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「ヨーゼフから報告は受けていたが、大分進んでいるようだな」
農場からグルっと回って歩いているが、裏手の拠点が見える位置までやって来た。
ジョンは毎日ヨーゼフから報告を受けているようだが、直接ここまで足を運ぶのは彼らがここに来て以来で、拠点の様子を見て驚いている。
ただ、彼だけじゃなくて実はボクもこっそり驚いていた。
昨日はまだまともに形になっているのは一軒だけだったのに、既に二軒目が完成間近だ。
さらに、それだけじゃなくて見通しをよくするためなのか、拠点の外側も木を切って広げていた。
拠点を囲う柵のすぐ側には、切り倒した木が何本も転がっている。
何かカーンカーンって音が拠点に近付くにつれて聞こえて来るなとは思っていたが、木材を加工したり釘を打ったりする音じゃなくて、木を切っていたからだったのか。
柵の建て直しも含めて先に拠点の完成を急ぐ……とか言っていたから、ある程度進んではいるんだろうとは思っていたが、想像以上だ。
それにしても……作業が忙しいのはわかるんだが、拠点にいる者の数が大分少ない。
小屋の屋根の上や中で仕上げの作業を行っている者たちはいるが、半数以上の姿がない。
さらに。
「ヨーゼフは……どこだ?」
拠点にはヨーゼフもカイルの姿も見当たらなかった。
昨日の今日でどこに行ったんだろうか?
「こっちが完成するまでは、拠点の外には出て行かないと思うんですけど……ちょっとー」
丁度切り倒した木を運んで来ている傭兵たちがいたので、彼らに声をかけた。
「あ? おお……団長殿に……村長か。何か用か?」
息を切らせているし、大分消耗しているようだ。
木の運び方はロープをかけて引いて行く……っていう、持ち上げて運ぶよりはマシそうな方法なんだが、森の中を引っ張って行くのは大分ハードだったんだろうな。
「用があるのは私だ。ヨーゼフはどこにいる?」
「ああ……おっさんなら、この先で一緒に木を切ってるぜ。ついでにカイルはその周りで魔物の警戒をしている」
「用があるんなら案内するぞ? 切る木を選んでいるから、ここから少し離れた場所なんだよな。団長殿だけならともかく、アンタも一緒ならその方がいいだろう?」
「む……どうする?」
ジョンは彼らの言葉を聞いて、こちらを向いた。
どこか嫌そうな表情をしているあたり、まだまだ彼らのことを信用していないんだろう。
気持ちはわからなくもないが……。
「一緒に行きましょうか。獣とか魔物が襲って来たら、倒すことは出来でも人を守りながらは無理ですからね」
「……止むを得んか。それでは、案内を任せよう」
ジョンは重々しく溜め息を吐くと、彼らに向かってそう言った。
割と失礼な態度だと思うが……気にしていないのか、「おう!」と気軽に答えると前に立って歩き始めた。
◇
傭兵たちに先導してもらいながら、森の中を奥に向かって歩いているんだが、ジョンは枝や草が揺れる音がする度にそちらに顔を向けていた。
随分と慎重……というか、ビクついている。
「この辺には来たことがないんですか?」
ボクだけじゃなくて傭兵たちまで一緒にいるのに、そこまで警戒しなくても……と思うんだが、表の農場はともかくこちら側にはわざわざ来たりはしないんだろうか?
「数えるほどだが……若い頃に街の騎士団の兵たちの巡回に付き合ったことはある」
「最近は立ち入ってないんですね。森の情報は?」
「毎年グレイたちが巡回する際に、報告書も作らせている。それを基に情報の更新は怠っておらん」
ボクの質問に、ジョンは鼻息を荒くしながら答える。
機嫌を損ねてしまったかもしれないが、この分なら森や魔物の情報は期待出来るかな?
「それは良かった。ボクもですけど、ヨーゼフたちも情報を欲しがってましたからね……っと? あそこかな?」
前を向くと、人が集まっている場所が目に入った。
木を切る音も大きくなっているし、あそこで間違いなさそうだな。




