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「その姿……群狼の団長か!?」
「アリスです! 参加します!」
横を通り抜けるボクに気付いた騎士の言葉にそう答えると、イノシシ顔の側をうろつくゴブリンの首目がけて斧を振り下ろした。
そのひと振りでゴブリンの首を刎ね飛ばす。
その様子を見た騎士は「見事!」と歓声を上げるが。
「っ!? ちょっと切れ味は悪いかな?」
槍を使う時と同じかそれ以上の魔力を込めているのに、骨か何かに引っかかるような感触があった。
これは斬りつける位置や角度を真面目に考えないと、あっという間に使い物にならなくなってしまいそうだ。
そんな器用な真似ボクに出来るかな……。
ボクが手元の斧を気にかけたことが分かったのか、リチャードが魔物たちの牽制をしながら叫んだ。
「アリス! 代わりはまだまだある! 遠慮なくやってしまえ!」
さらに、また突撃するためなのか後ろに戻って行く騎士も。
「そうだ! いざとなれば我らの分もあるぞ!」
そう叫んでいる。
そこまで言われたら……しょうがない!
ゴブリンならともかく、加減したままであのデカい魔物に通用するかわからないし、遠慮なく全力でやらせてもらおう。
「ふっ!」
とりあえず、その為にもゴブリンを減らしていかないとな。
ボクはその場から離れると、また近くをうろつくゴブリン目がけて斧を振り下ろした。
◇
「ん? ……いけるかな?」
斬り方や斬る場所を選ばずただただ思い切り振りきるだけでいいとわかると、倒すペースも上がっていく。
追加でさらに何体かのゴブリンを仕留めたところで、周りを見る余裕も出来た。
そこで、一体の大型がボクに背中を見せていることに気付いた。
正面から見たくないってことを抜きにしても……隙だらけだし、試しに一発やってみるか!
ボクは全身を魔力で強化すると、さらに斧にも今までよりも多く魔力を流して行く。
そして、背後に一気に駆け寄ると、斧を持った両腕を大きく振りかぶって「…………やぁぁっ!!」と気合の声と共に振り下ろした。
身長差の問題で刃は右肩付近にしか届かなかったが、刃の根元近くまで深くしっかりと食い込んだ。
騎士たちに槍で突かれたり叩きつけられたりしても、この大型の魔物はさほど堪えていなかったようだが、ボクの渾身の一撃に「ガアアアッ!?」っと悲鳴を上げている。
ボクの攻撃は、この大型にもしっかりと通用するようだ。
問題は。
「あぁっ!? 折れた!!」
柄が半ば近くでポッキリと折れてしまったことだ。
威力があり過ぎたか、それとも大型の肉体に食い込んだせいか……ともあれ、流石にコレはもう使い物にならない。
「止めは任せろ! お前は武器を取り替えてこい!」
「お願いします!」
ボクは半ばで折れた斧を持ったまま、門の方へと下がって行く。
「はぁっ!!」
途中で目についたゴブリンの頭部に折れた柄を突き刺して仕留めると、さらに足を速めた。
「アリスっ!? ……武器が壊れたか。君の戦い方なら棍棒の方が向いている。重量はかなりあるが……扱えるだろう」
何度目かの突撃を終えて、門前で隊列を組み直していたリチャードが手ブラのボクに気付くと、先程までの戦いぶりを見ていたのか、武器のアドバイスをくれた。
「わかりました!」
そう返すと、再び走り出す。
「棍棒かぁ……重さはどうにでもなるし、槍ほどじゃないけど長さもあったから確かに使いやすそうだね。太いし頑丈そうだから、今度は簡単には折れないかな?」
外に出る前にひと触りしたが、とにかく振り回したり叩きつけたりするのに向いてそうだし、ボクでも扱える武器だろう。
問題は……と考えていると。
「アリス団長! どうぞっ!!」
ボクとリチャードのやり取りが聞こえていたのか、彼の従者が籠から棍棒を取り出して待っていた。




