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ボクたちが逃げようとする大型を倒し、その周りにいたゴブリンたちも残らず仕留め終えたところで、騎士たちの下に向かった。
彼らはまだ息がある魔物が残っていないか、地面に倒れた魔物たちに念入りに止めを刺して回っているが……戦闘そのものはもう終了している。
見たところ怪我人はいないみたいだし、完勝かな?
彼らの邪魔にならないようにリチャードの下に向かっていると。
「アリス団長殿! 協力感謝する」
「助かりました。アリス団長!」
「お怪我はありませんか?」
魔物の処理をしている、重装備の騎士たちが声をかけて来る。
ボクはそれに一つ一つ返事をしているが……何というかボクへの言葉遣いが丁寧な者が多い。
これはボクの役職か……それとも身分を見ているのか……どっちだ?
「おおっ! アリスか。君の方も片付いたようだな。君も……そのオオカミも怪我はなさそうだな」
「ええ。お互いに無傷ですよ。あぁ、マントありがとうございました」
リチャードと話す前に、借りたマントを返しておかないとな。
ボクはオオカミに「おいで」と呼びかけると、近づいて来たオオカミからマントを取り外した。
念のため広げて表裏を確認するが、特に破れたり汚れたりもしていない。
まぁ……生地が赤だから血が目立たないだけって可能性もあるが……大丈夫大丈夫。
受け取ったリチャードも、気になるのか手で持ったままで身に着けたりしていないが……気にしない気にしない。
「ああ……アイツらも混乱することなくよく合わせられたな。……少々戦闘時間が長引いてしまったが、街にも周囲にも被害が出なかったし上出来だな」
リチャードは街の方や門の先の小屋群に視線を向けると、ホッとしたような表情を見せた。
「村から街に出て来たところだったのに済まなかったな」
「いえ……ボクがいなくても倒せてたと思うんですけど、良かったんですか? 勝手にボクを雇って」
「構わんよ。その程度は私の権限の範囲内だ。それよりも……」
話を中断したリチャードは、ボクの後ろのオオカミに視線を向ける。
何というか……困惑した様子だ。
「そのオオカミはどうするんだ? ……君から離れないようだが」
「あぁ……どうしましょうね? 一緒に戦ってくれたし……」
オオカミはボクから一メートルほど距離をとって、大人しく立ち止まっている。
時折周囲を見回しているが、ここから立ち去る気はなさそうだ。
追い払うってのは少々胸が痛むが、かといってこのまま街に一緒に入れるかどうか。
どうしたもんかな……と悩んでいると、重装備の騎士が一騎こちらにやって来た。
他の騎士に比べると所々鎧に装飾が施されているし、役職持ちっぽいな。
その彼がリチャードの前で止まると、話があるようで先程までいた場所を指して口を開いた。
「リチャード中隊長、全魔物の死亡を確認した。これより死体の処理を街に要請しようと思うがどうだろうか?」
「む……そうだな。開門させるか」
「頼む。……二人で立ち止まっていたが何かあったのか?」
「そのオオカミの処遇についてだ。アリスに従ってはいるようだが……そのクラスの魔獣を軽々に街中に入れるわけにはいかないだろう?」
リチャードの言葉に、彼は「そうだな……」とボクたちを見る。
「アリス団長の従魔として契約してはどうだろうか? 騎士団でもなければ審査に長い時間がかかるが、彼女はビーンズ家の人間だろう? それならさほど待たずに通るはずだ。実績は……正に今日の件があるしな」
「ふむ……確かにそれは可能かもしれんが……」
リチャードは再びボクたちに視線を向ける。
「……なんですか?」
「いや、まずは魔物の処理からだ。済まないが、君は片付くまでの間門の前で待機してくれ」
そう言うと、リチャードは門の方へと馬を走らせた。




