活動。家へ帰っても山のような量の課題に追われる。何度もSTOをやろうと思ったが我慢した。俺、偉い。
地獄の五日間が終わり、やっとSTOに入れた。
今日は前より、もう少し奥にある森の所に行ってみよう。
と、町の出口に向かって歩き出す。
すると出口の方から見覚えのあるプレイヤーが俺の方へ走ってきた。
「エイトぉぉぉ!! よッ!調子はどうだ?」
そう声をかけて来たのは、この前道場へ来ていたカオルだった。カオルのキャラクターもリアルとほとんど変わっていないようだが、髪の毛だけ赤くなっている。
「んー、ぼちぼちかな。まぁそんなに急いでプレイしてるわけじゃないしねー」
「またまた〜 そんなこといっちゃって負けず嫌いなエイトはどうせすぐに最前線で攻略したいとか言い出すんだろ? あ、どんなスキルとったんだ?…ってお前まさかあれほど槍術はやめとけっていったのに、背中のソレって…」
「あ…いや……やっぱり使い慣れたやつの方がいいかなーっと 今のところ案外使い勝手いいぞ。うん。悪くない。」
痛い所を疲れたかのように、苦笑いしつつそう答えるエイト。
「あーあ。まあ頑張るしかねーな。そんで他のスキルは?」
「えっとー…槍術、MAG強化、探索の目、補助魔法、雷魔法それと回避術にした。って、おいなんでそんな怖い顔してんだよ」
エイトがスキルを読み上げるにつれ表情を険しくするカオル。
「完全に俺の忠告無視だな!!! 槍術とったかと思いきや魔法スキルまで…しかも攻撃型の魔法スキルと補助魔法スキルって教科書通りの器用貧乏の完成だな。まぁちなみに俺のスキルは片手剣術、盾術、DEF強化、STR強化、挑発術、蓄積術って感じで防御重視の壁キャラを目指してるぜ! …それにしても、俺がエイトにレクチャーしたこの一週間はなんだったんだか…はぁ」
ため息をこぼすカオル。というのもカオルはエイトが当選しなかったβ版の仮運営に当選し最前線のパーティーとして参加していた為、STOの知識はエイトより格段に多い。
ちなみに槍術をお勧めしない理由は、中距離リーチ中威力中攻撃速度なためこれといってアドバンテージとなる部分が少なく、さらに派生スキルでは短槍術、長槍術、騎槍術が確認されているが、短槍術はリーチが短くなり攻撃速度が上昇するが片手剣の攻撃速度と威力に遠く及ばず、長槍術はリーチこそ伸びるが攻撃速度が落ちるため火力が思うように出せない。騎槍術は従魔法との融合派生で、中〜大型四足歩行モンスターをテイミング(捕まえる)しそのモンスターに乗った状態でのみ本領が発揮されるのだ。唯一他の戦闘術系スキルと比較しても引けを取らない騎槍術もその派生発動条件の辛さ故に不人気らしい。
「いやー、なんかすまん。でも多分強くなれるよ!うん。大丈夫大丈夫」
「本当かよ。まぁいいか。今から何か手伝おうか?ってか、なんかやること決まってたか?」
「いや、俺もレベル上げ行こうと思ってた。魔法のスキルレベルあげたいから前衛よろしくぅ」
「ちょうど俺も盾術のレベル上げしたかったんだ。エイトの器用貧乏の作成手伝ってやるよ」
エイトは、カオルとパーティーを組み森を目指す。道中出会ったモンスターは俺の雷魔法を一発当て、ひるんだ所をカオルが片手剣でなぎ倒す。
そうこうしていると森の入り口へ到着した。今思ったが、カオルのレベルが俺の倍くらいある上に防具もすでに新調している。俺はまだ初期装備。カオル曰く最初は金に困るのはみんなが通る道らしい。カオルはβテストのキャラクターを引き継ぐことはできないが、代わりにβテスト参加報酬という名目の50000rを運営側から頂戴したらしい。いや、普通に悔しい。やっぱり俺は負けず嫌いなのか?
森に入ってからモンスターのレベルが目に見えて変わった。先ほどまで半分ほどは確実に削っていた俺の魔法もここのもんすたーには五分の一も削れないくらいだ。この森での出現モンスターはアイアンブルというアルマジロとブルドックの掛け合わせのような容姿のモンスターがほとんどで、たまにゴブリンが出てくることがある。
今はカオルの防御力が頼もしい。挑発術で敵のヘイトを集めながら盾で守りを固め隙あらば片手剣で確実にHPを削って行く。流石はβテスト参加者といったところか。
俺はと言うと、後ろから必死に雷魔法のサンダーボールをぶつけている。いや、こっちも結構必死。まずターゲッティングが難しい。それさえ出来れば、あとはゲームのアシストである程度補正し飛んで行ってくれるのでありがたいが、それでも少々動きの早いゴブリンには当てずらい。
かなりハイペースで狩りをした結果、それなりの成果が得られた。
名前:エイト
LV:14
HP:360 MP:403
スキルセット
槍術16、MAG強化L1、捜索の目15、補助魔法18、雷魔法18、回避術3
予備スキル
MAG強化20
装備
粗悪な槍
初心者の冒険服
雷魔法に新しいAS サンダーアローが追加されMAG強化20で派生スキルが出て来たので取得した。スキルによって派生スキルが発生するタイミングが違うらしい。
「そろそろ、武器と防具新調しようかなー…」
「そうだな、もうそろそろ限界かもな。ドロップアイテム売って金にしたら俺の知り合いの生産職やってるやつ紹介するわ」
「お!それは、ありがたい…けど金足りるかな…」
「多分足りると思うけどなー。ここのアイアンブルから低確立でドロップするアイアンコアってアイテムが確か5個くらいはあったよな?それ生産職の人達に結構良い値でうれるから間違ってもNPCに売らないように!」
「へー…なるほどね…」
アイテムバックを見るとアイアンコアが6個鉄鉱石が31個ゴブリンの麻布が5個小鬼の小角2個となかなか潤っていた。
「よし、街に帰るぞ!」
「あいよー」
カオルの掛け声に気の抜けた声で返事すると街に向って出発した。




