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帯出禁止本を置いてある部屋は、十二畳ほどの広さの窓がない部屋だった。
天井に魔法の明かりを張り付けると、部屋の様子が見える。
手前の部屋に比べると置いてある本の数が違うから棚の数も少ないんだが、その分机がいくつも置いてある。
さらに、机の上にはペンやインクに加えて紙まで束で置いている。
持ち出し出来ない本ばかりだし、ここで読みながら資料を作ったりするためだろう。
「まぁ……ボクは今日は読むだけだし関係はないかな。机だけ使わせてもらおうか」
鍵が入ったケースを机に置くと、一先ずお目当ての本を手にするために本棚の方へ歩いて行く。
「えーと……? 村民名簿に村の建築物の図案に……」
本棚に収められた本は、しっかりと背表紙にタイトルを記している。
一番端の本棚から順に眺めて行っているが、重要といえば重要な本ばかりではあっても、どれもボクのお目当ての本ではない。
一つ目の本棚から次の本棚に。
そして、さらにまた次の本棚に……と移って行くと、まずは一冊目を見つけることが出来た。
「魔物に関しての資料だね。まぁ……これは魔物全般に関しての本で、この辺で出くわす魔物に関してじゃなさそうだけど……とりあえず覚えておこう。三つ目の本棚だね。メモしておこうかな……」
ボクは机の上のペンを手に取ると、紙にキープ用の本のタイトルと、本がある本棚の情報を記していく。
使わないと思ったが……すぐに出番が来てしまったな。
見た感じ本棚にも本その物にも目印はつけられていないし、分類とかはあんまりちゃんとされていないんだろうな。
とはいえ。
「ここに入れる者が限られているから、その必要が感じられないのかもしれないけど……いつか時間が出来たら手をつけようかな」
やはり欲しい本がすぐに見つからないってのは地味にストレスだ。
別にボクが手を付ける必要はないし、ジョンに伝えるだけでも伝えておこうかな。
「……ビーンズの森の調査報告書。これかな?」
四つ目の本棚の中に気になるタイトルの本を見つけることが出来た。
裏の森がビーンズの森って名前なのがちょっと驚いたが……確かに他に思いつかないしピッタリな気がする。
「じゃー……これを読ませてもらおうかな」
他にもあるかもしれないが、全部調べるのも時間がかかりそうだし一先ずこれでいいだろう。
ボクは本棚に向かって手を伸ばした。
◇
この本は「ビーンズの森の調査報告」とタイトルにあるように、群狼戦士団の団員が毎年春先に巡回した際の報告書を纏めた物だった。
だが、報告書を纏めた物……とは言っても、侮ることは出来ない。
文字で記されているだけじゃなくて簡単な地図も併記されているし、意外と丁寧に纏められている。
大人数で行っているわけでもないし、測量だったり地形調査の専門家だってわけでもないから、どうしても不十分なところが目につくが、それでも
街道から見える範囲だったり、今拠点を建築中の村のすぐ裏手だったり。
さらに、もっと奥に入った水場やそこを流れる川の周辺等々……差し当たって必要になりそうな情報は調べられている。
森の中だけを歩いていたんじゃ把握しきれなかったが、今日の昼間に木を切り倒していた辺りの場所も記されているし、大体の位置関係は把握出来そうだ。
だが。
「森に生息する獣や魔物についても記されているけれど……詳しい情報はないね。魔物に関してもこれだけじゃわからないし、さっき見つけた資料も後で目を通しておいた方がいいかな?」
あくまで報告書であって、ガイド本ってわけでもないからどうしてもこれ一冊では必要な情報を補完出来ておらず、他の資料も必要になって来そうだ。
既に一冊は見つけているが、他にも必要になるかもしれないし……もしかしたら当分の間ここに通うことになるかもしれないな。




