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アリスはくじけない!  作者: 青木紅葉
第四章・活動するぞ! 群狼戦士団!

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「この辺は……何か出るっけ?」


 森の中を歩きながら、一緒について来ている二人に話しかけた。


 森のすぐ手前に拠点を構えている彼らは、これまでにも何度も森の魔物や獣と戦闘を行っていた。


 ボクも参加したことはあるが、基本的に軽く顔を見せに来る程度でしかないため、本当に数度だけでほとんどこちらの様子は把握出来ていない。


 一応毎晩カイルやヨーゼフの報告書には目を通しているが、やはり現場を直接見ないとわからないこともある。


「この辺りだと、魔物で言ったらゴブリン辺りだな。もっとも、巣は見つけられていないし川を渡っている様子もないから、森の東西のどっちかにいるのがこちら側まで遠征して来ている……ってところだろう」


「デカい魔物の群れを率いるようなボスはいないと思うぜ? 後は……獣だな。イノシシ、シカ、オオカミ……デカいのはこの辺りで、ウサギやキツネなんかの小さなのも見かけた。俺たちが使っている池や村の水源になっている池の他にも、川や池があるし……動物は多いな」


「……普通の森みたいだね。まぁ、そうじゃなかったら村をすぐ側に構えないかな?」


 二人の話を纏めると、とりあえずこの森は動物も植物も……水も豊富で、自然豊かなこの国のどこにでもある森って感じかな?


 今更ボクが森を気にしていることが不思議なのか、彼らは「何かあるのか?」と訊ねて来た。


「うーん……どうもこのコ、自分で獲った獲物しか食べないみたいなんだよね。このコが獲れる動物がちゃんといるし、ボクたちが使う以外の水源もあるから大丈夫だよね?」


「……森に放すのか?」


「うん。代官さんからも騎士団からもビーンズ家の当主からも許可を得ているよ。ジョンさんにも報告は行ってるはずだし……もうそれは決定だからね?」


 二人は揃って「おお……」と呻き声を上げた。


「うん?」


 喋りながら歩いていると、オオカミがピタッと足を止めた。


 前の方を気にしているみたいだが……ただ森が広がっているだけで何かがいるわけでもなければ、怪しい物が転がっているわけでもない……はずだ。


「どうかしたのかな?」


「わからん。少なくともこの辺りで何かがあったりは……してないよな?」


「ああ。何度か見回りでは来たことがあるが、特に何かと戦ったりもしていないし……」


 オオカミが何を見つけたのかがわからず、ボクたちもキョロキョロと周囲を警戒するが……特に何も見つからない。


「何もないよね。……向こうは何があるかわかる?」


 オオカミの視線の先には森が広がっているだけだが、ボクたちが見える範囲の先には何かがあるのかもしれない。


 前を向いたまま足を止めているオオカミを横目に、このさらに奥に何があるかを傭兵たちに訊ねた。


「この先か……? まあ……川は流れているよな」


「そうだな。だが、その先まではわからない。俺たちも川沿いを見てはいるが……向こう岸に何かあれば気付くんだがな……行ってみるか?」


「まだ日が落ちるには早いし、いっそカイルたちも呼んで来てもいいぞ?」


「そうだね……」


 ボクは彼らの言葉に返事を迷いながら、オオカミをジッと見る。


 相変わらず前を向いたままだが、唸り声を上げたり体勢を変えたり……何かを警戒しているようには見えない。


 少々強めに魔力を込めながら「どうかしたの?」とオオカミに訊ねると、数秒ほどは変わらずジッと前を向いたままだったが、もういいのかボクの足元に戻って来た。


「どういうことだ?」


「わかんない。何かを見つけたのかもしれないけど……緊急事態ってわけじゃないのかもね」


「引き返すか?」


 随分慎重だが、彼らは軽装だし無理もないか。


 だからと言って、別にボクたちの目的は狩りじゃない。


 行動範囲をオオカミに伝えるためだ。


「いや……このまま続けよう。またもう一度足を止めたりしたら、その時は引き返すよ」


 何かあったわけでもないし、これでいいよな?

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