魔法の泉
ノフスは荒れた大地を治すために、オドアの一番大きな窪みにマヴィナとソルスラへ入るよう命じる。
そして三日三晩そこへ冷たさと熱さを込めさせた。
その最中は誰であっても立ち入る事を禁じて、そこから更にまた同じ期間、ノフスはグルグルとその穴を休むことなく混ぜ続けた。
そして一人でに穴が回るようになってそこから三日目のあくる時、ノフスは輝かしい液体に満たされた穴を見て満足げに頷くと泉にシェラという名前を与えた。
マヴィナはシェラに歌を送り、ソルスラはそれに合わせた詩を送ったがシェラはうんともすんとも言わず。
ただ不思議な色合いの泉はそこに在った。
二人の交わることのない力がノフスの手によって一つになった泉は、まだ生まれたてで何処か弱々しい。
何ができるのかわからないから、誰もがどうすればいいのか手をこまねいてただ黙って見ていることしかできない。
喋れないのか、それとも喋らないのかすらあやふやだったので、悪戯好きな小さな生き物のうちの一人が石を投げ入れると、嫌がるように波が蠢いたので、泉には確かに意思があった。
だからノフスはグルリと泉を囲めるアディムに番を任せるとあとは全て任せたのだった。
アディムは任せられたとはいえ何もすることがないので、ただじっと泉を見つめたり時折あくびをしながらその表面を見つめていた。
飛沫が跳ねて鱗の一つに当たるとその鱗は熱くなり力が沸いた。
もう一つ跳ねて鱗に当たると反対に冷めて、硬くなり頭がどこまでも冴え渡る。
泉から跳ね上がる赤と青の飛沫はたまにそのまま跳ねていって、飛び回る小鳥のように戯れた。
そのうちにぶつかり合って、泉に落っこちると青い飛沫が触れた場所が硬くなり、赤い飛沫の場所が見えなくなった。
両方に別の赤い飛沫がぶつかると、一方は透明な液体に、一方はブワッと明るくなった。
そしてお互いが出会い土が生まれた。
その不思議な掛け合わせが繰り返されるうちに、泉のヘリに土が重なり、新しいオドアの皮膚が生まれ、また麗しい姿を取り戻したのだった。
この泉は魔法の泉だとアディムは目を輝かせると、オドアに昔のように着飾っておくれとお願いをした。
しかし、オドアの創造の力はもう潰えており育むことは出来ても、何かを産むことはできないと悲しげな言葉が返ってくるのみだった。
これでは新しい大地が出来ても、生き物は生まれないし、今いる者たちは飢えてしまう。
けれどそれは杞憂で、暫くすると泉から不定の生き物たちが這い出てきたのだった。それはすぐに潰れて泉に戻って行ったが繰り返すうちに形をもって歩き出す。
最初こそ驚いたアディムであったが新しい仲間に喜んで、言葉や色々な事を教えた。
それに、いつのまにか溢れた透明な液体はオドアの少しひび割れた場所に染みて長い長い道となった。
あとは深くまで染みてその体中を潤し、オドアの中で眠っていた種たちを再び起こすのに役立った。
こうしてまた地上は賑やかになり命に富む場所となった。




