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「ジョンさんたちはアレを伝えに来たのかな……?」
ジェイクはジョンの護衛で、取り巻き連中は……勝手について来たか適当に声をかけたかのどっちかだろうが、当のジョンはアレだけのために来たんだろうか?
別にボクが村に戻ってからでも十分出来たことだと思うんだが……と首を傾げていると、少し手前でしゃがみこんでオオカミの観察をしていたヨーゼフが話しかけて来た。
「魔獣を飼育する上での注意点や、オオカミの魔獣の性質などを訊ねていましたよ。あくまで私が知る限り……ですが、村長殿に伝えておきました」
「あ……そうなんだ。まぁ……あの様子なら大丈夫そうだね」
「ええ。使う水源を選ぶことと、獲物の食い残しの始末には気を付けるようにと言われましたが、それ以外は特に。こちらに任せるつもりのようでした」
「村に迷惑をかけなければいいってことだね。大丈夫だよね?」
今の注意点を魔力に乗せながらオオカミに伝えると、ちゃんと理解してもらえたようだ。
小さくひと吠えして応えてくれた。
その様子を見て、ヨーゼフは感心したような声で「その様ですね」と頷いている。
「ところで……小屋はもう完成したのかな? 後は屋根を付けるだけだったと思うけど……」
「ええ。先程。それと寝床用の藁を敷いています。案内しましょう」
「おぉ……そっか、板の上に直に寝たら痛いよね」
オオカミのサイズを考えると、イヌやネコのようにクッションを置くわけにもいかないし、
「まあ……そのレベルの魔獣なら気にならないでしょうが、念のためですね。気に入らないようなら除けたらいいし、仕留めた獲物の皮を利用しても構いません。その辺りは我々でよく見ておきます」
「うん。お願いしますね」
ヨーゼフを先頭に、ボクたちは再びオオカミ用の小屋に向かうことにした。
◇
オオカミと一緒に小屋の確認をしたし、改めて皆にオオカミの件をお願いしたところで、拠点での用は完了だ。
村の中に入る前に裏に回ってしまったから、まだ帰還の報告すらしていない。
まぁ……ジョンが裏の拠点に来ていたからそこで挨拶はしたし、アレで十分といえばそうなんだけれど……一応顔を出しておこうかな。
そんなことを考えながら、ポンっと塀を飛び越えて村の中に入った。
「ほっ!」
普段だったら一度塀の上に着地して、それから庭に飛び降りるんだが、ついつい考えごとに気を取られてそのまま一気に飛び越えてしまった。
もっとも、この裏庭の塀の側には人が近付くことはないし、下を見ずに飛び降りたところで誰かにぶつかるなんてことは……。
「っと!?」
「おわっ!?」
「なんだっ!?」
ボクが暮らしている家のすぐ側で村の住民たちが何かの作業をしていて、危うく彼らにぶつかるところだった。
「ごめんなさいっ!? ……何をしてるんですか?」
ぶつかりこそしなかったが、槍を持って剣を腰に帯びた身で迂闊な真似をしてしまった。
謝罪をしつつ、彼らが何をしているのかを訊ねた。
ウチで働いてくれている使用人や、屋敷の使用人が裏庭で洗濯物を干したりすることはあるが、それ以外だと早朝の訓練に参加する者くらいだ。
彼らは一体何をしているんだろう。
「ああ……アリス団長でしたか。お帰りなさい。リリアナ様の護衛お疲れ様でした」
「なんでも街の側で魔物を討伐されたんでしょう? ご当主様の使いから話は聞きましたよ」
その彼らは、ボクの質問を答える前に勢いよく喋り始めた。
「お……おぉ……。ええ、ボク一人でってわけじゃないんですけどね」
その勢いに少々気圧されていると、別の一人が「落ち着けよお前ら」と彼らを窘めた。
「えー……何でもそこで一緒に魔物と戦ったオオカミを連れて来たんでしょう? そこの裏に小屋を建てるとは聞いたんですが、念のためこちらにも同じ物を用意しておけと村長から指示をされているんですよ」




