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騎士団の詰め所に到着すると、オオカミごと中に入り会議室らしき一室に通された。
そこでオオカミの外見や特徴を記録されていく。
そして、裏に所属先であるラカンパの街が印字された識別表を渡された。
その識別表はハガキくらいのサイズの革製で、騎士団が所有する軍馬などにも使われているのと同じ物なんだとか。
表には主と識別表を着ける生物の名前を記すんだが……今この場では出来ないし、別に村に帰ってからでも構わないそうだ。
そう言った説明を受けていると、二人の兵が中に入って来た。
一人は何かファイルらしき物を持ち、もう一人は重そうな箱を持っているが……なんだろうか?
「団長、リチャード中隊長、お持ちしました」
彼は騎士団団長とリチャードにそう言うと、持って来た箱を机に乗せた。
「ご苦労だったな。丁度いいサイズはあったか?」
「ええ。基本サイズで問題ないはずですよ」
その彼の代わりにリチャードが箱を開けて取り出したのは……革のベルトのような物だった。
「アリス、これはその識別表と同じで我が隊の軍馬にも使用している首輪だ。識別表を着けるのに丁度いいだろう」
「外で戦った際にはリチャード中隊長のマントを巻いていたそうだな。目立つという意味では悪くはないが……オオカミという種族を考えると、少々不向きだろうからな。それを使う方がいいだろう」
オオカミは蹴ったり殴ったり武器を使ったり……そんな戦い方じゃなくて、もっとシンプルに体当たりや噛みつきを使う。
体当たりや噛みつきも十分過ぎるくらい強力だが、ヒラヒラする布を身に着けていたら邪魔になるだろうし、捕まれたり引っ掛けたりしたら危険だ。
「常に着け続ける必要はないが、街や村……人が多い場所に連れて行く際には身に着けさせておくといい」
「わかりました。おいで」
オオカミを足元に呼び寄せると、そのベルトを首に巻き付ける。
焦げ茶色の厚い革で出来た、幅が十センチメートルほどもあるかなり頑丈そうなベルトだ。
普通のベルトよりも、前世のテレビで見た重量挙げの選手が腰に巻くようなベルトが近いだろうか?
これなら首元を守るちょっとした防具にもなるだろう。
しかし……首がボクの腰かそれよりも太いため中々留めるのが難しい。
モタモタと手こずっていると、リチャードが手を伸ばしてきた。
「無理に締め付けたりせずに、外れない程度であれば良い」
ボクの代わりにベルトを留めるが、オオカミは嫌がる素振りを見せない。
「主以外が触れているのに……大人しいものだな。よく従っている。よほどアリス団長との相性がいいと見える」
「そうですね……出来たぞ、アリス」
「ありがとうございます」
リチャードに礼を言いながらオオカミを見ると、首とベルトの間に指一本分くらいの隙間がある。
それでも外れることはなさそうだし、ベルトを邪魔にしている様子もない。
これくらいでいいのか……。
感心していると、騎士団団長が兵から受け取ったファイルをこちらに差し出してきた。
「アリス団長。一通り必要な契約と登録は行った。後はこの資料に目を通しておいてくれ。文章は……」
「文字の読み書きも問題ありませんよ。とはいえ、専門的な文章も含まれている。エリーゼ様に相談した方がいいだろう」
どうやらこれで必要な手続きは全部完了したようだ。
ボクは立ち上がって「わかりました」と答えながらファイルを受け取ると、二人はスッと姿勢を正した。
「今日は急な依頼だったが引き受けてもらって助かった。また機会があればよろしく頼む」
「報酬に関しては、また後程リリアナと詰めていくから安心してくれ」
「はい、こちらこそ」
この返答で良かったのかはわからないが……一先ずお仕事の方も完了らしい。
色々想定外の出来事に巻き込まれたが……結果オーライかな?




