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「あっ!?」
突っ込んで来たはいいが、この剣でどう戦おうかと足踏みをしていると、黒い影がサッとボクを追い抜いて行った。
黒い影はオオカミで、あっという間に頭部に明かりが灯った魔物に接近すると、一気に飛びあがって大型の首筋に噛みついた。
槍で突かれたり剣で斬りつけられたりしても、平気そうにしている大型だが……今の一撃はかなり効いたようで、苦しげな叫び声をあげると振り払うために暴れ始める。
背後から噛みついているし、腕を後ろに回しても引き離すのは難しいから、体ごと振り回して振り払おうってのは正しい対処法だ。
オオカミだって並の大きさじゃないのに、ブンブン振り回されていては近付くことも出来ない。
周りの騎士たちも手を出しあぐねている。
だが。
「ふぅ……はっ!!」
ボクは剣先に魔力を込めると、大型の足元目がけてその魔力の塊を撃ち放った。
「っ!?!?」
魔力の塊は暴れる大型の足首辺りに直撃して、バランスを崩して転倒させることが出来た。
それと同時に、オオカミが首の骨を噛み砕く鈍い音が辺りに響いた。
オオカミが離れた大型は、それでもまだ命があるようでピクピクと痙攣したように動いているが……どう見てももう長くない。
それにしてもだ。
「思った以上に強いね……撹乱くらいならと思ってたけど、これなら止め役を任せられそうだね」
どうにかして騎士たちに止めを任せようと思っていたが、これならボクとオオカミだけでも一体ずつ倒していけるだろう。
「むむ?」
今の戦いぶりを見ていたのか、リチャードもそう評価したようだ。
「アリス、次だ!」
一息つく間もなくリチャードから指示が飛んで来るが、次の大型は騎士たちから離れた場所にいる個体だった。
周りにゴブリンを数体引き連れているし、放置しても面倒だ。
「次はアレだよ!」
オオカミにそう伝えると、了解とばかりに短く吠えて走り出した。
「おぉ!? ……やる気十分だね」
オオカミの戦意の高さに驚きつつも、ボクもすぐにその後を追って走り出した。
◇
「はっ!」
剣先から魔力を撃ち出して、飛びかかるオオカミを迎撃しようとした大型の腕を弾き飛ばす。
がら空きになった大型の首に噛みつくと、グイっと捻って一気にへし折ってしまった。
最初に戦った一体は体ごと振り回されてしまってちょっと時間がかかったが、どうやら仕留めることだけに専念したら、これくらい簡単らしい。
いいペースで倒せている。
「ふっ!」
逃げ出そうとしたゴブリンの頭部に魔力を放った。
ただの魔力の塊だし、仕留めるだけの威力は無いようだが……それでも転倒させることは出来ている。
一気に距離を詰めると、地面に転がったゴブリンの首を刎ね飛ばした。
「大分片付いたね。お次は……っと」
顔を上げて周囲を見回すと、一体の大型が輪から離れようとしていることに気付いた。
お供のゴブリンだけじゃなくて、メインの大型すら逃げ出そうとし始めているか。
「皆は……気付いてないみたいだね。コッチのことはボクに任せてるのかな?」
もう任せて大丈夫だと判断しているのか先程からリチャードの指示も来ないし、ちょっと離れてしまうが……やっちゃうか!
「おいで! 次はアイツだよ!」
ボクはオオカミを呼び寄せると、逃げようとしている大型を指した。
もう何度もこのやり取りを繰り返しているし、オオカミも要領がわかって来たみたいで、わざわざ返事をしたりせずに無言で走り出した。
ボクもその後を追って走りながら、剣に魔力を溜めていく。
もう何発も撃っているが眩暈や頭痛は起きていない。
以前襲われた時に魔力を放出したが、やはりあれは使い方というか魔力の放出量が問題だったみたいだ。
「でも……それもこの剣だからだろうね。今はそれなりに戦闘でも使えているけど、他の武器だったらどうなのかな」
今試すことはではないし、これから朝の訓練に追加してみようかな。




