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アリスはくじけない!  作者: 青木紅葉
第三章・立て直すぞ! 群狼戦士団!

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 エリーゼ様が、謂わば領主一族としてのエリートコースから外れてしまったっぽいことはわかった。


 ただ、それが一体ボクにどう関係するんだろうか?


 気の毒だとは思うが……そもそもボクが何かしたわけでもないし、別に勘当されたってわけでもない以上、ちゃんと領主一族としての身分は保証されるんだ。


 そんな彼女の力になれるようなこともない。


 手紙を読み終えて、いまいちこれが何を意味しているのか分からず「?」と首を傾げていると、母が「読んだわね?」と訊ねてきた。


 そう言えば、わからないことがあれば聞けと言っていたな。


「読んだけど……どういうことなんです? エリーゼ様の将来の予定が崩れてしまったってことはわかりましたけど……うん? 続きがあるんですね?」


 母はボクの疑問に答える前に、新しい手紙をもう一枚渡してきた。


 締めの言葉はなかったが、内容が纏まっていたからアレで終わりかと思っていたが……もう一枚あったのか。


 母から受け取ると、再び手紙を読み始める。


 先程は人の名前や街の名前などボクが知らない固有名詞が出て来ていたから、書かれている内容を理解するのに少々手間取ったが……こちらはそれに比べると大分易しい内容だ。


 まずは、捕らえた賊の処遇について。


 彼らは今はこの街の牢に放り込まれているんだが、エリーゼ様や群狼戦士団の野営地の襲撃は、あくまで傭兵の任務の一環として処理するようだ。


 一応……思いきり被害を受けた身としては複雑なところではあるが、この近辺の街や村を調べても、彼らが人を襲ったり物を盗ったりしたって話も出てこなかったそうだし、そうなるのも仕方がないんだろう。


 領内のちょっと危険な場所で、ちょっと危険な労役を課されることになるが、真面目に勤めていたら一年も経たずに釈放になるそうだ。


「この領内のちょっと危険な場所……ってどこなんですか?」


 ボクは領内どころかこの辺りのことすら碌に把握出来ていない。


 仲間を何人も殺したし捕縛にも協力している。


 もしかしたら恨みを買ってるかもしれないし、ボクが決められることではないんだろうが、あまり側じゃないと嬉しいな。


「……それも続きを読めばわかるわ」


「はぁ……」


 わからないことがあれば聞けと言っていたのに、この人何も答えてくれないぞ?


 仕方がないと諦めて、ボクは大人しく続きを読み進める。


 ◇


 二枚目に書かれていた内容でめぼしい情報は、賊の処遇くらいで、他には大したものは無かった。


 だが。


「……え? エリーゼ様がこっちに来るんですか?」


 最後に締めの挨拶の中に、近日中にラカンパの街に移動することになる……とあった。


 この世界の定型文を知らないから詳しいことはわからないが、この文章を読む限り近くに立ち寄るとか、数日滞在する……って感じではなくて、ある程度纏まった期間だと思うんだが……。


 手紙から顔を上げて母を見ると、大きな溜め息と共に「そうよ」と頷いた。


「それを届けて来た兵が言うには、もう既にすぐ隣の街にいるらしいわ。明日街にやって来て……どうするつもりなのかしらね?」


「どうするつもりなんだろうね……」


「貴女は何か聞いていないのかしら?」


 母の言葉に、ボクは「何も」と首を横に振った。


 エリーゼ様と最後に話したのは彼女たちが屋敷を発つ時だったし、それ以降は一切便りはなかった。


 加えて、ボクはこのひと月村から離れなかったため、エリーゼ様どころか全くと言っていいほど外の情報を持っていない。


「そうよね。彼女の今の立場がどこなのかわからないけれど、少なくとも一人で来るようなことはないはずよ」


「何も解決してないみたいだし……最低限の護衛はいりますよね」


 もしあの時の隊員から募るのなら何人か思い当たりはする。


「到着予定は明日の昼過ぎらしいし、貴女もそれまでは街にいなさい」


 そう言ってまた溜め息を吐いた。


 母の用事はこれで終わりなのか、後で人を寄こすとだけ言うと部屋を出ていった。

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― 新着の感想 ―
よくも悪くも似た者同士だなぁ 不器用で話すの得意じゃなさそうなとことか 別の世界の記憶があろうが、それまであんまり関わりがなかろうがちゃんと繋がりが感じられていいですね 父はどんなだったんだろうか。周…
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