ごうつくばりの蜂
かの王の冠は一際輝く頂であった。
それはアルスとシェラから与えられたものであり、泉の王を継ぐべくしてその身から生まれたものだったからだ。
彼は支配者ではなく、先導者であった。
正統なる王の世継ぎである彼は黄金に輝き、彼の輝きに誰もが憧れを抱いた。
アルダの時代は美しく望ましいもので、他の支配者たちから酷く妬まれたのだった。
彼の治める場所は魔法の泉のわかれた内でも力が強く、特別な流れの留まるものもあったために外から幾度となく狙われたこともあった。
けれどもアルダの住む場所は大地の突き出た棘が多く、非常にゴツゴツとしていたため弱い者は一向に辿り着けず、王の巫女に見つかってしまえばたちまち還されて川の流れに捨てられてしまうのだった。
そしていつか彼らも黄金の呼び水となり王の居の周りを揺蕩うのだ。
それは普段、誰にも触れさせなかったが、一度身に入れれば、心を満たし命を潤す甘い水。
それは知恵を与え、活力を沸かせる魔法の流れであった。
けれども安易に手を出せない程に眩い水だったので、王は周りを塀で囲うと、誰も手が出せないように常に見張りをたてた。
しかし生きていれば魂が乾くので、水は飲まなければならない。
なので許されたのは、川の流れの一番遠い。色の抜けた力のない最低限の水であった。
けれども、黄金の川は汲み上げて一日ならば甘さは消えずに力だけが薄まるので、特別な功労者の飲み物として与えられるのだった。
そして、その噂を聞いた誰もが甘い水を欲しがったから訪問者は絶えず、川も絶えなかった。
それは小さい生き物も変わらず、根を張るものは根から吸い取りその身に蓄え、蟻や蝶などの虫はその蓄えられたものを吸って生きていた。
蜂もそのうちの一つで花から緩んだ水を盗むと巣の中で更に緩ませて腐らせるのが好きだった。
しかし黄金は腐るものではないから、その水は発酵酒となり飲んだものに活力を与え魂を満たす甘い飲み物に変わった。
魔法の力といっても到底、川には敵わないものであった。
だが、王は皆にもその素晴らしさを広めようと、褒美の一つとして如何なるものにも与えることにしたのだった。
それはまさしく英断で、その日から指揮は目に見えて上がり、誰もが歴戦の戦士のように武功を上げることができた。




