表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
銀の大地ー神話・伝承群ー  作者: すけろくこぞう
エイシュの樹録
PR
3/39

エイシュの樹録

 世界はただそこにあった。

 横たわる大地、黒く閉ざされた空。

 大穴だけが、広いこの地を隔てている。


 熱と氷が入り混じり、大穴の中で巨人が目を覚ました。


 それはアルスと名乗り地上を歩き始めた。



 遠い昔に鷹がまだ空を自由に飛べた頃。

 銀の羽が大穴の中に落ちた。



 するとそれは一人の美しい男となって、穴の外に這い出た。


 彼はアルスの子どもたちに比べて、なんとも非力であった。

 大地を揺るがす力も、炎を我が物とする術も、何も持たぬ。



 黒い天から滴る影のものたちに怯え、アルスの子どもらから隠れ潜むように暮らしていた。


 彼らの持つ灰の瞳は持たざる者の証として、ずっと虐げられてきた。



 そう、輝く銀の主人、エイシュが生まれるまでは。


 エイシュは最初に生まれた男の何番目の子どもだっただろうか。


 輝く銀の髪に瞳を持って産まれた彼は、誰よりも聡明で、誰よりも強かった。



 密やかな夜。


 エイシュはその銀光の下にアルスを組み敷いて殺した。


 その死体の頭蓋を宙に放り投げると、悪しき天から地上が見えないように、空を塞いでしまった。


 そして、アルスの死体を大穴に放り込むと、そこから一本の木が生まれた。

 エイシュはその木と共に一つになると永い眠りについたが、エイシュの子らは生きていた。


 子らは死体に沸いた蛆に手足と名前を与え、小人(カティン)と名づけると巨人たちの骨で彼らに武器を作らせた。


 中でもエイシュの長子、ウォリケの活躍は目覚ましい。

 彼は木に自らを捧げ、大穴の持つ力。

 この世の秘密を読み解く、隠された文字を見つけた。


 魔術が生み出された事によって巨人たちは劣勢を強いられる。


 そして大樹の梢からは(エイシュ一族)の下僕である、人間(ヒューネク)が生み出される。


 人間は力を持たなかったが、その数で地上を埋めていった。


 やがて巨人の末裔たちは世界の端にのみ住むことを許され、ようやく世界に安寧が訪れた。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ