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アリスはくじけない!  作者: 青木紅葉
第三章・立て直すぞ! 群狼戦士団!

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「くそっ!? 速い!」


「始末は騎士に任せろ! 俺たちは後ろを守るぞ!」


 近付くにつれてそんな声が聞こえて来た。


 空中にいたのはたった数秒ではあったが、向こうで見た通り戦況は芳しくない。


 パッと見やられた者はいないみたいだが、敵の動きについていけていないようで、徐々に小屋の方に下がって行っている。


 騎士たちが草原を走り回りながら、街から遠ざけようとしているが……それも上手くいっていないんだろう。


 相手が何かはわからないが、騎士と小屋の方にいた連中との連携が上手くいっていないため、倒すことが出来ていないようだ。


 とりあえず……。


「組むなら騎士とだね!」


 ボクは槍に魔力を込めると、旋回したばかりの騎士の下に一気に駆け寄った。


「何者っ!? 女……群狼の娘か!?」


 どうやらボクのことは知っているらしい。


「そうです! 手伝うから指示してください!」


 街の兵でボクのことを知っているのなら、戦えるってことも知っているだろう。


 ボクが一人で好き勝手動くよりも、彼らの指揮に従った方が良いはずだ。


「協力感謝する! 我らも状況は把握出来ていないが、オオカミの群れ同士が争っているようだ。外の者たちが半端に手を出したせいで興奮していて、放っておけば街を襲いかねん。我らが囲みながら街から引き離す。そちらは中に入って適当に処理してくれ。出来るか?」


 状況説明も含めて、わかりやすい指示だ。


 ボクは彼に向かって「大丈夫です。それでは!」と答えると、全身に魔力を込めながら草原に飛び込んだ。


 ◇


 イノシシに比べると体高が低く、草原に入ると簡単に見つけることは出来ない。


 向こうの市場の人たちが手に負えないのもよくわかる。


 ボクだって一人でどうにかしなければいけなかったらどうなっていたことか……。


「アリス団長! 右だ!」


 近くを走っていた騎士が、馬上から指示を出してくる。


 ボクはその指示に従って右に向かって、思い切り槍を振り抜いた。


 青い光を纏った穂先が辺りを薙ぎ払うと、切り裂かれた周囲の草も一斉に舞い散るが……それだけじゃない。


 槍の間合いからさらに少し離れた場所から「ギャンッ!?」という獣の悲鳴が聞こえた。


「はぁっ!!」


 そこに目がけてすかさず突きを放つと、その一撃を食らった獣がバラバラになりながら吹き飛んで、数メートル先の茂みに落ちていった。


 出来ればどんな姿のオオカミなのか見てみたいんだが……足を止めずにまたすぐに走り出す。


「アリス団長! ソイツを頼む!」


 声の先を振り向くと、街道近くの騎士の声だった。


 どうやら、街に向かおうとしたオオカミを追い払ったが、止めは刺せなかったようだ。


 彼が指す先に走って行くと、そのオオカミはボクの接近に気付いたのか姿が見える手前で横に進路を変えた。


 街を襲うのを諦めたのかどうかはわからないが、なんにせよ逃がすわけにはいかない。


「やぁっ!!」


 茂みを走る影目がけて全力で突きを放つと、周囲の草と貫いた先の地面が弾け飛んだ。


 手応えは……わからないけど、多分仕留めたはず!


「……飛ばし過ぎじゃないか? まだ残っているぞ?」


 指示を出した騎士がこちらにやって来ると、気遣うように声をかけてきた。


 今のオオカミだけじゃなくて、もう既に何頭も倒している。


 それだけじゃなくて、常に魔力で強化した状態で走り回っているし、ボクの余力が気になったんだろう。


「コレくらい大丈夫です。次に行きますね!」


 そう言ってまた走り出す。


 こと魔力に関しては、ずっと鍛え続けてきただけあってまだまだ余力は十分だ。


 それに……槍は今日握り始めたばかりで、手加減なんて器用な真似は出来ない。


 オオカミの残りが後何頭なのかわからないが、このまま全力で一撃一撃放ち続けるぞ!


 我ながら強気なんだか情けないんだかわからないが、次のオオカミを目がけて槍を振り抜いた。

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