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アリスはくじけない!  作者: 青木紅葉
第三章・立て直すぞ! 群狼戦士団!

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「アリス」


 玄関から中に戻って来たボクは、部屋に向かうために階段を上っていたんだが、上がった先に母がいた。


 使用人も伴っているし、もしかしたら彼女が外の騒動の解決に呼ばれたのかな?


「貴女部屋にいたんじゃなかったの?」


 本を部屋に届けたし、大人しく部屋にいるとでも思っていたんだろう。


 階段を上って来るボクを見て眉をひそめている。


 ボクだって本当は大人しく部屋で本を読んで、魔法の訓練をしていたかったんだが……アレを聞いてしまった以上は無視することは出来なかった。


「ちょっと騒ぎが起きてたから顔を出しただけですよ」


 ボクは搔い摘んで外であったことを話すと、母は額を押さえて大きく溜め息を吐いた。


「間が悪かったのね。中に通されたということは……控室にでも連れていかれたのかしら?」


 母が使用人に訊ねると、彼女もわからないのか首を横に振っている。


「ボクもそこまではわからないけど……ボクが中に入って来てからは騒ぎは聞こえないですよ」


 控室ってのがどこなのかはわからないが、部屋を分けて落ち着かせているんだろうな。


「ところで、まだこれからもお客さんが来るみたいですけど……何かあるんですか?」


 客が来ること自体は聞いていたけれど、それにしても部屋にいた時に聞こえた感じ、ちょっと多すぎる気はするんだ。


 しかも、先程の二人のように身分のある者が何組も。


 実はボクの件とは全く関係ない用事で集まったり……って可能性も考えてはいたけれど、あの二人の口論を聞いて、それも違いそうだとわかった。


「貴女の話を聞いた者たちからの連絡が想定よりも多かったのよ。それならいっそ一纏めにして話した方が、齟齬も出ないしある程度平等になるでしょう?」


「なるほど……。殴り合いになってもおかしくなかったけど……大丈夫なんですか?」


「たまたま玄関前で鉢合わせたからああなっただけでしょう。周りに他の家の人間がいれば自制出来るし……兄さんも同席するし大丈夫よ」


 兄……リチャードか。


 その言いようだと、騎士団の偉い人間が睨みを利かせる必要があるって言ってるようなものだけれど。


「それはそれで大丈夫なのか心配になるけど……まぁ、わかりました」


 とりあえず抑えられるのなら大丈夫だろうと頷いた。


 だが、母はボクの言葉を聞いているのか聞いていないのか、「それよりも……」と呟くとこちらを見て考え込んでいる。


「うん? どうかしました?」


「貴女が誰なのかわからなかったようだけれど、その二人の前に出たのよね。後々貴女と会えなかった他の者たちが面会を求めるかもしれないし……挨拶だけでもしておきなさい」


「うぇっ!?」


「変な声を出さないの。面倒だとは思うけれど……後で村に人を寄こされるよりはマシでしょう?」


 それはそうだ。


 村ではジョンくらいだが、ここだと母もいるし祖父に伯父に……代わりの対応を任せられる者が揃っている。


 これから引き合わせられる相手が何人いるのかわからないが、とりあえず顔を見せて一言二言挨拶して……後は母たちに任せてお終いだ。


 気乗りはしないが、ここで済ませておいた方が間違いなく後の面倒事は避けられるだろう。


「はーい……」


「ついて来なさい」


 そう言うと母は階段を下りて行く。


「うん。……この恰好で大丈夫かな?」


 入浴後に着替えた服だが、その後街を歩いたし工房にも滞在していた。


 その上ついさっき派手なアクションも行ったし、このまま人前に出て大丈夫だろうか……と不安になりつい声が漏れてしまったが、前を歩く母に聞こえたようで、足を止めて振り返った。


 そしてジロジロとボクを見る。


「着替えるほどではないけれど、裾や襟が曲がっているわね。下で直しましょう」


 そう言ってまた階段を降り始めた母に「はーい……」と返すと、ボクも下りて行った。

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