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早起きして、裏庭で訓練をして、農場や村の周辺の警備を行い、塀を飛び越えて村の裏手の拠点の様子を見に行って、夜は屋敷の書庫でお勉強。
そんな生活を十日ほど繰り返した。
早朝訓練は、ボクたちは当然毎日参加していたが、ジェイク一派と追加組も揃って参加していた。
ちなみにその追加組が何者かってのは後でジョンたちに教えてもらったんだが、街のビーンズ家の商会で働く者の家族らしい。
今はまだ手伝いで村と街の往復に付き合う程度だが、場合によっては他の村にも移動する可能性があるため、ある程度戦闘技術や体の鍛え方を学びたいそうだ。
訓練に参加する目的がはっきりしている分、彼らもしっかり集中して訓練を行っている。
ちなみに、先日ジェイクたちと一緒に広場で騒いでいた連中は、農場で働く家の者たちだ。
よくよく昼間の警備時に農場で働く者の顔を見てみると、あの夜いた者たちも真面目に働いていた。
彼らは商会勤めの家と違って、良くも悪くも自分の将来がどんなものなのかリアルに想像がついているんだろうな。
昼間は真面目に働いているんだし……夜に愚痴を吐きつつちょっと羽目を外すくらい大目に見てもいいのかもしれない。
少なくとも、ボクが口出しするようなことではないだろう。
そして、裏の拠点だが……居住用の小屋が四棟と、倉庫用の小屋と作業用の小屋をそれぞれ一棟ずつが完成していた。
想定ではもっと時間がかかるはずだったんだが、ヨーゼフとカイルという現場監督兼強化持ちの二人が加わったことで、色々手際よく進んだそうだ。
毎日夕方頃に見に行く度に、変わっていく拠点の様子に正直驚いたものだ。
使った木材分の木も切って、既に外の倉庫に運んでいる。
乾燥するのに時間はかかるそうだが、伐採のついでに狩る獲物も村に納めたし、道具や資材の賃料も込みでしっかりと返せた。
今は水場までの通路の舗装だったり、森に向かう斜面の整地だったり細かい作業を行っているが……拠点の建築はほぼほぼ完了と言っていいだろう。
◇
さて、ボクは今ここ最近の夜の日課としている屋敷の書庫でのお勉強を行っている。
「ふーむ……?」
森の情報は、あの後さらにもう一冊資料を見つけたことで、大分補完出来たと思う。
タイトルは、「ビーンズの森の開拓史」
実にわかりやすい。
ここがまだ本当の意味で村だった時代からの記録が残されている。
この資料そのものには魔物の情報などが記されているわけではないんだが、開拓時に襲われた記録などからどんな魔物がいるか……どんな戦い方をしてくるか……などが見えて来る。
もちろんこの資料たちだけではわからないことも多いんだが、それを補うのが今ボクが読んでいる資料だ。
魔物や魔獣について記されているんだが、結構初歩的というか……基本の部分についてもしっかり押さえている。
「頭部の魔石の色によって強さが違ってくる……と。んで、長く生きた個体は体毛が魔石の色になってくる。色付きの魔物はそのまま毛皮の色で呼んだりしてるんだね」
例えば、一番強いと言われている色は赤で、その赤い毛皮を持つ個体……例えばゴブリンの場合だとレッドゴブリンとか呼ぶそうだ。
強さもわかるし実にわかりやすい。
以前傭兵たちが魔物の毛側の色を気にしていたが……そういうことだったのか。
「ボクが森で倒したゴブリンたちは素の色だったし、まだ若くて大して強くない個体だったみたいだね」
まぁ……そんなに強い個体がゴロゴロしているわけではないそうだが、弱い魔物だからって油断していると、思わぬ不覚を取ったりするそうだし、気を付けないといけないな。
「それよりも……二番目に強いって言われている色が黒なのか。……街の側で一緒に戦ったあのオオカミって……それなのかな?」
体は大きいし頭はいいし……当然強さも相当だった。
アレで上から二番目なのか……と戦慄いていると、コンコンと控えめにドアを叩く音がした。




