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さて、エリーゼ様が部屋にやって来たし、ジョンからも既に聞いてはいるだろうが……改めてボクの口から母に昼間の外の件を話すことにした。
外の拠点を襲ってきた獣も魔物もちゃんと片付けたことに、一先ず母は一安心といった様子だったが、森の様子は気になるらしい。
「そう言った事情ならジョンも資料の閲覧許可を出すでしょうね。……貴女、ゴブリンと戦ったのよね?」
「うん。うろついていたのは倒しましたよ?」
「それは助かるけれど……貴女はアレは手こずることはないのかしら?」
「ゴブリンがですか……?」
不意打ち気味ではあったが、槍の一振りでゴッソリ倒すことが出来た。
まぁ……アレではゴブリンがどんな動きをするのかわからないが、ボクの攻撃は十分通用するし、足の速さでも負けることはないだろう。
仮に大量のゴブリンに囲まれたとしても、どうにでも出来る自信はある。
「昼間倒したのが特別弱いとかじゃないのなら、大したことないと思いますけど?」
ボクの言葉に、母は目を丸くしている。
「リリアナさんはゴブリンと戦ったことはあるのですか?」
エリーゼ様の言葉に母は首を横に振ったが、「ただ……」と続ける。
「昔……貴女が生まれる前だけれど、馬車で向かう際に襲われたことがあるわね。その時は村の人間に護衛は任せていたけれど、たった数体を相手に重傷を負っていたわ」
思い出したくない出来事なのか、母は実に嫌そうな表情をしながらもその時の様子を説明してくれた。
護衛役が当時の村の腕自慢だったこともあって、魔物……特にゴブリンに関してはあまりこの村の住民はいい感情を持っていないようだ。
騒ぎになったらいけないからと、外の情報を伝える者を限定していたんだが……どうやらそれは正解だったらしい。
しかし。
「それにしても……ゴブリンって個体差が大きいんですか? ボクはイノシシとかの方が面倒だと思うんですけど」
人型の二足歩行よりも、勢い良く突っ込んで来る大きな獣の方が人間からしたら怖い気がするんだが、まともに相手をしたらゴブリンってそんなに強いんだろうか?
ボクは首を傾げながらエリーゼ様を見ると、彼女は首を横に振っている。
「確かに単純な強さだけなら獣の方が上ですが、魔物はその分知恵がありますからね。囲んでから一斉に襲い掛かって来たり、こちらの様子を見たり……戦い方が一つというわけではありません」
イノシシは突っ込んで来るだけで、オオカミはもう少し違うけれど、結局は噛みついてくるだけだ。
そこにさえ気を付けてしまえば、素人でも割とどうにか出来そうではある。
だが、魔物は違うらしい。
「なるほどなー……」と頷くボクに、さらにエリーゼ様は話を続ける。
「騎士団でも入団したばかりの新兵は、魔物の相手は任されません。訓練を積んで……三ヶ月ほどでしょうか? 集団戦闘が身に着いた頃に初めて相手をします。数にもよりますが、一般的な村人では相手をするのは難しいでしょう」
「……ジェイク辺りはどうですか?」
若く健康で、それなりに訓練を積んだジェイクだったら通用するんだろうか?
ボクはエリーゼ様に質問したが……彼女の反応はどうにもすぐれない。
「ジェイクさんですが。以前見た時からどれほど伸びているかにもよりますが……まだまだ厳しいかもしれません」
「それほどですか……。それなら、今後はボクが相手をした方がいいですね。えーと……」
母を見て、彼女のことを何て呼ぼうかと迷っていると、小さく溜め息を吐いた。
「リリアナでいいわ。何?」
「外の拠点の建築が落ち着いたら、皆で森の奥の方を見るって話が出ていたんですけど、その前にボクだけ少し見て来てもいいですか? 戦闘をしないのなら、ボクだけの方がいいと思うんですよ。ジョンさんに言えばいいのかな?」
ボクの言葉に、母は目を丸くしている。




