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商会本店から外に出ると、そこには武装はしていないが騎士団の人間らしき者たちが馬の手綱を持って整列していた。
中に入って来た者たちが騎士で……彼らは従者かな?
「アリス団長を見つけた! 同行してくださるそうだ!」
「我々は先にリチャード様の下に向かう。貴様らは他の隊にそう伝えておけ」
騎士たちの言葉に、彼らは「はっ」と短く答えると通りに走って行く。
ボクがここにいることを知っていた……とかじゃなくて、街中を探し回っているみたいだし、どうやら思っていたより緊急事態みたいだ。
本当に何があったんだろうか。
「アリス団長、馬は乗れますか?」
「乗れないです。……どこに行くんですか?」
「街の北門です。それでは、申し訳ありませんが私と同乗して下さい」
騎士の一人がそう言いながら馬の鞍の側に立つが……。
「ボクは走る方が速いから、必要ないですよ。行きましょう」
ボクには短い距離の移動に馬は必要ないし、街中ではむしろ走った方が速いくらいだ。
それよりも、この場でもやはり何の用事なのかは話せないらしい。
何が起きているのか気になるし、さっさと北門に向かおう。
北門の位置はわかっているし……ボクは戸惑っている彼らを置いて、走り出した。
◇
ビーンズ家の商会本店を出発して、中央広場に。
そこから、さらに北に向かって走って行き……。
「アリス団長! あちらです!」
走り始めた時はボクが前だったが、すぐに追いついて来た兵の一人が前方を指した。
「おぉっ!? なんか物々しい!」
門前には数こそ少ないが明らかに武装した兵たちが集まっている。
そして、住民がその様子を遠巻きに眺めていた。
その集まった者たちの中から、派手な恰好の兵が一人抜けて来た。
兜も着用しているから顔がわからないが……何となく見覚えのある雰囲気……リチャードかな?
「ほっ……っと。お久しぶりです?」
足を止めてザーッと滑って行き彼の前で止まると、首を傾げながら挨拶をする。
「ああ。よく呼び出しに応じてくれた。街にいるとは聞いたがどこにいた? 事情は聞いたか?」
彼は苦笑しながら兜を脱ぐとやはりリチャードだった。
彼は続けてボクに質問をして来て、それに答えていく。
その間にも兵たちが野次馬たちを解散させようとしているが……気になる。
「あの……結局何があったんですか?」
「ふむ。街の南側の少し離れた位置に森があるのはわかるか?」
「森って……ビーンズの森から続いてるアレですか?」
街の南側を見たことはないが、街道を通る際に森がずっと続いていたのは知っている。
……あの森って街の奥にも続いているのか。
「そうだ。そこには草原よりも獣や魔物が生息しているが……そこの魔物が森から出て来て街壁や街道近くをうろついている」
リチャードは南側を指すと、魔物の動きをなぞっているのかそのまま東にスーッと動かしていく。
「大変じゃないですか。……でもこっちは北側ですよ?」
「そうだ。だが、南側は森が近く東側は街道が広がっている。魔物との戦闘を行うには騎乗しようと徒歩であろうと向いていない。そのため別の隊が北側に追いやっている」
「……こちら側に?」
北側は確かに行政区とも居住区とも離れているし、魔物を引っ張ってくるにはいいかもしれないが……こちら側は街の外にちょっとした市みたいなものが出来ている。
街の住民ってわけじゃないが、オオカミの時同様に彼らも巻き込まれかねない。
ジッとリチャードを見ると、彼は「わかっている」と頷いた。
「他に街に被害を出さずに戦える場所はない。だが、外の連中を見捨てるつもりもない。その手前に我々が陣を敷き、追い立てられて来た魔物を仕留めていく」
そして、今度は彼がボクを見る。
「アリス団長に依頼だ。君も魔物討伐に参加して欲しい」




