第一章 天才から器用貧乏へ8
一応これで第一章を締めたいと思います。
なんか中途半端なところで終わってしまった気がしますが、次回からは第二陣、公式運営開始の初回版でゲームソフト数の関係で購入できなかったにプレイヤーの登場から始めたいと思います。
第一フロア西部 ー 洞窟地帯
「もう少し効率的にやらないとな… せめてあれくらいのレベルの相手なら、スキルなしで倒せるくらいには… 」
3体のゴブリンを薙ぎ払うと、数時間前の戦闘を思い出しながら呟く。
エイトは、装備を一新した後に力試しにと森を抜けたところにある洞窟地帯へとやって来ていた。
ディアの店を出た後少し情報収取の為に街のNPCや公式掲示板などを見聞きしてまわった。街で得た情報によると、この洞窟地帯には十数個の独立した洞窟ステージが存在し、その洞窟によって出現するモンスターが固定されているらしい。
エイトは一番最初に目に止まった洞窟に入ったが、どうやらここはゴブリンのステージのようだ。
装備を新調する前に思ったゴブリンの印象は、今ではすっかりかわっていた。
すばしっこいと感じていたが、先ほどの連続スキルや攻撃速度とは程遠く攻撃パターンも単調な為、攻撃が当たることは珍しいくらいだ。
あと、気がついたことがある。それは、スキルレベルはPvPでも上がりと言うことだ。
ちなみに現在のステータス。
名前:エイト
LV:18
HP:440 MP:747
スキルセット
槍術19、MAG強化L1、捜索の目19、補助魔法L1、雷魔法18、回避術19
予備スキル
MAG強化20
補助魔法20
装備
pm鱗黒槍 STR補正D
pm黒鱗SET AGI補正D MAG補正D
街でのPvPと洞窟でのレベリングにより、回避術が異常な成長を見せている。
派生スキルの補助魔法Lを取得し、マルチストレングス、マルチディフェンド、フィジックスとウィザードと言うASが追加されていた。フィジックスはSTR補正CとDEF補正Cの二つの効果、マルチストレングスはSTR補正Cで他プレイヤーにエンチャント可能、マルチディフェンドはDEF補正Cで他プレイヤーにエンチャント可能となっていてる。ウィザードはAGI補正Cの効果だ。
効果が大きい反面、消費MPが増えクールタイムも長くなっている。
レベルの上がり具合はかなり鈍くなったが、スキルレベルは独自に考え出したレベルアップ条件と街で得た情報を出来る限り意識して使用している為か、着実に上がっている。
すると、他プレイヤーからのコンタクトを知らせる電子音がなり、メニュー画面を呼び出す。
「"今なにしてる?街で面白いものが見れるから、よかったらエイトも来いよ^_^"」
と言う内容のチャットがカオルから届く。
「"ん。いくわ"」
エイトは短く返信を返すと、街に向かった。
洞窟を抜け森へ入る。防具のおかげで少しスピードが上がった為森はすぐに抜けられる。
と、思っていた。
森へ入り動きの遅いアイアンブルはスルー、戦い慣れたゴブリンだけをピックアップし流れ作業のごとく処理しながら森を走る。
捜索の目のおかげで敵の存在は比較的早めにわかる為、敵が進路にいる時はあらかじめ槍を構えておける。
少し進むと前方に戦闘中のプレイヤーを察知する。
申し訳ないと思ったが、カオルがいっていた街のことが気になっているので、近くを通らせてもらうことにする。
近くといっても可視範囲のギリギリのラインなのでさほど問題はないであろう。
「もうすぐ、すれ違うな〜…」
失礼の無いように相手がこちらに気がついていなくても頭ぐらい下げておこうと思いすれ違うタイミングを見計らう。
「…スイマセーン」
かなり小さい声で、しかも棒読みだった。コミュ障全開のエイトは、その足を止める。
やはりこちらには気がついていないようだ。と言うより、そんな余裕などないといったほいが正しいだろう。戦闘中のプレイヤーのHPゲージがレッドゾーンに入っている。
エイトはVRMMO自体が初めてなわけでは無い為、仮想世界でのしに戻りにそれなりに耐性がある。しかし、始めて間もない最初の頃は、かなり怖かったのを覚えている。
薄い緑の髪を二つに結んだ女性のプレイヤーは、必死に片手剣を両手で構えるが、この距離からでも怯えているのがわかる。
さらに、エイトはおくからこちらへ向かってくるゴブリンをさっとしていた。
「…た…すけてみるかぁ…」
別に人助けが嫌いなわけではない。むしろその逆で、困っている人がいたらほおっておけないタイプの人間だ。
今エイトを躊躇させているのは、ゲーム内限定のコミュ障が発動していることに加え、もしナンパなどの類にカテゴライズされたらあまりいい気がしないという気持ちだった。
「って言うかエンチャントだけかけて立ち去るか… いや、助けてすぐに逃げれば大丈夫か… よし、そうしよう。 」
ブツブツつぶやく間にも、ゴブリンが迫って来ている。
意を決して走り出すエイト。
『マルチディフェンド』『フィジックス!』
戦闘中の少女にDEF補正をエンチャントし、直後自分にもエンチャント。
「あ、えーと。さがってー 」
突然現れたエイトのぎこちなさと適当さを兼ね備えた言葉に一瞬驚くもすぐに動く少女、アイアンブルにサンダーアローを浴びせる。そして、小ダウンモーションに入ったアイアンブル2体を薙ぎ払う。綺麗な三日月を描くように横薙ぎに振られた黒い槍は、アイアンブルを消滅させる。
「えーっと… ありがとうございま「まだ来るよ。構えて」」
草陰から、ゴブリンが飛び出し手に持った粗悪なナイフでエイトに斬りかかる。ジャンプからの斬りおろし。そして斜め上への切り上げ。もちろんゴブリンの攻撃パターンが読めているエイトには当たらずに空を切る。
『ダブルランス!』
突きの二連撃が容赦無くゴブリンを貫くと一気にHPゲージを削り切った。
「ふう… って、 あ!!!!」
逃げる予定を忘れていた。さっきの少女が申し訳なさそうな眼差しを放ちながらこちらへ歩み寄ってくる。
やばい… しかも普通に美少女ですやん。ウハウハ(≧∇≦)となるのが健全な男子高校生なのだろうが、エイトは違った。
焦っている。それもかなり。
慌てた表情を隠し切れていないエイトに、不思議そうな顔で話しかける少女。名前はレイと言うらしい。
------レイって男でもりえるよな!?うん。いやまてこのゲームは性別詐称できない。いや、でも実際はこんな美少女じゃなくて、ただのオタクヒキニートフジョシだ。いや、そうに違いない。
「あの〜…大丈夫ですか? おーい」
「え、あ、すまん…じゃなくてごめん。よ、余計なことして。じゃ、俺はこれでッ! 」
「ちょ、ちょっと待ってください!!」
目を少しウルウルさせながら呼び止めるレイ。
きたー。これ恋愛系のゲームでよくあるシュチュエーションのやつや。いや、どうするかって??それは…
「あの…」
「は、はい」
「もしよければ…」
「…ッ は、はい」
「さっきのアイアンブルのドロップアイテムもらえないですか??」
「え、あ、ん!? どうぞ?」
予想の斜め上の展開に多少なまってしまった。寄生厨かよ… いや、今回のこれは寄生させられに行ったのは俺という見方もあるか…
メニューからトレード画面を開く。アイアンブルのコアと鉄鉱石を一つずつ渡す。
「え、やった♪ ありがとうございます!いやー最初はなんか怪しい人だと思いましたよ〜 変な喋り方だし、真っ黒だし… でもいい人なんですねッ♪ 」
「それストレートに言いすぎな。どういたしましてーっと、じゃあこれで…」
「ちょ、ちょっと待ってください!!」
立ち去ろうとするエイトをサイド、目を潤ませながら呼び止める。
まさかこいつ…こうやって次々と他プレイヤーのすねかじりを………
「…ん? こんどはなに?」
よし 、勝った。そうはさせないぞ。俺の返答が冷たすぎて言葉を失っt…!?!?
「街まで私を送ってください!! やっぱり私一人で帰るのこわいじゃないですかぁー…なので、優しい殿方に送っていただこうと思いつきました!ダメ…ですか?」
-------そうゆう感じのあれね。強いな、おい。どうするよ…俺。
いや、街まで送って行くことは別にいいのだが道中何を話せばいいんだ?俺はそんな引き出し持ち合わせてないぞ…
しかも、最後なんで泣きそうになってんだよ…はぁ
仕方ないか。
「街まで送って行けばいいんだな?」
「え、本当にいいんですか??!!ありがとうございます!やっぱり優しい殿方もいるんですね…私…感動しすぎて…涙が…うっ…っ」
ついに泣き出すレイを尻目に少々呆れ顔で歩き出すエイト。
途中、遭遇したモンスターは全てエイトが片付ける。予想通りレイは、このSTOがVRMMO初挑戦らしく、スキルなどは友達にレクチャーしてもらい取得したらしい。
今回森まで来ていた理由は、その友達と一緒に冒険したいが故にレベルを上げようとしたのがその理由らしい。
ちなみに、なぜ片手剣を両手で持って構えていたか聞いたところ、実は弓術スキルをメインとした遠距離物理型のスキル振りらしくい。弓術は、お金に余裕の無い序盤は少し辛い部分があるとかおるに聞いたことを思い出す。
片手剣を格安(薬草ほどの値段)で売っている露店を見つけた為、仕方なく片手剣でお金を貯めていたらしい。
スキルを持っていなくても一応装備し戦うことは出来るらしいが、ゲーム側からのアシストは無く、逆に不適合装備としていろいろなバッドステータスが発生するらしい。
少々時間がかかってしまったが、なんとか街に戻ってきた。
「"街に着いたけど、どこに行けばいい?"」
と、薫にチャットを送ると
「"エイトが戦ってた広場"」
と短く返ってきた。
広場を目指して歩き出すエイト。
-------って、この娘…いつまでついてくるんだ?まあいいか、他っておけば直ぐに他の寄生先を見つけてくれるだろう。
広場に近づくにつれプレイヤーの数が増えていき、広場には、かなりの数の人だかりができていた。
「エーイトー。おそいって!!なにしてたんだ?! って!?ナンパしてたから遅れたとかいわないよな?その後ろの少女…だれ?」
エイトの陰からご機嫌に顔を出すレイ。
「あー。えーっと実は… 」
エイトは洞窟から街へ戻ってくるまでの経緯をカオルに話し始める。
「 …やっぱりナンパじゃねーか!!!」
「違う。断じて違うと提言する。」
カオルのしかめっ面に少しビビりながら小刻みに頷くレイ。
-------お前が頷くなよ…
「レイ。なんかいってやってくれ…」
そういいレイを背中を前に押し出す。
「カオルさん!!エイトさんは、殺されそうになった私を助けてくれただけです!!そのあと引き止めたのは、私なんです!怒…らないで…くぢゃ…うっ」
自信満々に喋り出したレイだったが、カオルの視線と自分への反省からかまたもや涙ぐむ。
「あー。カオル泣かしたー。あーあーあーあ…」
「ちょ、ちょっと待て!レイちゃん、あのな俺は別に怒っているわけではなくてだな、ただもう見せたかったイベントが終わっちまったから…その…あれだ。うん。エイト!!よくやった!お前は男だ。ジェントルマンだ。紳士だ。尊敬する。仲良くしよう。」
キョトンとするレイを気まずそうに見ながら、カオルは無理やりエイトと肩を組む。
「そうそう。俺たち仲良しなんだ。今からカオルと一緒にレベリング行くから、またなっ!!!」
カオルの行動を利用しなんとかレイを引き離そうとするエイトだったが、この猛者には逆効果だったらしい。
「いいなー。私もお友達が欲しいなー。エイトさん、それにカオルさんと仲良くなれたらなぁー…」
-------お、おい。カオル…どーすんだよ…ッ!!! って、おいおいおい、なにフレンド登録してんだよ。全然いいよ じゃねーよ。この娘の恐ろしさを知らないんだな…まあいい。どうにでもなれっ!!!
「やった!!フレンドが三人なりました♪ 嬉しいです!!!私すごく嬉しいですぅ!」
いいのか悪いのか、レイとフレンド登録してしまったエイトたちだったが、驚くことにその後レベリングについて来ると駄々をこねることはなかった。
あっさりとレイと別れると、エイトとカオルは西の洞窟地帯を目指し出発するのだった。
なるべくペースを落とさないようにしたいと思います。頑張ります!




